身近な対立から、憲法と権利を考えてみた!

こんにちは。ボランティアの木村です。
2月15日にフリースペース「えん」で今年度5回目のワークショップをしました。

その日はスタッフたちが「えん」に到着する前から、「今日は天気がいいからみんなお外で遊んでいてワークショップに集まらないかもしれない…」と思うほどの気持ちのいい晴天で、やはり子どもたちはお昼ご飯を食べ終えるとどんどんお外に出て元気に遊び始めました。テーブルの周りに集まったのは数名…。しかし、この「自由さ」こそが、「えん」ならではです。

今回は前回に引き続きバリマタ王国(※)での動物たちのやり取りから憲法・権利について考えました。前回は王様ライオンの暴走を食い止める内容でしたが、今回は、バリマタ王国の平和な日常の中に起きた対立から、身近な問題について考えました。

1つ目は、腹太鼓の練習をしたいタヌキと、静かにマンガを読みたいワニの対立。みんなのスペースでそれぞれのやりたいことをするには権利が対立してしまう時があるけれど、どうすれば良いのか。タヌキ役の能條さんとワニ役の西野さんの熱演により、問題がより身近に感じられます。

どちらの言い分もわかるけど…どうすればいいかな?

「違う場所でやればいいじゃん」という子どもからの提案に対して、タヌキは「みんなに内緒でやりたいから外ではできない」という返答。うーん、じゃあどうしようか…。その後も続々と提案が上がり、最終的にタヌキとワニは「じゃあ僕は1時間クッションを付けて練習するから、そのあとは音を出してもいい?」「うん、じゃあそのあとは僕が違う場所に行って読むよ」とそれぞれ譲歩し合う事が出来ました。


2つ目は、「他の人には言わないでね」という約束で自分の秘密を話したキツネと、その秘密をみんなに話したタヌキの対立

タヌキは表現の自由を主張しているけど…?
子どもたちからは「言わないでね、と言われたことは言っちゃだめだよ」という声もあれば、「でも(みんなに)言いたいよ」「キツネが秘密なことをタヌキに話したのが悪い」という声もありました。誰にでも、秘密をばらしてしまった、或いはばらされてしまった経験があるのではないでしょうか?どちらの立場も身近だからこそ難しいですね…。最後は、「タヌキはキツネにあやまったほうがよいよ」という子どもたちの声に励まされ、タヌキはキツネにあやまりました。

最後は、ワニが不在だった会議で自分が組体操のピラミッドで一番下になることが決まり、後日それを知ったワニが嫌がっている、という集団と個人の対立

「休みだったんだから仕方ない」「多数決で決まったんだから」という意見もありましたが、「いや、ワニが嫌だって言っているならもう一度考え直さなきゃ」「何度でも話し合おう」ととてもポジティブな方向に話が進み、内心スタッフは驚きました。

身の回りにいつだって起こりうるけど、明確な答えがあるわけじゃない。そんな時にどうやって解決したらいいかを権利の面から子どもたちに考えてもらう、というのが今回のねらいでしたが、子どもたちは前回学んだ色々な権利も踏まえて色々な提案をしてくれて、スタッフ側もうれしかったです。


そのあと、前回もゲストに来てくれた久保井奈美さんから、権利のバランスや、個人の権利は大切だけど、みんなの迷惑になってはいけないという「公共の福祉」ということを説明してもらいました。一人の権利と大勢の権利はひとしく大切なことも学びました。

また、嫌なことは「いや」と言っていいんだということも学び、終わりに、そんな対立が大きくなって戦争になる過程を分かりやすく示す「戦争のつくりかた」という映像を見ました。



少し怖くてショッキングな内容ですが、今の日本はまさに、2004年に作られたこのお話に日々近づいているように思えます。参加者からも、「2004年の時に見た」「このアニメで言っていることは6割くらい既に起きているよね」という声も挙がりました。

映像の中で、「大人は忙しいとか言って戦争がつくられていくことに気づこうとしないから、あなたが変だと思ったら『大変だよ、おかしいよ』と言ってください」というフレーズがあります。おかしい事には「おかしい」と言う、嫌なことには「いや」と言う。日本が再び戦争ができる国になってしまう前にそれを阻止するためにはまず国民が声を上げなければ、と改めて気づかされました。
(報告:木村明日美)

※第4回目(1月20日)にバリマタ王国(たまりばを逆にした名前)で、王さまのライオンが勝手に法律を決めたり、都合のよい政治をしようとすると、子どもたちが適切なカードを見せてそれをストップする。(憲法で国の権力を縛る)というワークをしました。レポートはこちらからお読みいただけます。

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