2014年12月19日金曜日

国際理解教育指導者セミナー in JICA駒ケ根

事務局の星です。もうすっかり冬ですね。
12/6(土)の早朝、金色に輝く東京のイチョウにさよならをして、長野県駒ケ根市へ高速バスで向かいました。 今回は、事務局の西あいと星久美子で行ってきたJICA駒ケ根主催の1泊2日の指導者向けセミナーについて報告したいと思います。 

雪の中、13名の小中高校の先生方と教育に関わっている方々が集まり、実践紹介やプログラム作りとそのプロセス、学習者中心の学びとは、について一緒に考えるセミナーを行いました。
プログラム概要
役割分担では、タイムキーパー、アイスブレーク係りなどを参加者の皆さんに担当してもらいました。2日目のニカラグア、モンゴルクイズ、面白かったなぁ!そういう誰もが楽しめるクイズから国際理解教育の内容に入っていくのは楽しいですね。

参加者の方の自己紹介「旅先でのスゴイ体験」で聞いた「台湾で飲んだ健康ジュースを飲んで不健康になった話」には大爆笑してしましました。そんな和んだ雰囲気の中でセミナーはスタート。

まずは、ワークショップ『写真で学ぼう!地球の食卓』の体験です。部屋の四隅フォトランゲージランキングを体験してもらいました。

ランキングでは、
1.グループで1週間ホームステイするとしたら
2.健康だと思う順
3.豊かな順
の3つのテーマで5カ国のとある家族(トルコ、エクアドル、中国、アメリカ、日本)とその1週間分の食材が写った写真を並べ替えてもらいました。今回は指導者セミナーということで、ファシリテーターとしてどのような質問や投げかけをするか、参加者のどのような言葉を拾うのかなどに普段より注意して進めました。

写真を見て「あ~豊かだわ!」「自分の近くに食べるものがあることが豊かだ」「農薬使ってそう」などのつぶやきがありました。

「どうしてそう思うんですか?」「自分の家と比べてみてどうですか?」「トルコに行ったとき食べましたか?」というような、参加者の経験に絡めた質問をしました。また、「この肉はきっと羊だ」「お父さんは出稼ぎで何の仕事をしているんだろう」などの発見と疑問が次々に生まれました。

ワークショップは予定の時間を大幅にはみ出し、後のプログラム押し押しになってしまい、かれこれ2時間はやっていたのではないでしょうか・・・にもかかわらず、参加者からは「短かった」「もっと話したかった」という声もありました。これには驚き!
豊かさは私たちでは決められないとして、このような並びに・・・他にも「自分たちのことを豊かだと思っているであろう順」など面白い基準が出ました。


体験したワークショップを指導者の目線で振り返ります。
「参加型学習」を中心にウェビングです。

まず、ワークショップを体験してみて、「楽しかった」。
では、どうして楽しかったのか?
「正解がないから、意見が言いやすかった」「自分の意見を相手に聞いてもらえる」「そのための環境づくりも必要だし、ファシリテーターの質問や問いの投げかけも大切だ」という意見がありました。
生徒からの偏見やステレオタイプな意見にどう答えるか。否定はせず、なぜを問うたり、事実を伝えること、または「その意見が自分の経験からなのか、もしくはイメージからなのか」を考えてもらうというような工夫ができることに気づきました。

また、ワーク最後に教師としてのまとめや、ワークを行う目的を学習者に伝えなくていいのかという疑問についても、それぞれの実践を踏まえて意見を交換しました。

他にもたくさんの気づきと学びがありました。

私が今回の地球の食卓ワークショップでねらいとしていたのは「参加型学習を楽しいと感じてもらうこと」と「多様な価値観があることに気づくこと」でした。それは達成できたのではないでしょうか。
ねらいとは別に、何について気づいたか、何について考えたかは参加者によって持ち帰るものはいろいろで、「もっと知りたい!」という好奇心に繋がってもらうことが大切だと思っていましたが、参加者の皆さんの意見と気づきから、私自身も改めてそう感じました。

