「望むのは死刑ですか?」教材おためしワークショップを開催しました

5月12日(土)にNPO法人監獄人権センター(CPR)と共催で、「望むのは死刑ですか?」教材おためしワークショップを、BE*hiveで開催しました。

CPRは、受刑者の方の人権を守るための相談活動や提言活動、調査などに取り組むNPOです。「監獄」「人権」「受刑者」というコトバが並んだだけで「怖そう‥」「難しそう‥」とひるんでしまう人も多いのではないでしょうか。

しかし、刑罰のあり方(厳罰化するかどうか)や死刑制度の存廃には世論も影響力を持ちますし、裁判員になったら罪を犯した人の量刑を判断せねばなりません。毎年、何万人も出所される元受刑者の方と、地域や職場で共に生きて行くのもわたしたち‥。

「もっと多くの市民に、刑罰や裁判員制度のことを知ってほしい、考えてほしい」ということでご相談があり、昨年から一緒に教材づくりに取り組んでいます。


ワークショップには、教員や大学生、留学生、NPO/NGO関係者など約20名が参加しました。「こういう場に来る人は、死刑廃止派なんでしょ?」と思われるかもしれませんが、そのようなことは無く、幅広く、多様な考えを持つ方が集まってくださいました。

現在試作中の教材をつかって、クイズ、映画の視聴、裁判員の声を読むワークなどをやりました。知らないこと、よく分からないことが多いテーマだからこそ、気づきや驚きがたくさんあるようでした。

CRPの秋山さんによる解説

体験後は、どうしたらこの教材がよりよくなるか?をグループで話し合ってもらいました。高校や大学の先生からは「新しくはじまる公共の科目では、このような学びがとても大切になる」という意見をいただきました。

参加者アンケート(一部抜粋)
  • どの考えも、どの意見も、どれも正しいと思えた。
  • 社会教育、学生向きにはすぐに使える動画だと思った。
  • 動画では、様々な異なった意見が飛び交い共感したり、疑問に思ったり、色々と考えさせられた。
  • 死刑制度については漠然とした知識や直感で考えてしまいがちな中、また、正確な情報が提供されない中、重大な判断を求められる裁判員の負担をあらためて考えた。
  • そもそも死刑をなんとなく認めていながら、深く考えたことはなく、また、考えたこともない国民が大多数であることが問題だと思っています。
  • 学校であつかわれてきた「死刑」教材は、告発(冤罪)かディベートが多く、「議論する」という教材はユニークで受け入れられやすいものです。新教科「公共」ではつかいやすいかもしれません。
多くの方が、「今までこういう話をしたことがなかった」「こうした機会を持ててとてもよかった」とおっしゃっていたのが印象的でした。

たくさんの意見・質問にCPRの秋山さんと塩田さんが応えてくれました。「殺人事件の半数以上は親族間によるもの」というお話には、どよめきが。残された親族の方々は「被害者の親族でもあり、加害者の親族でもある」という状況に置かれることとなります。

参加者の皆さんの様子を見ていて、気持ちが揺れ、意見が変わり、他の人の言葉に耳を傾ける様子がとても印象的でした。そして、特に死刑については、価値観・文化・感情と制度(法)など、様々な視点が混ざり合っているのだということを感じました。

教材は7月完成予定です。おたのしみに!
(報告:八木)

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