こんにちは、スタッフの伊藤です。
現在作成中の新教材『プラスチックごみ』を使ったお試しワークショップに、参加しました(8月30日実施)。
発行目標は10月です! |
今回、実施くださったのは、日本語教育アドバイザーでロンドン在住の藤光さん(進行)と、ヨーロッパ各国で日本語教育に携わっている皆さんと私の計11名です。発行前の教材のブラッシュアップのために、集まってくださいました。
参加者の皆さんは、イギリス、イタリア、スイス、ドイツ、日本、フランスで、小学生から大学院生、社会人を対象に日本語教育を実践されており、市民性教育との連携、そしてドラマ技法の活用に関心がある学びの仲間と聞き、参加前からわくわくしていたのですが、各地域の事情も絡めた、多様な視点や意見が提示されるワークショップ展開となり、とても楽しく、刺激的な時間となりました。
ヨーロッパ各地からオンラインで参加くださった皆さん |
今回のワークショップでは、進行上の改善点や発問、アレンジなど、教材に生かせるヒントをたくさんいただきました。
教材をそのまま使うのではなく、対象の関心や、地域に合わせてどう使うかということを、皆さん考えており、どこまでを教材に記載するか、という部分でも参考になりました。また、参加者の方々の気づきから、私自身プラごみ問題取り巻く社会のあり方や、自身の役割について、より広い視野で考えるきっかけとなりました。
以下、プログラムと皆さんから出された意見を紹介します。
プログラム
- 4つのルール:安心して話し合うために
- プラスチックを探せ!自己紹介
- クイズ
- ロールプレイ:海が大変!海の生き物会議
- ロールプレイ:どうする?プラごみ!関係者会議
- アクションについて考えよう
- ふりかえり
ロールプレイを通じて
印象的だったのは、「国内で処理できないものが、海外に行くというのはどうなのか、消費者はリサイクルされていると信じているが、そうではないという現実がつっかかる」といった疑問とともに、「自分の立場で頑張っているのは分かった。問題なのは、自分ができるのはここまでと考えていて、そこで止まってしまっていること。多様なステークホルダーが集まる機会が増えるといい」といった、全体を見渡したうえでの意見があがったことです。
ロールプレイを通じて、疑問に思ったことや意見を参加者から提示してもらうことで、お互いに新たな気づきが生まれ、仕組み切り込む効果的なアクションを考えることにつながると感じました。
アクションについて考えよう
イラストを使ったアクティビティを通じて
イラストをもとに、プラごみ問題をめぐる構造について考えるもので、参加者からいつもいろんな角度や観点の意見が出る、面白いアクティビティです。
ハイムーン工房のホームページより |
今回も、産業、次世代への負担、循環の問題、グローバル経済活動との関連など、多様な意見が出されました。意見の一つにあったように「個人個人が自分のしていることしか見えていなくて、一生懸命働いてもその活動の意味がわかっていない」という問題に私たちは今まさに直面していると、ワークを通じて改めて感じました。
どういう観点で見るかというのは、人それぞれではありそれが面白いところですが、それをさらに深堀できるような発問が大切だな、と改めて感じました。
参加者間のやり取りを通じて、改善のアイディアをいただくことができました。
- リサイクルに貢献しているつもりでも、全体から見れば効果があまり上がっていない。元栓をしめたら、この水道で生計を立てている人はどうなる?こぼれてくる水も誰かの生活の役にはたっている。
- ゴミ(蛇口)に名前がついていたら、ゴミを減らす近道になりそう。
- 左でバケツをもっている小さな子ども→将来の子どもたちへの負担。
- リサイクル活動と言いつつ、結局リサイクルじゃなくて物を動かしているだけ?
- 個人個人が、自分のしていることしか見ていなくて、全体の循環がわかっていないので、一生懸命働いてもその活動の意味がわかっていないようです。
- ゴミになる前、だれが、何のためにプラスチックを使っているのかは描かれていない。
- じゃばじゃば流れている水はグローバルな経済活動?プラスチックは私たちの今の暮らし=グローバル化された経済活動に付随して発生している面が強い。水を止めてしまったら経済活動が停滞してしまう怖れは?
- 元栓とはだれか?元栓は人として描かれていない。→agencyがないもの?人じゃなかったら、社会システムに組み込まれた社会の価値観?だとすると、誰が閉めるのか?
- リサイクル活動に関わっている全ての人々が、実は本当にすべきことを理解しないまま行動しているのでは?
- この樽は?地球?海?
今回は、日本語教育に携わる皆さんとの、新教材「プラスチックごみ」お試しワークショップの一部をご紹介しました。
教材の発行は10月を予定しております。学校ではもちろんのこと、身の回りの方と、プラスチックごみ問題について考え、アクションにつなげるきっかけとなればうれしいです。
そして、本教材作成のためのクラウドファンディングへのご協力いただいた皆様、改めて心より感謝申し上げます。おかげさまで、200名の方々より、目標額をはるかに上回る1,076,500円ものご寄付をお寄せいただきました。お手元に届く日を楽しみにしていてくださいね。(報告:伊藤容子)
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