「DEARカレッジ」第1回「公正・共生・循環(総論)」開催レポート

こんにちは。
プレイベントに引き続き、ブログを担当させていただきます、大学院生のボランティアスタッフ、氏井紅葉(うじい・もみじ)です!

今回は、オンラインで6月から開催されている「DEARカレッジ〜SDGs学習のつくり方(テーマ篇)」(全7回)の第1回「公正・共生・循環(総論)」のレポートです!


★アイスブレイク★

まずは、初回ということで、数人のグループでアイスブレイク!

  • 自己紹介(名前、普段の活動や仕事など)🙋
  • 講座の何を楽しみにしていますか?😏

その後、「講座の何を楽しみにしているか」を全体チャットに書き込んでいただきました♪

  • 持続可能なまちづくりとして、どんな視点でどんな実践があるのかを知りたいと思っている。
  • 高校の社会科の授業の参考にしたい。
  • ビジネス側面以外でSDGsを学ぶことを楽しみにしている。

色んな視点から参加していただけていることが分かりますね!!

49名の皆さんが参加しています(写真はその一部)

★グループディスカッション★

アイスブレイクもできたところで…
早速ブレイクアウトルームでディスカッション!

最初のテーマは、「誰一人取り残されない」がSDGsのスローガンですが…
  • コロナ禍で取り残されたといえば?
  • 当たり前だったことが、当たり前じゃなくなったことがありますか?
  • その中に取り残された状況、社会構造の変化、立場(力関係)の変動など気づいたことありますか?
その後、全体で共有していただきました。
  • パート労働、飲食店の方々、セルフレジになって、役割が消えてしまっている。
  • オンライン授業だと全員が常に見えてしまうので、気が休まらず苦手な子もいる。それと同時にもちろんオンラインで楽になった人もいる。
  • 当たり前でなくなったことは、コロナ禍で活動が制限されていくこと。自分はそこにあわせて変えるという気持ちもある。今までに戻したいと強く感じる人もいる。そちらが強くなると、状況に応じて変えていきたいと思う自分が取り残される。

★田中治彦先生の講座★

田中先生は上智大学を定年退職し、その後、非常勤講師としてSDGsを教えてらっしゃいます。私は去年上智大学大学院に入学して以来、田中先生の講義を2年連続受けています!

毎回、楽しくて笑いが絶えず、他の先生が教室をのぞきに来るくらいです…(笑)

田中先生は今回、SDGsの本質の理解をということを目的に講座を行いました。

まず、私の後輩の大学院生との話の紹介から始まりました。
その院生はとある結婚式場が大々的に「SDGsに取り組んでます!」と言っていたため、何をしているのか尋ねたところ…
以下の取り組みを行なっていると言っていたそうです。

  • 衣装の買取はできない
  • 招待状は電子メールのみ
  • 飾り付けは変えない、など…

さて、これが本当にSDGsに取り組んでいるということなのか…?😮

『SDGs学習のつくりかた』を使って、本質を踏まえたSDGs学習が広まればいいなと思っています!

「SDGsとは」については、『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ』をぜひ読んで、教員の方であれば授業でも使って欲しいとのことです。

ここから本編の抜粋です。

2つの公正

田中先生によるとSDGsには2つの公正があります。

(1)世代間の公正=環境問題
子ども・孫たち(未来)にゴミを残さない
子ども・孫たち(未来)の資源を使い切らない

(2)世代内の公正=開発問題
今いる衣食住を欠く5分の1の人々
貧困、人口、環境破壊の悪循環

公正の考え方
・「(形式的)な平等」はわかりやすく、広く使われる。
・「(実質的)平等」を達成するための、基準は難しい。

形式的平等から実質的平等への道筋が「公正」の考え方

事例:子どもの貧困と高校進学

政府の考え方=形式的平等
「全ての子どもが進学できるだけの高校の数を設置している」
現実=実質的不平等
「希望する高校には入れない(塾や家庭教師などの面で差がある=実質的不平等)」

実質的な平等を確保することが公正であるとしています。

SDGsのメッセージ「誰一人取り残さない」

これには2つの意味があります。

  1. : 貧困大国が新興国になっています。その中でも取り残された国(アフリカ諸国・島国ソロモン諸島・内陸国モンゴルやネパールなど人口が少なく、気候変動にも影響されています。)があります。
  2. : 取り残されがちな人々は女性、子ども、高齢者、先住民族、移民、難民です。