豪華な懇親会の後も夜10時過ぎまで残り、グループで学習プログラムづくりに取り組みました。大浴場の終了時間が迫り焦りながらも、翌日の発表のため居残り、宿題です。

翌日、夜に降った雪が解け始めていました。とっても良い天気!
グループで作ったプログラムの発表です。
それぞれ、「教員の状態」と「生徒の状態」から「育てたい力(テーマ)」を考え、それに沿った学習プログラムの一部をデモンストレーションしました。

発表では、実際に発表するグループが先生役を、その他の参加者は生徒役を担いました。さすが、先生です。とってもクリティカルな内容で、普段からよく生徒を見ているからでしょうか、生徒役がとってもリアル!

学習プログラムのデモンストレーションには私も生徒役で参加させてもらいました。
グループを回りながら、模造紙に書かれた意見を先生が読み上げてくれたり、どんな意見も否定せずに「うんうん、そうだね」と相槌を打ってくれること、「そうだよね」と共感してくれることが、参加者としてとても嬉しく感じました。また、正解を当てることが目的ではないということも先生の態度や対応から分かりました。

こういった小さな配慮も学びの多い、楽しいワークショップを進めるためのキーになるということを改めて学びました。果たして自分はできているのか・・・?次回のワークショップの際に注意して心掛けようと思います。

セミナーの最後には一人ひとり、「国際理解学習で自分が大切にしたいこと三カ条」を紙に書いて全体で共有しました。

一、つぶやきを見逃さない。
一、足もとにある教材を使う。
一、ジレンマを感じさせる。
一、否定しない、受け止める、イライラしない。
一、好奇心をもって。

など、参加者それぞれの、セミナーでの気づき、学び合ったことが詰まった三カ条になりました。
皆さん、とっても素敵です!
最後に記念撮影。カメラマンの方が面白くって、みんなで大爆笑!
参加者アンケートの一部をご紹介します。
・これからの実践に活かせる手法や考え方を学べた。
・意欲ある先生方と話ができて、視野を広げることができた。
・体験型、参加型の良さを味わうことができた。
・教師海外研修の報告を子どもたちへどう行うかという大きなヒントを得た。
・学習活動の中でどのような投げかけをするか等、具体的に実践に使える内容だった。
・先生方のネットワーク、繋がりができた。

2日間を通して、学習プログラムのアイディアやプログラムづくりで大切にしたいことを考え、普段の実践を共有しました。私も先生方から学ぶことが本当にたくさんあり、次のワークショップに活かせそうです。皆さん、ありがとうございました。そして雪の中の1泊2日のセミナー、お疲れさまでした!
(報告:星)

2014年12月8日月曜日

フリースペースたまりばでワークショップ 第3回「パーム油劇場」

こんにちは。DEARボランティアの山田です。
10月8日に川崎市子ども夢パークにある「フリースペースえん(たまりば運営)」にて行った、『パーム油のはなし「地球にやさしい」って何だろう?』のワークショップについてレポートします。

第3回となる今回は、前回のワークショップで扱った生産品“パーム油”について更に深めて考える回となりました。


はじめに、チョコレート菓子、ポテトチップス、ラムネ菓子等のお菓子を見てもらいます。さて、このお菓子たちの共通点は何でしょうか
「食べ物!お菓子!身体に悪い!美味しい!」などたくさん答えが出てきたところで、更に商品が追加されます。カレーのルー、カップラーメン、インスタントのおそば、更には石鹸や洗剤等など…。みなさんはこれら全ての共通点の答え、わかりますか?


正解は、『植物油脂、パーム油が使われている』ということです。
植物油脂には、なじみの深い、なたね油、オリーブオイルの他、ひまわり油、紅花油、ココナッツオイルなどたくさんの種類があります。子ども達からもたくさんの油が出てきました。

パーム油は、油ヤシという木の果実から取れる油で、私たちの身近にあふれているインスタント食品や、スナック菓子などの加工食品や洗剤や薬用クリームに多く使われています。
日本では「地球にやさしい」として使われているパーム油ですが、その生産現場はどうなっているのでしょうか?

