ICSWレポート(1)世界111か国で市民社会が脅かされている!?

こんにちは。スタッフの伊藤です。
4月8日~12日にかけて、セルビア開催されたInternational Civil Society Week(ICSW)に参加してきました。ICSWでは、市民社会や人権が脅かされている問題を喚起し、市民が一体となって問題に取り組むことを確認し、解決策を見出す場として開催されています。

ICSWでは、全体会と分科会で構成されており、私はその中のグローバルシティズンシップ教育の分科会に参加してきました。今回は、ICSW全体の様子や感じたことを報告し、分科会の様子については、次のブログで報告したいと思います。

市民社会スペースに関する衝撃的なレポート

ICSWを主催する、CIVICUS(「シビカス」と読みます)の調査では、世界111か国で市民社会が脅かされており、世界の人口の4%のみに開かれているというショッキングなデータがあります。

ICSWでは「団結の力」(Power of Togetherness)をテーマに、その後の三日間を「つなぐー(段階を)上げるー行動する」(Bridge-Stairs-Streets)という道筋で進め、セクター内外を超えたつながりや、パートナーシップが不可欠であること、また変革を実現させるための解決方法を共に見出していくことが強調されました。

初日のサミットでは、各分野の活動家をパネリストに招き、サミットの位置づけの確認や、課題提起がなされました。また、国連特別総会および、High Level Political Forum (HLPF)で、市民社会や人権が脅かされている問題の重要性と緊急性についてアジェンダに入れるための提言がされました。
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文化の背景の異なる人達が集まると、どうやってそこから前進したらいいのか、と思うことがあります。

パネリストのお話で印象的だったのは、既存の市民団体どうしがつながり、交流する中で、お互いの文脈は違えども、良い事例は生かされること、そして、平等な権利や機会について自由に表現できる「環境」を共に作り出していくことが大事ということに、納得するとともに、勇気づけられました。

また、環境関連の活動家からは、気候変動、環境保護、人権問題などはすべてつながっており、より活発な団結が求められること。私たちには声はあるので、それを団結させる必要があること、そしてこれまでのその時間を十分に作ってこなかったという指摘もありました。

二日目の全体会では、「つなぐ」をテーマにパネリストを招いてセッションが進められました。
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国を超え、一般社会がつながり、協力していく必要があり、ファシスト的な価値や極右思想が膨らみつつある現在では、ローカルなレベルでの抵抗が必要になり、ボトムアップによる確固たるアクションの必要性が述べられました。


開催地のセルビアが位置するバルカン半島では徐々に民主化へ移行しつつありますが、一方で、市民社会が狭められつつあること、汚職や腐敗がまだはびこっており、メディアは政府の影響を強く受けていること、慈善活動は軽視されており、政府からの資金のカットや、政府からターゲットとされやすいことなどが報告されました。

教育分野からは、Bridge47のRilli Lappalainen(リリー・ラッパライネン)さんが登壇し、SDG4.7はSDGsの根底であること、また、フォーマルな教育に限らず、ノンフォーマル、インフォーマル教育の重要性も挙げられました。
※Bridge47については以下動画をご覧ください。


グローバル・シティズンシップ教育(GCE)といった、「価値観に基づく教育」の世界的なネットワークや、教育を通じて異なるアクターをつないでいくことで、各文脈での解決策を見つけることにつながり、前進するためのインスピレーションを得られることが強調されました。

そして、変革のためにはシステムを変えていく必要があり、教育は大きな役割を果たすこと、システムを変えていくためには、これまで話さなかったり、不快に感じる相手に対して、自ら挑戦していく必要があり、そのためには、共通言語を見つけていく必要性が述べられました。

対話の重要性は述べるまでもないですが、セクターを超え、横断的につないでいくことを意識してきたか…自らの行動をふりかえった一日でした。続きは次回。
(報告:伊藤容子)

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