5月31日に全国市町村国際文化研修所(JIAM)主催の消防職員研修に講師として行ってきました。「平成25年度消防職員コース~災害時に外国人を要援護者にしないために~」の研修の中の、1コマ「異文化コミュニケーション」を担当しました。
このコースでは約2週間、全国各地の21名の消防職員の方が地域の国際化や多文化共生について学んだり、英語、中国語、ポルトガル語などの語学を学んだりしています。全国各地の消防職員の方と出会う機会もあまりないので、貴重な機会です。みなさん、とても礼儀正しく、さわやかな方々でした。女性も2名いらっしゃいました。
ワークショップの前に、研修どうですか?と尋ねると、「夜、呼び出されることがなくて、ぐっすり眠れることが何よりうれしいです」との答えが。なるほど、命を守るお仕事に、頭が下がります。
ワークショップでは最初に、今までの研修の感想共有と、ルール作りをした後、部屋の四隅で、みなさんのコミュニケーションの傾向を聞きました。
1)初対面の人とは、自分から積極的に話す
2)自分が少数派の時も、自分の意見ははっきりと伝える
2番目の質問は、比較的少数派の場合は我慢する方が多かったですが、理由を聞くと、職場の局長の命令は絶対というのがあるようです。それでもしたたかに、少しずつ変えようとしている、という人もいました。
その後、「バーンガ」を行いました。「バーンガ」は異文化コミュニケーションのワークで、自分が少数派になった時、また、異なるルールに出会ったときに、どのように対応するのか、を体験します。言葉を話さないで行うので、みんなのジェスチャーが大げさになり、混乱が深まってきたところで、終了。それぞれ、何が起きて、どう感じたかを振り返りました。
バーンガの様子
その後、『いわて国際理解ハンドブック 世界はともだち2』(岩手県国際交流協会、2012)のなかのアクティビティ「「ガイジン」がやってきた」を行いました。ある地域に、外国から労働者が大勢やってきて住むことになったのですが、次第に、日本人、外国人双方から苦情が来るようになり、それぞれの苦情はどちらから来ているか、を考えるアクティビティです。
例えば、「雪かきをしない」「出会っても挨拶をしない」など。
それぞれがどちらからの苦情かを考えます。みなさん「雪かきをしない」は当然、日本人から外国人への苦情だと思いきや、実は、逆、外国人から日本人への苦情だったんです。
実際にあったことを話すと、思い込みや固定観念に気づきます。
最後に、滋賀県国際協会の會田さんに、滋賀での取り組みをお話しいただきました。4か国語で作られた緊急時の心得が書かれた手ぬぐいはとっても好評でした。
消防職員のみなさんはとても熱心に参加してくれて、自分の活動に学んだことを取り入れたい、と言って下さいました。また、今回、各地にある国際交流協会の活動も紹介したことで、地元の国際交流協会とつながりたい、という感想もありました。
以下、感想です。
- 思い込みの危うさ(当然ルールは同じだな)に気づいた。ルール作りの過程などが分かった。
- 誰もが異文化を持っていて、その独自の偏見もある。自分が柔軟になることが必要と思ったが、難しいと思った。
- コミュニケーションを図る方法や多文化共生について、今後どのように対応していくべきか、のヒントに気づいた。まずは自分から行動していきたい。
- 異文化理解のために、なぜそのような行動をしたのか等、背景を考えることが大切だと考えた。
- 自治体でのルールを決めて、外国人を含めた住民とのルールの共有が大切。もっとコミュニケーションをして、相手の文化も知って、外国の方が何を求めているのかを知りたい。
地域において、外国にルーツがある人と日本人との普段からのコミュニケーションがより積極的に行われるようになるとよいな、と思いました。そこに、こうした消防職員の方々の研修が重要だと思いました。
(中村)
(中村)
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