フリースペースたまりばでワークショップ最終回「ワタシの大切なモノ・みんなの大切なモノ」

こんにちは。DEARボランティアの山田です。1月21日(水)に川崎市子ども夢パークにある「フリースペースえん(たまりば運営)」にて行ったワークショップ『ワタシの大切なモノ・みんなの大切なモノ』について報告します。

夏から冬の半年間にかけて、「食べ物から世界へ」をテーマに今まで5回のワークショップを行ってきましたが、6回目となる今回がついに、最終回です。身近な「食」をきっかけに世界の多様性について、そして様々な価値観をもった人がいることをみんなで発見して来ました。

まず始めに、ワークショップの振り返りのアイスブレイクです。どの写真がペアなのか、真剣衰弱からスタートしました。一度見たことがあるけれど、思い出せるかな?


「イナゴ、食べたね~、意外とおいしかったよね」
「わたしは無理だったー!」
「このオーストラリアの食べ物、あんまりおいしくなかったなぁ(笑)」
「ブラジルからやってきたこの子の名前、覚えているかな?」
「えーっと、ホジなんとか!」
「チョコレートの写真だから、これが原料のカカオだよ」

少し難易度が高いのでは...と内心ハラハラ見守っていたのですが、子どもたちは次々と正解を当てていました。
最後に残った写真は
①イスラム教の女性が挨拶をしている
②外国のおにぎりとヤクルトの写真
③グレープルーツ
④南アフリカの地図
の4枚でした。どの組み合わせがペアになっているのでしょうか。
答えは、①と②のペア、③と④のペアです。日本で食べているグレープフルーツはほとんどが南アフリカまたはフロリダから輸入されたものが多いそうです。

それでは、①と②の共通点は何でしょうか。実は、②の写真には、あるマークが隠されています。

これは「ハラールマーク」といって、イスラム教において合法なもの(ハラール)と、非合法なもの(ハラーム)を識別するためのマークです。不浄なもの(ナジス)を体内に取り込むことはハラームにあたるため、ムスリムの方は「何を食べているのか」ということをしっかり意識しています。

休憩時間に、みんなで、日本で売られているハラールマークがついたクッキー・クラッカーを食べました。

休憩が終わった所で、今日のメインのワークショップに移ります。机に、身の回りの身近にある「モノ」カードが20枚配られました。
ペット、宗教、ゲーム、コンビニ、自然、遊び場等…
そして現れたのは…なんと、宇宙人!!!



 「チキュウジンはワガママばかりしてシゼンをハカイし、センソウをシテイル。ウチュウカラの司令ダ。君タチのモッテイルモノを没収スル!10分デ10個ニ、絞ルノダ!
そう言って宇宙人は去っていきました。子ども達はカードをどんどん絞っていきます。面白かったのは、彼らの選定基準です。
「iPodなんていらない!歌えばいいじゃん!」
「自転車はいらないよ、だって資源だよ!鉄はいらないよ」「じゃあ俺いつもは自転車でここまで来てるけど、40分かけて歩くよ」
「宝石なんていらないよ、大人の欲を満たすためのものなんだよ」「でも、子どもの欲はゲームで満たされるからなぁ」


途中で更に、宇宙から「更ニ5ツニ絞レ」と司令がやってきました。
大切なものは人によって違うので、5つに絞るとなるとさあ、大変です。
「友だちは必要だけど、家族も必要」「みんな家族にしちゃったらいいよね」
「遊び場は自然の中でいいよ!」「洋服もいらないんじゃない?(笑)」「えーみんな裸なの?」

そして、カードにはないモノで、大切なものがあるか、聞き、それもカードに描いていきました。
「私には、“えん”が必要。居場所だもの」という声に、“えん”の職員は感動していました。
「人生最後の一週間だったらどうやって過ごす?家族と?それとも“えん”に来るかな」
「えんが強制労働の場所になったらどうする?(笑)」
「僕は愛が一番だと思う!」
「俺は温泉がなきゃ生きていけないね」

「家族」とみんなの意見で追加した「愛」
みんなの意見で追加した「温泉・洋服の代わり・えん」
そして、激論の末、最後に残ったのは「家族・愛・自然・ごはん・えん」でした。

「あなたの人生で一番大切なものは何ですか?」をいろいろな国の人たちに聞いた映像を見た後、カンボジアのこどもたちに大切なものをインタビューした本、『あなたのたいせつなものはなんですか?』山本敏晴 (小学館)を、朗読しました。


日本では当り前・前提としてあると思っている「平和」「言いたいことを言えること」「安全に暮らせること」…。カードにはなかったけれど、大切なものは気づかないところにたくさん隠れているのかもしれません。たまりば世界一周パスポートにシールを貼って、ワークショップは終了です。

このワークショップのねらいは、①自分自身の大切なものを考えてみること、②自分が大切にしている価値観に気づくこと、そして、③その価値観がみんなそれぞれ違うこと・多種多様な価値観を持って皆が共に生きていることに気づくこと、でした。自分の価値観を大切に持って、そして、周りの人の価値観を尊重することができたら…と、ふと考えてしまいました。

帰りの際に、こどもたちとスタッフの方が一緒になって、指名された子のいいところを1つずつあげていく山手線ゲームをしていました。ちょっと恥ずかしがりながら、はにかみながら、ふざけながらも“いいところ”がたくさんあがっていて、えんは、とても温かい場所だなぁと心が温まりました。
たまりばの皆様、ありがとうございました。
(報告:山田)

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