DEAR定番の『パーム油のはなし』の教材。通常は、ロールプレイで行うのですが、今回は特別に、パーム油をめぐる7人の人物にかけつけてもらい、「パーム油劇場」が行われました!

日本からは①東京の主婦(DEARボランティアの石田さん)と、②お菓子メーカー(DEARスタッフ星さん)のお二人が。

マレーシアからは、③マレーシア政府のスニルさん(ボランティアの滝本さん)、④農場経営者のMr.チン(えんスタッフの能條さん)。

そして、⑤プランテーション労働者アロキアムさん(ボランティアの山田(私です))、⑥環境保護団体のファチマ(えんスタッフのあかりさん)、⑦先住民族の村長ベートさん(えん代表の西野さん)です。

一人ひとりにパーム油についての考えや今の生活について発表してもらったあとは、7人で自由にお話ししてもらいます。
えんスタッフの能條さん、西野さんの白熱の演技により、話し合いは大盛り上がりです。最初は何となく聞いていた子どもたちも、次第に7人の話を真剣に聞いていました。

マレーシア政府・スニルさん
「パーム油をたくさん輸出するために、どんどんプランテーションを開発してマレーシアを発展させましょう!」
先住民族村長・ベートさん
「まってくれ、わしらの森はどうなってしまうんじゃ!?農作物や狩りができなくなってしまうではないか!」
日本のお菓子メーカー
「いやいや、日本の消費者のみなさんのためにはパーム油が必要なのです。パーム油が使えなくなると、お菓子の値段があがってしまうかもしれませんよ」
日本の主婦
「パーム油は植物性で、肌にも環境にもいいから使ってるのよ」
プランテーション経営者・Mr.チン
「もし農園をやめたら、ウチで働いてるやつの仕事がなくなってしまうぜ!」
プランテーション労働者・アロキアム
「毎日プランテーションで働いているから学校にも通えないの。ねずみよけの毒ヘビが怖いわ」
環境保護団体・ファチマ
「森を壊してプランテーションを開発すれば、大変な環境破壊です。動物たちだけじゃなく、先住民族の暮らしも壊されてしまう」
パーム油の生産を増やさなければ、先住民の森が失われていくという問題は解決するのでしょうか?パーム油について、それぞれの立場に主張があること、1つを解決しようとしても、問題は複雑であることが子ども達にも伝わったようです。

最初は、「森がなくなってもしょうがないんじゃない?」と冷めていた子どもたちも、ただ事でない状況を理解し、自分たちも使っている油が起こしている問題について、考えてくれたようです。
参加していた一人の女の子が「ベートさん負けないで!頑張ってね!」と応援していたのが印象的でした。

最後に、マレーシアのサワラク州へ高校生が修学旅行で訪れた際のビデオ(『素敵な宇宙船地球号 ~生命の森の修学旅行』(テレビ朝日系、2005年9月25日放映)を皆で見て、本日の感想を出し合いました。

[子ども達の感想]

  • どちらが悪い・悪くないという問題ではないという事が分かった。安いものが買え、洗濯機のような電化製品があったら便利だけど、森が無くなったら困る。
  • いつも食べてるスナック菓子が値上がりしたら買わないな。
  • 同じ時代に生きているのに、ひどい環境下で働かされている人がいるということを知り、納得できない気持ちになりました。知らないことはよくなくて、知っていることが重要なのではないかと感じました。
  • 言い分があることは分かったが、その人たちの村を大切にしてほしいと思った。
  • 環境や現地の人の生活を考えた物を選べば、消費者にとってメリットになるような仕組みがあれば。
  • 文明が発達することはいいけれど、森がなくなってしまってから戻すのは大変だから、考えなければならないのでは。
  • 自分がマレーシアの森へ行ったら、目をつぶって芋虫を食べてみたい。←ビデオに出てくるシーンに刺激を受けたようです。