こうした国や人を取り残さないようにする必要があります。

2つの多様性

  1. 文化の多様性(言語・文化など)
  2. の多様性(生物多様性)

以上の2つの多様性が重要だとしています。

文化的多様性は数値にはなかなかできません。よって、見過ごされがちです。
教育は大事ですが、それが進めば進むほど、少数言語や伝統文化が失われてしまいます。
公正さを追求すると、多様性が失われる可能性もあります。

国ごとの内発的発展・その土地の文化・伝統的技術に接続しているような発展が必要ではないかと考えています。

SDGs学習の進め方

1. 参加体験型の学習
『SDGs学習のつくりかた』17のカリキュラムをぜひ活用・参考にしてください。

2.カリキュラム・マネジメント
SDGsを一つの教科に限らないようにすることが大切です。
教科・特別活動などを教員みんなでつなげましょう。

3.社会に開かれた教育課程
自治体・企業・政府・NPO・国連機関との連携も重要です。
社会、経済、環境については実社会とのつながりが必要です。

3つの理念

1. 包摂・共生 inclusion
取り残された人々を忘れずに、福祉的な支援やエンパワメントが必要)福祉の対象で変革の対象でもあります。弱い人の参加も大事です。みんなが、発言できる、発言を高めて社会を変えていくエンパワメントが大事です。

2. 公正・公平 equity
平等との違いとは?
地球サミット以来、公正が使われるようになりました。
CO2の削減の場合、みんな平等に一律にすると、開発途上国は抗議します。
なぜなら、先進国は先に発展して、CO2を排出してきたからです。

2016年のパリ協定で各国がそれぞれ削減目標を出して、全体でCO2削減していこうとなりました。(差異があるけど、全体で削減していく)これが平等ではなくて公正ということです。

3. 循環 circulation
環境破壊の原因は自然の循環を切断したこと
例)プラスチックごみ、化石燃料、森林伐採

講師からのコメント

「多くのことを語ってしまった。大風呂敷を広げておかないと、議論が進まないので。

共生は目に見えて分かりやすい。
何が公正かが分かりにくい。
形式的な平等が強く、広く浸透していて、形式的な平等にとどまってしまっている。実質的な平等を考えていかないといけない。

『グローバル時代の開発を考える』(明石書店)では、公正についてはかなり議論した。今後の回も、公正、共生、循環に立ち返って、議論していってほしい。みなさんの中で大風呂敷を包んでいただいて、引き受けてほしい」

★そして、全体で・・投票!★

講義を聞き、「公正・共生・循環」の3つの理念で、どれが一番重要だと思うのか、一人ひとりの大切にしている価値観や、これまでどこに重きを置いて活動をしてきたか、などを基準に投票してもらいました!

投票結果

公正   14票
共生   23票
循環   8票

その後投票した理由や疑問に思うことなどをグループでシェアしてもらいました!

そして、再投票の結果…

公正    9票
共生    28票
循環    7票

共生が増えましたね・・!👀

正解はありませんが、お互いの思うことを話し合うことで、視野が広がりいろんな見方ができるようになり、新たな気づきが生まれますね。

皆さんにとって重要だと思うのはどれかぜひ考えてみてください!

★受講者の感想★

  • 「公正」と「共生」の意味については、今後も掘り下げて考えたい。あと、「循環」の重要さももっと考えないといけない。
  • 公正については、学校での校則を考えた時に、どのように軸をとることが最適なのか、色々と疑問を感じました
  • 公正が目的で共生と循環はその手段という意見があり、はっとした。
  • 公正・共生・循環について、自分と違う意見に気づかされたことが多かった。

★私の感想★

大学院の方でも毎週田中先生の講義でSDGsについて議論しています。

いろんな議論をしますが、SDGsに明確な答えはありません。答えのないことだからこそ、難しいですし、時にもどかしい気持ちにもなりますが、その分可能性もたくさんあると思っています!😀

議論の際に間違いを恐れる必要はなく、いろんな話をすることでいろんな気づきが生まれるなぁと、今回受講者の感想や共有を振り返りながら改めて思いました。残りのDEARカレッジでもいろんな議論が生まれることを楽しみにしています!(報告:氏井)

コメント