第2期DEARカレッジ・SDGs学習のつくりかた(テーマ編)第1回「公正・共生・循環(総論)」のレポートです!

こんにちは。

昨年に引き続き、ブログを担当させていただきます、大学院生のボランティアスタッフ、氏井紅葉(うじい・もみじ)です!

今回は、オンラインで6月から開催されている「第2期DEARカレッジ SDGs学習のつくりかた(テーマ編)」(全7回)の第1回「公正・共生・循環(総論)」のレポートです!

プログラム

  1. アイスブレイク
  2. グループディスカッション(SDGsの達成状況について)
  3. 講義「SDGsの理念<共生(包摂)・公正・循環>の理解」
  4. ディスカッション
  5. おわりに-わたしの感想

1.アイスブレイク

初回ということで、ブレイクアウトグループでアイスブレイクタイム!
  • 自己紹介(名前、普段の活動や仕事など)
  • 講座の何を楽しみにしていますか?
その後、「講座の何を楽しみにしているか」を全体チャットに書き込んでいただきました♪
  • 異業種、異年齢の方々の考え方に触れてみたい。そして自分の変化を実感してみたい。
  • いろいろな意見や講義を聴きながら自分の変化や変容を楽しめたら。
  • マスコミや企業がノリでSDGs と言ってる感じがします。このカレッジではじっくり考えたいと思います。
自分の視野を広げたり、変化していきたいという方や、SDGsを根本的な部分から理解したいという声が多かったです!

最近よくSDGsっていろんなところで聞きますが、改めて根本的な部分を理解する場ってとても少ない気がします。ぜひ、今回のカレッジで学んだことを他の場で皆さんが広めて、社会の変化にも繋がったらなと思います!

2.グループディスカッション

SDGsの達成状況についてZOOMの投票機能を使用して、参加者の方に3段階で評価してもらいました!
  • A 思ってたより良い
  • B 思ってた通り
  • C 思ってたより悪い
結果はこちらです!
  • A 思ってたより良い 17%
  • B 思ってた通り 40%
  • C 思ってたより悪い 43%
そして、グループで、なぜみなさんがそれぞれABCを選んだかについて話してもらいました。以下のようなコメントが出てきました。

A(思ってたより良い)を選んだ人
「SDGsって言葉に関しては思ったより、その名前を広まった。知らないより知るところからっていう意味ではいいと思う」

C(思ってたより悪い)を選んだ人 
「SDGsって言葉が広まっても、中身を理解されていないと思う」
「女性議員がなかなか増えない」

3.講義 SDGsの理念<共生(包摂)・公正・循環>の理解

田中先生は上智大学を定年退職し、その後、非常勤講師としてSDGsや18歳成人などを教えてらっしゃいます。私は去年上智大学大学院に入学して以来、田中先生の講義を3年連続受けています。

学部生も院生もディスカッションする時間が多いのが田中先生の講義の特徴です!

田中先生は今回、SDGsの理念<共生(包摂)・公正・循環>の理解をということを目的に講義を行いました。

SDGsの理念のお話の前に、コロナ渦とウクライナ問題のSDGsへの影響について触れました。

コロナ渦の影響

コロナ禍でSDGsがこの2年間停滞気味になっています。
貧困人口というのは、1日1.9ドルで生きている人で、2015年に8億人いた人口を2030年にゼロにするという目標を掲げています。貧困をなくすことは、人類の悲願です。
しかし、コロナの影響で貧困率が上がるかもしれないという予測があります。

ウクライナ問題

ロシア・ウクライナの問題もSDGs停滞の原因となっています。
SDGsの16番「平和と公正をすべての人に」が特に、今、達成が難しくなっています。
しかし、16番はあっても、SDGsは平和や核兵器の対応は弱いです。戦争をなくす仕組みにも言及していないため、国連の限界とも言えます。
(平和や核兵器については次回の第2回で取り扱います!)

