モンゴル・ウランバートルより(その2)

2月18日。「International Policy Forum: Life Long Learning」(生涯学習についての国際政策フォーラム)が開催されました。

モンゴルにおける生涯学習とは何を指すのか、ということも垣間見ることができました。説明では、1990年代以降の民主化の中で、小中高段階が義務教育になったが、都市部以外の地域でのドロップアウト率は高く、彼ら・彼女らが成人した現在、教育不足の問題が顕在化しているため、成人のための教育施設が急務となっているという話でした(参考までにモンゴルの人口は300万人で、約半数が首都ウランバートルに暮らしている)。


フォーラムはMEA(モンゴル教育協会)主催で、60名ほどの参加者の内訳は、市民社会組織、研究者、政府関係者、ASPBAE関係者です。発表者は、政府からは、文部科学省政策立案局長、同じく文部科学省の全国生涯学習センター統括官がそれぞれモンゴルの現状について話しました。

1.ASPBAE事務局長からの挨拶

SDGsの目標4が教育に関連する項目を、Education 2030の枠組みを使って各国で推進していくことになる。教育の質、ディセントワーク(適切な仕事)、若者、就学前教育などが強調され、ASPBAEの基本理念である人権と教育、生涯学習、平和の文化、持続可能な開発の概念に基づいて推進されるべきであることが話された。

2.文科省

生涯学習、国際的な枠組み、SDGs、持続可能性などの概念はモンゴルにとって新しいものである。1990年にUnofficial education centerが全国に設置され、2002年にDistance National Center(約180か所)、2012年にLife Long Learning Centerに改称された。Civil, Moral, Ethical,Familyの分野で活動している。

現在は、就学前教育と大学卒業後の職業教育の視点から、大学研究機関などと協働してカリキュラムを開発中である。

3.パネルディスカッション

ASPBAE理事:インド、インドネシア、EU、オーストラリアの経験が共有された
  • 会場全体で、「生涯学習という概念との出会いの経験」についてバズセッション(会場からの自己紹介で、ある男性が、「もともとビジネスマンで成功したのち、アルコール依存症になり(モンゴルの大きな社会問題)、その後立ち直り、10年かけて医師免許をとり現在はアルコール依存症更生施設を運営。義務教育は修了していない」という自分史を語ったのが印象的でした。)
  • 生涯学習は非常に多面的で人生のあらゆる局面が含まれる。
  • インドネシアの経験:マイノリティグループが多いので、自文化を学びなおす必要性がある。
  • インドの経験:マイノリティグループ。教育そのものが目的ではなく、地域や自分たちの課題を解決するプロセスで生涯学習の視点を持つことが大切。
  • EU(ドイツ):ナチ時代の自分の故郷の様子を聞き取るという宿題が小学校時代にあった。歴史を学ぶ必要性。
  • モンゴルの現在の課題:少数民族の暮らす地域での鉱山開発が彼らに与える影響、アルコール依存症、人身売買、民主化以降のモラル低下など。
4.まとめ
  • 生涯学習の枠組みはあるがそれを現場にどうやって具体化するかのプログラムデザインが課題である。
  • 主としてマイノリティが暮らす地方の行政の理解と協力をどうやって作り出すかが課題。

政府関係者と市民組織の健全な対話が成立している様子は印象的でした。モンゴルの社会は民主化して間もないだけに、さまざまな制度設計が進行中で、国際的な枠組みを取り入れたり市民社会の意見を聞くスペースが多くあると感じました。

また、日本の公民館は世界的にも有名で、モンゴルでも質問をたくさん受けました。
(報告:上條)

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