子どもたちが最後に、一言ずつ、自分の言葉で話してくれたのがうれしかったです。次回は、11月26日(水)日本のフードロスについて、考えていきます。
(報告:山田)

第1回:「世界一周旅行ゲーム」のレポートはこちら
第2回:「地球の食卓」のレポートはこちら

2014年11月25日火曜日

ASPBAE "Festival of Learning" レポート4

Festival of Learningの最終日。
午前中の内容は5つのテーマに分かれて「ポスト2015」におけるターゲットとその達成を計るための指標についてアイディアを出し合うものでした。私は「ESD(持続可能な開発のための教育)と政治教育」に参加しまし、20名ほどの参加者と各地域での取組を比較しながら話を進めました。


ひとつ確認できたのは、他の4つのテーマと違い、成果が計りにくいという点です。たとえば、他のテーマである「基礎教育」「成人識字」などにおいては教育を受ける子どもの数や識字率の増加で達成率が見えますが、ESDやグローバル市民教育などにおいては何をもって達成とするのかが難しいのです。

これは開発教育も同じで、ワークショップを行う際にたてる「ねらい」を参加者が達成することを成功とするのかどうか、などという私が考えている疑問に通じるところがあると感じました。

「まずは自分自身を計ること(自分の生活や文化を見直す)」という意見も出されました。一方、環境教育やESDに対して「気候変動などのグローバルな課題に取り組む前に、自分の生活水準を上げることが第一に優先すべきことであると市民は捉えている」という意見もありました。これにはもっともであると感じ、同時に、工業発展してきた日本の責任も感じました。公害や環境汚染の経験を工業発展が進む国・地域でどう活かせるのか、そして、それでも尚、失敗を反省していないようにすら感じる今の政府と社会に対して、恥ずかしいという気持ちにもなりました。

グローバリゼーションがもたらしている良い点、悪い点について「Big picture(広い視野をもって見る)」の視点が必要であることも話されました。それにはグローバリゼーションの中でもまれている自分自身を客観的に見て考察できるよう、『新・貿易ゲーム』のような学びがぴったりだと思いました。

全体共有では、各テーマで話し合われた内容が発表されました。
各地域で問題とされている具体的な内容が「ポスト2015」のターゲットと指標に盛り込まれるべきだという主張がありました。例えば「教師の最低限の資格を設定する」「女性教師の立場の向上」などです。日本の教育における問題点や欠けている点を自分自身が把握できていないと感じ、「Big picture」を見れていないことに気づきました。

参加者の皆さんの地域の現状を聞き、日本について質問されることで、初めてたくさんのことに気づけた気がします。教育を人間の権利として勝ち取ろうとしているアジア各国・地域の人々の姿を見て、日本がどのように見られているのかを知りました。

午後は「ポスト2015」やSDGs(Sustanable Dev. Goals)の中身について考える前に、どうしてMDGs(ミレニアム開発目標)を達成できなかったのか、理由、ターゲットを定めた背景などを考えることをすべきというICAE(国際成人教育協議会)の事務局長の話を聞きました。


さて、夜はCultural Night(文化紹介)です。会場は地元のレストランでした。参加者はそれぞれ伝統的な服装で集まりました。4日間のセミナーを終え、みんなリラックスしている様子。

ジャワの伝統的な踊り、インドのダンス、フィリピンのダンスショー、ミャンマーの輪になる踊りなど、初めて見る素敵なパフォーマンスに感激です。

インド、日本、パキスタン、バヌアツ
日本である私たちからは荒井容子さんの「さとうきび畑」の歌、そして私と三宅隆史さんは「二人羽織」を披露しました。

これには会場は大盛り上がりで、予想通り、大きな笑いの渦を作り上げることができました!「こんなに面白かったパフォーマンスは初めてだ」というお褒めの言葉をたくさん頂きました。