SDGsの理念<共生(包摂)・公正・循環>

①共生と包摂 inclusion
対語は排除・差別 exclusionです。
取り残された国々、人々を取り残さないということが包摂という概念です。

SDGsのメッセージに、誰一人取り残さない(No one is left behind!)があります。

開発途上国の中でも、中国をはじめとして、最貧国から中進国、先進国へなってきた国もありますが、取り残されているアフリカ諸国、島嶼国(人口が少なく課題解決が難しく、温暖化の被害を受けている)、内陸国(輸出できない、経済発展ができない)なども多くあります。

また、SDGsの人権問題で出てくる取り残された人々として、女性、子ども、高齢者、障碍者、先住民族、移民、難民などもあげられます。

こうした国々や人々を取り残さないというのが1つ目の理念です。

②2つの公正 equity
SDGsには2つの公正があります。

(1)世代間の公正=環境問題
子ども・孫たち(未来)にゴミを残さない
子ども・孫たち(未来)の資源を使い切らない

(2)世代内の公正=開発問題
今いる衣食住を欠く5分の1の人々
貧困、人口、環境破壊の悪循環

公正の考え方
・「(形式的)平等」はわかりやすく、広く使われる。
・「(実質的)平等」をわかりにくく、決めるためには議論が必要なため時間がかかる。

形式的平等から実質的平等への道筋が「公正」の考え方

例: CO2排出の削減
・形式的平等
「全ての国が一律で一人あたり同じ量のCO2を削減」
・現実=実質的不平等
「先進国は先にCO2を大量に排出した上で、発展してきたのに対して途上国はこれから発展していく国であるのに同じ量のCO2削減は不平等である」

2016年のパリ協定で各国がそれぞれ削減目標を出して、全体でCO2削減していこうとなりました。(差異があるけど、全体で削減していく)これが平等ではなくて公正ということです。

実質的な平等を確保することが公正であるとしています。

しかし、公正は慎重に考えなくてはいけません。
公正さを求める場合、制度化が必要です。
そうなると、多様性を損ねてしまうことがあります。
例えば、公正さのために全体に教育を行うと、英語教育などが重要視され、少数民族の言語などが無視されていきます。

③ 循環 circulation
環境破壊の原因は自然の循環を切断したことです。
(例: 化石燃料、森林伐採)
分かりやすいのはCO2です。石油や木材の死骸である石炭などは、大量のCO2を閉じ込めていて、それを燃やしてCO2を排出します。
CO2は植物が酸素に還元できます。しかし、森林面積が20世紀の間に1/5に削減してしまっているので、森林が足りず、CO2が増えてしまいました。

こうした、環境破壊の影響は平等ではありません。

例えば、最もCO2を出してない島嶼国が環境破壊の被害を被っています。その中でも、お金のある人は引っ越せるけど、ない人は引っ越せない、などの不平等もあります。
そこで、「気候正義」と言う概念が出てきました。これは、循環と公正を合わせた概念です。

4.ディスカッション

公正、共生、循環を自分に近づけるために
「自分にとって(公正、共生、循環)とは**というもの・状態である」
について、自分の体験に基づいて話してもらいました!
そして、以下のようなコメントが出ました!
  • 循環は「自己中からの脱却」で、原発はそこに当てはまる。
  • 公正は要約筆記でこの場に参加できること、共生は要約筆記を通して対話ができること、循環はそれを繰り返しできること(DEARカレッジでは聴覚障害を持つ方の情報保障として要約筆記を行っています)。
  • 自分らしく生きるのが公正。
田中先生からのメッセージ
「次回以降、それぞれテーマごとに話を聞くときに3つの理念を頭にいれて聞いてもらったら良いと思います」

5.おわりに-わたしの感想

今年も始まりました!DEARカレッジ!しっかりと3つの理念を頭にいれて残り6回いろんな考えや学びに触れるのがとても楽しみです。

第2期DEARカレッジ参加者の皆さん(一部)

今回は理念のお話だったので難しいと言う声もありましたが、私も昨年そう思いました(笑)。

でも、昨年の経験から3つの理念をすぐに理解するのは難しいですが、回を重ねるごとに理解が深まるのではないかと思います。いろんなテーマをこの理念とともに考えていくのはだんだん楽しくなり、時に考えすぎて悩むことも…笑

では、また次回のブログをお楽しみに!(報告:氏井)

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