フリースペースたまりば「えん」でワークショップ   2015年度第5回「身近なジレンマを感じよう」

新年を迎えた2016年1月20日。たまりば内の広場には雪が残っていました。寒さで氷のようになった雪の上を、ピューっと滑っている男の子たち。

私も混ざろうと近づいていきましたが、スケート場で転んで頭を打った記憶がよみがえり、断念。こうやって「大人」になるんだなぁとしみじみ思いました。

さて、今日は今年度最後のワークショップ!
その最後にふさわしいアクティビティが、今回、できたのではないでしょうか?

2014年から10回にわたって、いろいろなテーマを扱ってきました。
みんなでどんなことを考えてきたか「思い出すこと」、そして多くの子どもたちが参加できるように「楽しむこと」、さまざまな場面で感じるジレンマについて考え、みんなで「モヤモヤすること」。これら3つを実現するために、「ジレンマすごろく」というものを用意しました!

じゃーん!「ジレンマすごろく」登場
まずは、アイスブレイク。
前回、たいへん盛り上がった「マシュマロ・チャレンジ」(前回ブログ参照)に引き続き、今回は「カップ・チャレンジ」に挑戦です!

用意する物は、紙(プラ)コップ、輪ゴム、紐です。
ルール:カップに手を触れずに、輪ゴムと紐を使ってカップを積み重ねていき、その個数を競う。個人でプレーでも協力してもOK。
参考:http://sciencegal-sciencegal.blogspot.jp/2012/09/setting-expectations-for-group-work.html


一人で黙々とトライ&エラーする人、作戦やアイディアを練る人、誰かと一緒に協力する人など、自分のやり方で熱中していました。

すごい集中力です
カップを6個、7個と積み上げていきます。
「ちょっと、机揺らさないでよ!!!」なんて声も飛び交います。
当初の予定は20分ほどでしたが、ゆうに40分間は取り組んでいました。すごい集中力です!



さて、休憩する間もなく、本編である「ジレンマすごろく」がスタート。
ルールは一般的なすごろくと同様ですが、自分のコマが停まったマスが「ストップ」だったら、カードを引いて質問に答えなければいけません。

用意したストップは、以下の3種類。

①「ジレンマストップ」
ジレンマを感じるような質問を読んで、議論してもらいます。なかなか答えを出すのが大変なものばかり。例えば、「スキー合宿の当日に妹が熱を出したら、スキー合宿へ行きますか?」というようなよくありそうなものや、「欲しい服が児童労働で作られていますが、買いますか?」というようなインプットが必要なものも含めました。

「ジレンマストップ」カード例
②「思い出ストップ」
これまでに扱った内容を思い出すことを目的とした質問に答えてもらいます。「世界にはいくつの言語があると言われているでしょうか?」「ベートさんはどうして怒っているのでしょう?」など。

「思い出ストップ」カード例
③「サービスストップ」
誰でも答えられるような質問やオーダーも入れました。「好きな食べものは何ですか?その作り方を説明してください」「緑色の靴下を履いている人を見つけて、似合ってるね!と褒めてきてください」「ポケモン、アンパンマン、妖怪ウォッチのうち、キャラクターの名前を10以上言ってください」など、楽しいものばかりを用意。

「サービスストップ」カード例
子どもたちは近くの人でチームを作って、すごろくをチーム対抗で始めることに決定。

ストップの無いマスにばかり停まったり、ゴール目前にワープして1レーン戻ったり、手作りサイコロが壊れたり……と、すごろくならではの楽しいアクシデントが続きます。


そんな中、カードを引いて質問に答える部分が、いちばんの盛り上がりポイントでした。
あーだこーだ議論し、うーん…と悩んで、とても活発な意見交換がたくさんなされていました。
そのいくつかを紹介します。

「ジレンマストップ」
親友の好きな人のことを自分も好きになってしまいました。そして、その人からデートに誘われました。どうしますか?

→親友なんだから、大丈夫でしょ。
→その友だちにデートに言っていいか聞く。

外国から遊びにきた友だちと銭湯へ行きました。すると、タトゥーがあるという理由で断られました。友だちは納得がいかない様子です。どうしますか?

→銭湯の人を説得する。
→そもそも、なんでタトゥーがダメなんだ?
→お湯の中で色が抜けちゃうんだよ、きっと。
→昔、犯罪歴のある人にタトゥーを入れたから。

あなたは車いすに乗っている人と一緒に駅へ急いでいます。近道がありますが、狭くて車いすでは通れません。その人は先に行っていいと言っています。どうしますか?

→キャンセルできる用事かどうかに依る。
→その人を背負って行く。車いすは後で。

日本では市民の武器所有は禁止されていますが、警察官は武器を持つ必要があると思いますか?

→武器はいる。
→いや、いらない。
→ていうか、犯罪は誰が犯罪と決める?

捨てられた子猫を保護しました。家に連れて帰りたいと思いましたが、あなたのお姉ちゃんは猫アレルギーです。その子猫をどうしますか?ちなみに夜の11時です。

→とりあえず朝まで保護して、次の日に飼ってくれる人を探す。
→猫の家をつくる。


「思い出ストップ」
まだ食べられるのに捨てられてしまうのをフードロスと言います。捨てられてしまう理由を思いつくだけ言ってください。

→賞味期限切れ。
→食べ残し、好き嫌い。
→印字ミス。
(フードロスについてのワークショップを実施した日にはちょうど参加していなかった子が、自分で考えて答えてくれました!)

正義とは何でしょう?昔話カチカチ山でウサギがタヌキに仕返しすることについて、あなたはどう思いますか?

→おせっかい!
→平等の対義語ってなに?ひいき?(なぜかこういう話をしていた人たちもいました)



なかなかゴールに辿り着かず、大人の都合で「サイコロの出た目の4倍すすむ」というルールを設け(笑)、ようやく全チームがゴール!

なんと、これまでの最長集中記録を更新、1時間30分間も熱中していました!すごい…。
これほど盛り上がるとは、正直思っていませんでした。大成功!

カードの質問を読み上げて、みんなで話して、答えるというシンプルなアクティビティですが、その過程で子どもたちがいろいろなことを知識として知っていること、普段考えていること、さまざまな疑問が湧きおこってくること、そんな様子が伺えました。

知っていることを実際の生活で応用したり、他者について自分の身に置き換えて考えることができる、そして、多方面から物事を観て疑問を感じることができる。

そんな、「えん」の子どもたちから出てくる言葉に、いつも驚かされます。
いつかまた、「ジレンマすごろく」をカードの内容を変えて、みんなでやってみたいです。
(報告:星)

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