二人羽織は大成功でした!
私の中で、「日本は自分の地域とは異なり、発展している国」という見られ方があることを知り、仲間になれないような距離を少し感じていたので、この会で、たくさん笑い、一緒に踊れたことで同じ幸せを分かち合えたことが本当に嬉しく思いました。

こうして、4日間のASPBAEのセミナー「Festival of Learning」が終了しました。長い4日間であったと感じるのは、内容と体験が非常に濃く、そして素敵な出会いがたくさんあったからだと思います。私にとって、日本以外のアジアへ行くのは初めてでした。地元の人に出会い、アジアの人々にも出会い、お互いに学び合うことができました。それぞれの課題が異なっても、目指すところは同じであり、こんなにも多くの人が教育について真摯に活動していることは励みになり、仲間がいることを知れた機会になりました。

このような場にいれたことに自分のラッキーさと、チャンスを与えていただいたことに感謝しています!セミナーで得た学びをふりかえり、整理し、次につなげていきたいと思います。
(報告:星)

2014年11月21日金曜日

ASPBAE "Festival of Learning" レポート3

ジョグジャカルタはLearning City(学びの街)と呼ばれるほど、大学がたくさんあり、インドネシア中から学生が来ます。

今日のセミナー会場だったUniversity of Gadjah Mada(ガジャマダ大学)は、1949年に創設された歴史ある大学でインドネシアで一番大きな大学です。ホテルからはバスで15分ほど。


会場では、まず「35歳以下の参加者は立ってください」という呼びかけに応じて立ち上がると、参加者の中でなんと10人も満たないことがわかりました。なるほど、「これからあなたたちの未来について話し合うのですよ」という言葉の意味がとても良く分かりました。

午前中はPOST2015 Educationとdevelopment agendaについてASPBAE事務局長とUNESCOバンコクからのプレゼンテーションを聞きました。
会場からの出たいくつかの質問・コメントの内、会場から拍手が湧くものがありました。それは、ガジャマダ大学の学生からの、「何ための教育について話し合っているのですか?私たちはお金を稼ぐための教育なのか、コミュニティを良くしていくための教育なのか、分かりません」というコメントでした。昨日のセミナーで教育とは?を考え始めていたところだったので、休み時間に彼女に話しかけに行きました。

Taniaという名前で、国際関係を学んでいるそうです。(私も国際学でした)インドネシアでも、若者たちは教育に対して疑問を抱いているようです。「インドネシアでは親が教育の重要性を理解していなく子どもを学校に行かせず、働かせることがあります。日本では市民はみんな教育を重要だと思っていますか?」と彼女に聞かれました。この質問を日本で私からも聞いてみたいと感じました。「何のための教育なのか」について休み時間中、話してしまいました。何か、自分の中から溢れてくるような感覚を覚えました。また、彼女のボーイフレンドは日本の大学に留学しているそうです。(いろいろ繋がっています!)


午後は分科会でした。私は「教育におけるODA」について三宅隆史さん(JNNE/DEAR理事)と韓国の設立されたばかりのネットワーク団体KoFID (Korea Civil Society Forum on International Development Cooperation/韓国国際開発協力市民社会フォーラム)より、日本と韓国のODA事情について聞きました。参加者はそれぞれ、ODA(政府開発援助)とPOST2015に期待することを考えました。意見を共有する時間が無かったことが残念です。


帰りのバスでICAE(International Council for Adult Education/国際成人教育協議会)の代表の方と話をしました。この団体はASPBAEの国際版で、ASPBAEもメンバーです。ヨーロッパ、アフリカ、中東、ラテン、カリブからも参加のある大きな集まりです。他の地域ではどのような取組がされているのかとても気になり、ロンドンでの生涯教育の取組について話してくれました。109歳で絵を習い始めたおじいちゃん、老人ホームで毎週若者が訪問して楽器、パソコンなどを教える活動、それらの映像をテレビなどで流し、「私にもきっとできるわ」と動機づける活動など様々で、アジアでの女性の権利のための成人教育とは違ったコンテンツの活動でした。「学ぶことは生きるモチベーションになる」という言葉にとても共感し、バスでの移動中ずっと話し、楽しい時間でした。

