第9回「国際成人教育協議会世界会議(WA)」 レポート最終回

こんにちは。評議員の近藤牧子です。
日本に戻りまして、昼夜真逆の時差と曇天に身体がどんよりしております。
すぐに日常ですが、まだまだ興奮冷めやりません。
最後になりますが、全体をとおしたまとめをお送りします。
プログラム終了後の集合写真
ポスト2015にむけての指針

ユネスコが開催してきた、EFAの進捗状況をはかる地域準備会は昨年から地域ごとにおこなわれてきています(アラブとアフリカはこれから)。

DEAR代表の上條さん、事務局の中村さんらが出席してきた、世界教育会議のEFAのモニタリングレポートが配布されようですが、これを作成するプロセスそのものが、2015年への”big push”となったとのことです。

鍵となる指針は多様にあるのですが、今回の会議では以下のことが多く強調されていたように思いました。

  • EFA(万人のための教育)、MDGs(ミレニアム開発目標)などで、国際的に達成すべきことの合意はできているため、今後は政策実行者に「実行」をするように推進していく。
  • 基礎教育だけではなく、ノンフォーマル、民衆教育といった生涯学習を教育政策の中心にすえていくこと。
  • 教育の政策や実践の中心に、人権と、全ての人と環境のwell-beingを据えることを新たな指針の必要性とする共通理解をはかる。
  • ジェンダーや異なった開発目標次元の教育を差別や周辺化の他の領域へのインパクトにあわせて考慮したアプローチと、統合的、変革的、そして権利ベースのアプローチを真の持続可能な開発の事前条件として採用すること。

国境を越えられなかった参加表明者たち

今回、アラブ地域からの参加者が、たった3名でした。
これは、ICAE関係団体のアラブネットワークからすると、非常に少ないです。参加表明したにも関わらず、来られなかった人たちは、アメリカ政府(乗り継ぎ先として)もしくはカナダ政府からビザがおりなかったのです。

アフリカからも同様でした。
私のIALLAバッジであるエメリー(コンゴ)もカナダ政府から降りずに非常に残念がっていました。
また、今回のICAE代表選挙の候補者の一人であったティモシー(ブラジル)も、アメリカ政府から拒否されたとのことで、不服申し立てをしているとのことでした。選挙演説スピーチはスカイプだったのです。

入国許可が下りない理由というのは本人に知らされません。
外交の理由、個人の人権活動等の理由などさまざまです。
本当に、悲しく、残念なことでした。

“世界”会議ゆえの状況格差の課題

先進国と途上国の状況の差というのはやはり課題でした。
分科会でも、「成人教育といえば貧困状況にある人たちへの教育を指すので、私の国では大学生は含まない」という率直な意見が出ていましたし、一方で若者の雇用と職業研修、アドボカシーや市民教育に関しては、先進国のほうが熱心でした。

けれど理念としてEFAという共通の課題があるからこそ、こうして集えるのだということもさらに感じました。私自身も、途上国の仲間の発表はすべて自分の実践文脈に捉えなおせました。

言語をできるだけ越えようとする

今回、仏語、西語、英語の3言語がごちゃまぜに使われました。
全体会は同時通訳です。

ときどき通訳さんが混ざったり、話者が途中から言語をかえるものだから、うっかり通訳するのを忘れて通訳さんの笑いが止まらなくなって、笑いが起こる、なんていうのも、会場の雰囲気作りになっていました。

もちろん、私にとってはどれも母語ではないので言語バリアフリーだったわけではありません。が、英語に集約させるということだけはしていませんでした。

2年前にIALLAのプログラムで最初に事務局長だったセリータが言ったことは、「お互いゆっくり話しましょう。わからなければスピードを止めましょう。言語のバリアがある人たちは、それを気にしたりしないで。流暢な英語なんかしゃべらなっくってもいい。とにかく自分の思いを考えを話しましょう。私たちはそれを理解しようとするから」と、セリータ自身もとてもゆっくりと、自分のなまりで話しました。

わからないふりをしてくれているのではないか、と思うほど、「あれ、なんて言うんだっけ?」と参加者とともに言葉をつかっていました。

それにしても、途上国の人たちがこれらの言語を操るということ自体、世界がどれほど多面的に植民地主義下にあることかを思い知らされます。

まだまだお伝えしたいこともあるのですが、ここらで今回のご報告を終わりにしたいと思います。
読んでくださった皆様、ありがとうございました。
総会後の写真
全国研究集会等でお会いしましょう!
(報告:近藤)

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