ジョバーグで学んだこと

DEEEPの会議の後、CIVICUS(市民社会の世界的連合組織)主催の講演会「Old Struggles, New Movements」がUniversity of Witwatersrand(ウィッツ大学)で開催された。世界の活動家が集まり、市民社会がどのように世界に変化をもたらすことが出来るのか、過去と現在の問題から学ぶために何が出来るのかが語られた。

スピーカーは以下の通り。
Jay Naidoo
南アフリカ労働組合会議(COSATU)の創設者
反アパルトヘイトの活動家で、現在は、国際NGOゲイン (Global Alliance for Improved Nutrition, Geneva)の理事長。
Adam Habib 
ウィッツ大学副総長
政治学教授であり、民主主義や社会運動に関する多数の著書がある。
Winnie Byanyima 
オックスファムインターナショナル 事務局長
ウガンダでエンジニア、政治家、外交官、活動家としても活躍。女性の地位向上にも務めUNDPを経て、2013年より現職。
Jenni Williams 
Women of Zimbabwe Arise(WOZA)創設者
ジンバブエの人権活動家
Joao Scarpelini 
#ChangeMob 共同創設者 http://change-mob.org/
ブラジル系イタリア人活動家、社会企業家。
Aya Chebbi 
Peace Revolution Project アフリカユースコーディネーター
チュニジアの若手活動家。アマチュア写真家、ブロガ―、ピースコーチ。


JayやWinnieなど、人生をほとんど闘ってきた人たちの声はとても力強い。

Winnieの言葉から
「私たちははじめは政府と闘っていたが、安定した政府がつくられると今度は、先進国の大企業に対して資源を守るために闘わなければいけない。私たちは、援助はいらない。援助漬けのせいで、闘わなくなってしまった。援助ではなく尊厳が欲しい。正義が欲しい。南と南の協力をもっと進めるべきだ」


JoaoやAyaなど、若者も負けていない。
「若者のコミュニケーションは今の大人と異なっている。最近の若者は怒らないと言われるが、私たちは実際に非常に怒りを感じている。そして、それを使って行動を起こしている。若者は若者として、もっと活動したいと思っている」

「アラブの春から大きな変化があったか、と聞かれるが、大きな変化はなかった。しかし、私たちはその後も活動を続けている。私たちはそれぞれで得意なことを活かして活動をしている。みなさんの得意なことから始めてほしい」

そして最後に、私たちに投げかけられた言葉は
「you are unstoppable/活動をつづけなさい」

過去から学ぶこと、未来を一緒に考えること。
それぞれの立場でできることが、必ずある。
勇気をもらえた講演会だった。

そして、最後の日、また高達さんに、最貧困層が住むタウンシップ(黒人が住むコミュニティ)に連れて行ってもらった。
高級住宅街やピカピカの商業施設が並ぶ眼と鼻の先には、吹けば飛ぶような掘っ立て小屋が並び、犯罪がはびこり、感染症が蔓延するスラム。昔からの光景だ。それは、今も変わらない。4日間行われた会議場の足元に広がる風景だ。




私たちは、何を見て、どこへ向かっているのか?
自己満足に陥っていないか、もっと現場で考えていく必要を感じた。

南アフリカにある今も続く植民地支配、差別の構造を、身近に感じながら、今回の会議が行われたが、市民社会も、同じような構造を作らないように、細心の注意を払う必要があると思った。

奪われたものを取り戻すための活動を支援しているつもりが、支配の構造を強化するようなものになってはいけないと強く思う。

GCAPの会議も、DEEEPの会議も、どこか上滑りな印象もあった。
とはいえ、世界の問題を一緒に議論していくことは、やはり重要だ。
その際に、どれだけ多くの人の声を聞けているのか。ここにいない人は誰か、を意識しないといけないと思う。

今、中東や北アフリカで起きていることは、とても大変なはずなのに、そのことはどちらの会議もあまり扱っていなかった。そもそもそこからの声は聞こえて来ない。

フィリピンで大きな災害があった。災害救済はもちろんのこと、それを起こしている側の責任を問うていかないといけない。さらにもっと大きな災害を引き起こす原発の問題についても、日本からもっと発信する必要があると強く感じた。

今回、学んだ「開発教育の役割」は、考え続けるため、行動を続けるための様々な情報をみんなで共有して、議論し、学ぶ場をつくることだろう。

「考えることも行動することも、やめてはいけない」
DEARとしても重要な使命をいただいた気がする。
(中村)

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