左より、近藤さん、星、三宅さん
夜はびゅんびゅん車とバイクが走る道路をなんとか向こう側まで渡り、三宅さんと近藤牧子さん(早稲田大学)とビールにありつきました。インドネシアに来て、初めてのビールです。
 (報告:星)

レポート1レポート2も掲載しています。

2014年11月20日木曜日

ASPBAE "Festival of Learning" レポート2

2日目のテーマは「学びの交換」です。地元・ジョグジャカルタのNGOをいくつかのグループに分かれて訪問しました。


私のグループには、日本、韓国、インドネシア、ネパール、インド、パキスタン、オーストラリアからの参加者が参加し、会場であるホテルから車2台にぎゅうぎゅう詰めで向かいました。

訪問先はKPIというWomen Coalition Indonesia(インドネシア女性連合)でした。ジョグジャカルタ支部の事務局長にお話しを伺いました。女性の権利向上のためのアドボカシーやキャンペーン、女性グループ地元会議、政治教育を行っています。この連合にはインドネシア全体で3万8千人の女性たちが、ジョグジャカルタでは1,200人の女性たちがメンバーとして加わっているそうです。こんなにも多くのメンバーを抱え、どうやって運営しているのか?、という質問が出ました。

村や地域に一つずつグループがあり、女性たちは自分の住む地域のグループに加入します。グループは30~150人の規模で、メンバーは毎月会費を払っているのだそうです。

村での女性の権利を向上させるため、女性たち、男性たちへの活動を試みについて聞きました。街で行ったときよりも、住民が参加しやすくする必要があったそうで、劇の上演を企画しました。その劇からDVの啓発が効果的に行えたそうです。DV加害者が警察に捕まるシーンは特に印象付けが強かったそうで、「してはいけない」というメッセージを受け取った住民が多く、大きな成果だったと語ってくれました。


話は、会社で働く女性の権利に移りました。インドネシアでは産休の他に、生理休暇が月に2回、5日間の結婚休暇があるそうです。これには驚きました。ネパール、インドでは産休は2回まで可能だそうです。一方、これらを守らない企業も多いそうです。

教育の権利についてでは、参加者のそれぞれの国での状況を紹介しました。
インドのNational Education Coalition(国民教育連合)の方は、「3キロ毎に学校を建て、安全な飲料水と授業料、制服、教科書、給食の無償の実現」を訴えています。

さて、「日本の教育水準は高いのに、何か問題があるのか?」という質問を受け、戸惑ってしましました。彼らの「権利を勝ち取っていく」というベクトルと、日本の教育に対するベクトルの向きが異なるように感じています。戦後の教育制度の話や、日本人を作る教育方針について、私の言葉で話しました。どの程度理解してもらえたかは分かりませんが、物質的に発展し、お金持ちの国である日本の中にある問題は、教育に限らず、見えにくいということを改めて強く感じました。

彼らの教育の根底には「権利」がしっかりとあり、実現したい目標も明確です。しかし、日本の私が受けてきた、幼稚園から大学までの教育は何のための教育として受けてきたのか、または、受けさせられてきたのか、どうして学校に行っていたのか、「学校へ行って学校に行くことが当然」であったことでその意味が分からなくなっていました。

こんな時、韓国からの参加者が理解してくれ、彼女は「政府ではなく社会に問題がある」と言っていて、私のこころの内を理解してくれる人が居合わせたことに救われました。隣国の韓国の現状と日本の現状は似ているところがあります。このチャンスにたくさん意見を交換し、どのような社会にしていきたいのか、一緒に考えたいと感じました。


