国際理解教育指導者セミナー in JICA駒ケ根

事務局の星です。もうすっかり冬ですね。
12/6(土)の早朝、金色に輝く東京のイチョウにさよならをして、長野県駒ケ根市へ高速バスで向かいました。 今回は、事務局の西あいと星久美子で行ってきたJICA駒ケ根主催の1泊2日の指導者向けセミナーについて報告したいと思います。 

雪の中、13名の小中高校の先生方と教育に関わっている方々が集まり、実践紹介やプログラム作りとそのプロセス、学習者中心の学びとは、について一緒に考えるセミナーを行いました。
プログラム概要
役割分担では、タイムキーパー、アイスブレーク係りなどを参加者の皆さんに担当してもらいました。2日目のニカラグア、モンゴルクイズ、面白かったなぁ!そういう誰もが楽しめるクイズから国際理解教育の内容に入っていくのは楽しいですね。

参加者の方の自己紹介「旅先でのスゴイ体験」で聞いた「台湾で飲んだ健康ジュースを飲んで不健康になった話」には大爆笑してしましました。そんな和んだ雰囲気の中でセミナーはスタート。

まずは、ワークショップ『写真で学ぼう!地球の食卓』の体験です。部屋の四隅フォトランゲージランキングを体験してもらいました。

ランキングでは、
1.グループで1週間ホームステイするとしたら
2.健康だと思う順
3.豊かな順
の3つのテーマで5カ国のとある家族(トルコ、エクアドル、中国、アメリカ、日本)とその1週間分の食材が写った写真を並べ替えてもらいました。今回は指導者セミナーということで、ファシリテーターとしてどのような質問や投げかけをするか、参加者のどのような言葉を拾うのかなどに普段より注意して進めました。

写真を見て「あ~豊かだわ!」「自分の近くに食べるものがあることが豊かだ」「農薬使ってそう」などのつぶやきがありました。

「どうしてそう思うんですか?」「自分の家と比べてみてどうですか?」「トルコに行ったとき食べましたか?」というような、参加者の経験に絡めた質問をしました。また、「この肉はきっと羊だ」「お父さんは出稼ぎで何の仕事をしているんだろう」などの発見と疑問が次々に生まれました。

ワークショップは予定の時間を大幅にはみ出し、後のプログラム押し押しになってしまい、かれこれ2時間はやっていたのではないでしょうか・・・にもかかわらず、参加者からは「短かった」「もっと話したかった」という声もありました。これには驚き!
豊かさは私たちでは決められないとして、このような並びに・・・他にも「自分たちのことを豊かだと思っているであろう順」など面白い基準が出ました。


体験したワークショップを指導者の目線で振り返ります。
「参加型学習」を中心にウェビングです。

まず、ワークショップを体験してみて、「楽しかった」。
では、どうして楽しかったのか?
「正解がないから、意見が言いやすかった」「自分の意見を相手に聞いてもらえる」「そのための環境づくりも必要だし、ファシリテーターの質問や問いの投げかけも大切だ」という意見がありました。
生徒からの偏見やステレオタイプな意見にどう答えるか。否定はせず、なぜを問うたり、事実を伝えること、または「その意見が自分の経験からなのか、もしくはイメージからなのか」を考えてもらうというような工夫ができることに気づきました。

また、ワーク最後に教師としてのまとめや、ワークを行う目的を学習者に伝えなくていいのかという疑問についても、それぞれの実践を踏まえて意見を交換しました。

他にもたくさんの気づきと学びがありました。

私が今回の地球の食卓ワークショップでねらいとしていたのは「参加型学習を楽しいと感じてもらうこと」と「多様な価値観があることに気づくこと」でした。それは達成できたのではないでしょうか。
ねらいとは別に、何について気づいたか、何について考えたかは参加者によって持ち帰るものはいろいろで、「もっと知りたい!」という好奇心に繋がってもらうことが大切だと思っていましたが、参加者の皆さんの意見と気づきから、私自身も改めてそう感じました。

豪華な懇親会の後も夜10時過ぎまで残り、グループで学習プログラムづくりに取り組みました。大浴場の終了時間が迫り焦りながらも、翌日の発表のため居残り、宿題です。

翌日、夜に降った雪が解け始めていました。とっても良い天気!
グループで作ったプログラムの発表です。
それぞれ、「教員の状態」と「生徒の状態」から「育てたい力(テーマ)」を考え、それに沿った学習プログラムの一部をデモンストレーションしました。

発表では、実際に発表するグループが先生役を、その他の参加者は生徒役を担いました。さすが、先生です。とってもクリティカルな内容で、普段からよく生徒を見ているからでしょうか、生徒役がとってもリアル!

学習プログラムのデモンストレーションには私も生徒役で参加させてもらいました。
グループを回りながら、模造紙に書かれた意見を先生が読み上げてくれたり、どんな意見も否定せずに「うんうん、そうだね」と相槌を打ってくれること、「そうだよね」と共感してくれることが、参加者としてとても嬉しく感じました。また、正解を当てることが目的ではないということも先生の態度や対応から分かりました。

こういった小さな配慮も学びの多い、楽しいワークショップを進めるためのキーになるということを改めて学びました。果たして自分はできているのか・・・?次回のワークショップの際に注意して心掛けようと思います。

セミナーの最後には一人ひとり、「国際理解学習で自分が大切にしたいこと三カ条」を紙に書いて全体で共有しました。

一、つぶやきを見逃さない。
一、足もとにある教材を使う。
一、ジレンマを感じさせる。
一、否定しない、受け止める、イライラしない。
一、好奇心をもって。

など、参加者それぞれの、セミナーでの気づき、学び合ったことが詰まった三カ条になりました。
皆さん、とっても素敵です!
最後に記念撮影。カメラマンの方が面白くって、みんなで大爆笑!
参加者アンケートの一部をご紹介します。
・これからの実践に活かせる手法や考え方を学べた。
・意欲ある先生方と話ができて、視野を広げることができた。
・体験型、参加型の良さを味わうことができた。
・教師海外研修の報告を子どもたちへどう行うかという大きなヒントを得た。
・学習活動の中でどのような投げかけをするか等、具体的に実践に使える内容だった。
・先生方のネットワーク、繋がりができた。

2日間を通して、学習プログラムのアイディアやプログラムづくりで大切にしたいことを考え、普段の実践を共有しました。私も先生方から学ぶことが本当にたくさんあり、次のワークショップに活かせそうです。皆さん、ありがとうございました。そして雪の中の1泊2日のセミナー、お疲れさまでした!
(報告:星)

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