Transformative Learning Journey 研修レポート(その1)

こんにちは、スタッフの伊藤です。

10/6~10/11にかけて、Bridge47(「ブリッジ・フォーティ―セブン」と読みます)が主催する集合研修に参加してきました。以前にも紹介しましたが、Bridge47はSDGs4.7を達成するためのネットワークで、グローバルシティズンシップ教育を通じた変革や政策提言を目的としています。


今回の研修は、ドイツのベルリン郊外にあるフォアデという所で行われ、20名が16か国・地域から参加しました。

参加者は、開発教育、グローバルシティズンシップ教育、人権教育、平和教育などの隣接教育分野で活動する、アクティビストや研究者、ファシリテーターなどで、研修はTransformative Learning Journeyと題し、様々な文脈や背景をもつ参加者どうしが意見交換を通じながら、変革のための道のりを共に歩んでいくことを目的としています。

5日間の研修のプログラム

参加者の活動地域は、アイルランド、ウガンダ、エストニア、コロンビア、ケニア、スコットランド、スロベニア、セルビア、チェコ、トルコ、ドイツ、日本、ネパール、パレスチナ、フィンランド、ブラジル、ポーランドと広範囲にわたるのですが、個人のルーツとなると、移動も多く一国にとどまらずさらに増えます。

出身地という括りは把握しやすいけど、個人をよりよく理解するためにはもっといろんな構成要素や、個人を形作っている環境を考慮する必要があると思いました。

多様な背景を持つ参加者の集まりでしたが、唯一共通点があり…皆さん本当によく話す!のです。集合研修では前提かもしれませんが、自分の地域の実情や課題などを、異なる文脈をもつ参加者に対して言語化して説明するのが上手く、対話の場面では大事だと思いました。

今回の研修プログラムは、お互いを知るための自己紹介や目的の共有、社会課題や問題の根本原因の理解のためのワーク、既存の変革の理論などの講義、社会や環境システムを体感するための身体を使ったアクティビティなどで構成されました。


プログラムではメタファーが多く用いられ(例えば、家、バス、キノコなど)、複雑な問題の把握や、お互いの方向性を共有したり、対話を促すしたりすることに役立つと思いました。

また、身体を使って、木になってみたり、人生の中の一ステージを劇形式で表現してみたり、手をお互いにつないで有機的なつながりを体感したり、自然の中に出て後ろ向きに歩いて過去に想いを馳せたり、前向きに歩いて将来に考えたりもしました。

こういったアクティビティは社会・環境システムや時間の流れといった大きな概念を自分なりに把握したり、自らがその構成員であることを実感したり、感覚を刺激することでこれまで周辺化されていたことに気づいたり、自分の文脈と関連付けるのに役立つと思いました。


プログラムを通じて印象に残っているのは、参加者との日々のふりかえりです。

ある日のふりかえりで、「理論は押し付けられるものではなく、自分たちの中から出てきたものが集合的に示されるべきであること」、また、「今回提示されたモデル自体が先進国の前提で作られている。途上国とのレベルが違っており、ガバナンスなどの視点が抜け落ちていること」、「変革のモデルの話をするなら、自分達の声を聞きに来るべきであり、搾取される構造的な問題は解決していない」という話がありました。

当事者の声をどれだけ聞こうとしてきたか、自らの態度を改めて見直す必要があると思いました。

研修では、ファシリテーターの一人が急遽来られなくなるなどのハプニングもありましたが、目的を共有する参加者との濃密な5日間を通じて、とても協力的な関係を築くことができました。

また、フォアデにあるセミナーハウスは川や畑に囲まれたとても自然が豊かで静かな場所で、久しぶりに自然に耳を傾け、大きな時間の流れを感じることができました。

食べ物は地元の有機農法で栽培された野菜がふんだんに使われた食事が振舞われ、野菜本来の味や色の美しさを楽しむことができ「ベジタリアンの食事が物足りない」という私の考えが覆りました。大事につくられ、そのプロセスに想いを馳せ食べることで、「いただく」ことを忘れがちだな、と改めて思いました。


この研修は、3部で構成されており、今回の研修の後、ウェビナーやオンラインでのグループワークを経て、12月に第2回目が実施され、最後に国際会議に参加する形で、成果発表をします(4月か5月の予定)。

今回の研修を経ての具体的なアクションはこれからになります。半年ほど続く研修になるので、また、経過をお知らせします。
(報告:伊藤)

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