Tシャツができるまで フリースペース「えん」2018年度第4回

こんにちは。事務局スタッフの岩岡です。

DEARは、 川崎市にある「フリースペースえん」にて定期的にワークショップを開催しています。4回目となる11月16日(金)は、ACEさんの教材『このTシャツはどこから来るの?』を使ってワークショップ「Tシャツができるまで」を実施しました。

自分が普段着ている服はどこでどのように作られているのだろう?という疑問を入口に、児童労働の現状について学び、これからどんなことができるかを考えます。今回はそのワークショップの様子をお届けします。

まずは、「みんなが着ている服はどこから来ているかな?ラベルを見てみよう!」と声がけし、みんなで自分が着ている服のラベルを見てみました。すると、中国・韓国・ベトナム・マレーシアなど様々な国から来ていることが判明!

「じゃあ、そもそも、服は何でできている?」と聞いてみると、ラベルに書いてあった「綿!」とすぐに出てきました。「じゃあ綿は何からできている?」と聞いてみると、「うーん。何からできているのかな?」ということで、綿の葉っぱや収穫する様子の写真、それ以外の絹や麻の写真も見せながら、様々な繊維について紹介しました。実際の綿毛を見せると、子どもたちは興味津々で触っていました。

この写真は何をしているところでしょう?麻を収穫しているところだよ~

綿毛に興味津々!ふわふわの中に種が入ってるよ~!

その後、綿から衣服ができるまでを写真を使って並び替えを行いました。綿は中国とインドで世界の約半分が生産されています。一枚のTシャツを作るには200g(綿花の畑3.2畳分!)の綿が必要だと知ると、「えぇ~そんなに必要なの?」とびっくりしていました。

次にファッションにかかわる人たち6人に登場してもらい、話を聞きます。
  • アパレル会社AIM(エーアイエム)社長の服部さんは、ファストファッションの人気で経営は順調。
  • そんなAIM社でアルバイトをしている、おしゃれが好きな大学2年生のわたこさん
  • 中国の縫製会社好王社(ハオワン社)の王さんは、インド産コットンが原料の布を輸入し、服部さんの会社に衣服を納品しています。納期が短いため、安く大量に衣服をつくっています。
  • インドのコットン農家のマヘシュさんはコットンを栽培して工場へ販売しています。でもコットンの買い取り価格が安くて困っており、子どもを雇って働かせています。
  • そのコットン畑で働く13歳のラクシュミさんは、学校には行ったことがありません。コットン畑の農薬の影響で体調が悪い、とのこと。
  • ラクシュミさんのお母さんであるティムラマさんは、日雇いの仕事をしているけれど夫は無職。女の子に教育は必要ないと思っています。

アパレル会社AIMの社長の服部さん。流行の移り変わりは早いので、我が社は2週間に1度は新しいデザインを開発しています!

大学生のわたこさん。洋服はデザインと値段が大事かな~

6人の話を聞いて、子どもたちがどんどん質問していきます。
「インドのコットン畑で子どもが働いていることを、服部さんはどう思うの?」
「マヘシュさんはラクシュミさんに賃金をきちんと払うべきだと思う。」
「ティムラマさんの仕事の収入がもっとあれば、ラクシュミさんも学校に行けるんじゃない?」


そこに印度新聞の号外が配られました。なんと見出しには「コットン栽培で児童労働、健康被害も」とあります!ラクシュミさんが畑の農薬の影響で健康を害しているという記事が出回り、日本企業の責任を問われていることを知ると、子どもたちの声は一気にAIM社の社長の服部さんへ。

「洋服の値段をもっと上げたほうがいいよ!」
「2週間に1回のペースでデザインをつくらなくてもいいんじゃない?」

みんなでラクシュミさんが健康で元気になるにはどうすればよいか、考えました。

号外新聞には、「子どもが犠牲になるコットン、日本企業も調達」とあります。

最後に、コットン栽培の様子や児童労働の問題についてビデオを鑑賞しました。感想を聞くと、色々な意見や気づいたことがたくさん出てきました。
  • 服をつくる全ての工程を、輸入に頼らずに日本でできないのかな?
  • リメイクをしたり、お直し屋さんで修理したり、古着を買ったりする。
  • いい製品を買って、大事に使いたい。いい製品はもっと発信したい。
  • ファッション会社の広告に惑わされちゃダメだね。
毎日着ている服をちょっと違う視点から考えた今回のワークショップ。初めて知ったことや気づきがたくさんあったようで、終了後もなかなか話が尽きませんでした。一市民&消費者としてできることはたくさんある!と感じました。(報告:岩岡)

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