開発教育ファシリテーション講座2022 第3回「開発教育に合意形成はかかせない」

こんにちは。昨年度、開発教育ファシリテーション講座修了生の吉崎亜由美です。

11月6日(日)に「開発教育ファシリテーション講座2022」第3回が開催されました。

第3回は「開発教育に合意形成はかかせない」をテーマに、パーム油にはなしと開発ランキングの2つのワークを通して、自らファシリテーションしながら、合意形成のプロセスを体験しました。

もくじ

・先週行われた懇親会の写真の共有
・アイスブレイク~この2週間のちょっと残念だったこと、嬉しい!楽しい!だったこと
・ワーク①パーム油のはなし
・ワーク②開発ランキング
・2つのワークのふりかえり
・まとめと解説

1.アイスブレイク

アイスブレイクではグループに分かれて、この2週間にあったちょっと残念だったこと、嬉しい!楽しい!だったことを紹介し合いました。

嬉しい!楽しい!ことや残念だったことを話してもらうと、相手の好きなことや大切にしていること、自分との共通点などが分かったり、お互いの理解が進んだりする楽しい時間になるなと思いました。

2.ワーク①パーム油のはなし

今日のテーマは…
①ファシリテーションの基本となる「自分・人の参加をみるチカラ」
②参加者の皆さんにグループワークを委ねる、です。

ファシリテーションは、
  • 率先して口火を切るファシリテーション
  • 傾聴のファシリテーション
  • 話し合いを促すファシリテーション
  • 問いかけるファシリテーション…
ぜひ、色々やってみてください。

そして、お願いしたい学びの提案の確認です。
  • 協力した参加をお互いにつくりましょう
  • 話し合いの時間はみんなの時間
  • 立派なことなんて言わなくてOK
  • 言いたくないことは言わなくてOK
  • 主張は歓迎しますが、相手の評価はご遠慮を
  • 相手の話を聴いてみんなで共有
  • 学ぶことを楽しみましょう
今日の2つのテーマと7つの学びの提案を意識しながら、ロールプレイを行い、合意形成にもっていく。…難しそうです。


ロールプレイの内容を簡単に紹介します。
油やし農園開発についての関係者会議の出席者の内、賛成派は、マレーシア政府のスニル、洗剤メーカー勤務の高山、農園開発企業のアナス、先住民の村の村長ジャリの4名、反対派は、先住民族の村の村長ベート、環境保護NGOファティマの2名です。ロールプレイカードに書いてある役割のまま、熱帯林を伐採する農園開発の是非について話し合い、合意形成を行います。
※教材『パーム油のはなし 地球にやさしいって何だろう?』を使いました。

ロールプレイの後、Google Formを使って個人でふりかえりました。
  1. 誰の意見が一番強かったでしょうか、なぜでしょう
  2. 誰の意見が一番弱かったでしょうか、なぜでしょう
  3. 対立ポイントはどこだったでしょうか
  4. 決定ポイントはどこだったでしょうか
  5. ディスカッションを進めるのに助かった他の人の発言など
  6. やってみた感想
参加者のみなさんからの感想を紹介します。
  • 実際の場だったら、政府が決めたからで推し進めるのではないだろうか。先住民を丸め込むための理論武装をしている。賛成派の村長さんは学校に行かせることを前提としている。反対派は学校に行かせられない。だから、さらに反論できない。前提ありきの合意形成なのではないか。
  • 傾聴を活かした合意形成をするのが、難しかった。傾聴を使ったパラフレージングは、こういう場ではよくなかったのでは。寄り添いすぎても、反対派の意見を聴きすぎても合意形成できない。

3.ワーク②開発ランキング

ワークの内容を紹介します。
3~4人グループで分かれ、3~4人は一つのコミュニティの住人と仮定し、A~Iのどの開発を順番に重要にするかを決める という内容です。
※教材『豊かさと開発-Development for the Future』を使いました。

ワークを行うにあたって、合意形成の留意点を確認しました。
  • 今の時点での個人の決定は、あなたの決定です。その決定はあなた自身のものであり、納得できない限り変えないでください。
  • すべての決定が、各人の完全な合意を得ることはできないかもしれませんが、少なくともある程度の合意を示しうる決定をつくりあげるように努力してください。
ロールプレイの後、Google Formを使って個人でふりかえりました。


グループで、「合意形成の程度と理由」と「他のメンバーの動きについて」フィードバックしました。

4.2つのワークのふりかえり

次の2点について、別のグループでふりかえりました。

1.グループの動きについて
動きそのもの(決定方法や雰囲気など)への分析や感想。2回の違い。

2.自分に対して気づいたこと
自分の主張をしつつ、グループに対して何を意識したか。終わった後の、自分のプロセス分析はどうだったか。

参加者のみなさんからの意見を紹介します。
  • ロールプレイでは司会の人が決まっていたので、意見が出しにくかったが、開発ランキングでは司会が決まっていなかったので、意見が出やすかった。開発ランキングで同じ意見だからと言って、内容について議論しないのもよくないのかもしれない。
  • 前提など、確認することは合意形成するうえでとても大事なことだと感じました。つまり、傾聴とパラフレージングが大事だということも再確認できました。
  • 自分がどういう場面でどういう行動をとりやすいか、どういう視点をもちやすいかを意識的に考えていきたいと思いました。
  • お互いの意見を聞きあうだけでは合意形成はできないし、声の大きい人だけ、小さい人の意見は無視…これでは「この人がいてくれたら何とかしてくれる」という安心感は生まれません。自分の前提に気づいていけなければ、このような人材になれないと思います。
  • つい話しすぎることに気づきます。一方で、余計なことを言って時間を使ってしまったかなと思ったことをグループの方たちが、それが議論の流れに役立ったといっていただき、そうか、それでもよかったのかと思いました。

5.まとめと解説

ファシリテーションをするにあたって不可欠なのは、
  • 参加する人たちのコミュニケーションを把握する
  • グループダイナミクスを捉え、どのように組織学習をつくるのか
ということでした。

自分は出来事をどのように捉える傾向があるのか。何に心や目を配り、配らないか。何に苛立ち、喜ぶか。人を見るときの「思い込み」はないか。
常に相手の枠組で捉えられるわけではないため、自分の枠組みを知ることが大切です。

開発教育のファシリテーションは、
  • 質の良い意見交換、合意形成を生み出す手伝いをする
  • そのプロセスにおける「参加」を保障する(パワーバランスの調整)
  • 安全(safe)と心地よさ(comfortable)の保障は別
  • 自分の見方・感じ方に敏感になってほしい!
  • 見えていないものを見るために、誰かと一緒にふりかえる(省察する)ことが大事、お互いに気づかされ、気づく
ことが大切です。


異なる考え、立場の調整は、見方を変えると「環境」「人権」「開発」「私たちの生活」などの社会の要素間のぶつかり合いの調整とも言えます。

開発教育における「話し合い」では、合意形成のプロセスだけでなく、「話し合い」のパワーポリティックスにも留意することが重要です。饒舌・声の大きい人、権力のある人が有利になること、そもそも、「話し合い」の場にいる人はどんな人なのか、それに気づかせることが大切です。

6.おわりに(次回の案内)

次回の講座は11月13日(日)です。ファシリテーションにおける「問い」について考えます!(報告:吉崎)

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