午後は豪雨でした。今月から雨期に入り、午後は必ず雨が降ります。日本でいうゲリラ豪雨のようで、道路はあちこち冠水します。それでもたくさんの人がバイク、車ですっ飛ばして走っています。

今日はかなりモヤモヤが残る一日でしたが、この気持ちを大切に忘れないように考え続けるべきだと思っています。
(報告:星)

※レポート1はこちらに掲載しています。

ASPBAE "Festival of Learning" レポート1

こんにちは。スタッフの星です。
私は今、インドネシア、ジョグジャカルタに来ています!
左よりロビーさん(ASPBAE)、荒井容子さん(社会教育推進全国協議会)、星(DEAR)。
ロビーさんとは、名古屋で先週の「ESD世界会議」でお会いしたばかりです。
ASPBAE(Asia South Pacific Association for Base and Adult Education=アジア南太平洋成人教育協議会)の創立50周年を記念して、アジアの教育に携わる人々が集まるセミナー「Festival of Learning(フェスティバル・オブ・ラーニング)」が開かれています。35の国と地域から100名を超える参加者が参加しています。セミナーの様子をレポートしていきたいと思います!


セミナーは全部で4日間あり、各日程でテーマが異なります。
1日目はオープニングセレモニーと、ASPBAEのこれまでの50年を振り返るという内容でした。

オープニングはアジアの地域ごとに分かれ、入場です。
日本の私たちは東アジアのグループに入りました。こんなにも「日本人の自分がアジアに属していること」を肌で感じたのは初めてでした。


たくさんの人々に出会い、話をしています。
「今、地域で一番問題だと思う教育に関する問題は何か?」というテーマでグループディスカッションしました。

「自分の民族が何かを隠すために子どもたちは偽名を学校で使っている」と話すミャンマーからの参加者。学校では毎月試験があり、先生は生徒たちに試験に向けた勉強を強いなければならず、学校教育の場に教育NGOが入る余裕がないそう。

「民主主義とうたっていながらも国民はその意味を知らず、政府のコントロールが続く」と、政府に対する問題点を主張していたモンゴルからの参加者。

韓国では、受験や試験など、政府だけではなくそれを求める社会に問題があるそう。

問題は多様で、他のグループでは「貧困」「識字」「公共教育」「教員の質」「宗教」などのキーワードが出されましたが、それぞれのシチュエーションが日本にも当てはめて考えられるのは確かです。

また、「政治家を含め、どうしたら全ての人と話すことができるのかを学ばなくてはいけない」というファシリテーターからの言葉の意味を考えました。それは私たちが話し合った問題の解決に必要であり、小さな範囲で考えると、例えば、私自身がDEARのワークショップのファシリテーターとして、どうしたら全ての参加者がワークに参加できるかという工夫を具体的に考えることと繋がっているのではないかと感じました。

大きな問題や問いを自分の活動範囲で置き換えて考えてみることで、彼/彼女らと私が思う問題の意識が交わるのではないでしょうか。

このように、本当に多様な参加者から学ぶことがたくさんあります。
セミナーの使用言語は英語です。彼らの英語がうまく聞き取れるようになることが、このセミナーの個人的な目標です。英語はツールであると、よく聞きますが、本当にその通りです。ニュージーランドの方の英語には苦労しています(笑)。「A」を「エ」と発音するので、「ASPBAE」(私たちはアスベ)と呼んでいますが、「エスバイ」となるので、何のことか最初は全く分かりませんでした。


午後、6つの分科会に分かれて話し合いました。私が選んだテーマは「成人教育におけるICT(電話やラジオなど)とSNSの活用」についてです。これには利用することに対する良い点と悪い点が話し合われました。インドの参加者からは、「村の女性たちが携帯電話を持つことで繋がれるし、情報を広く伝えることができる」とポジティブな点が。一方、シンガポールからは「スマートフォンのSNSの利用は、人々の連携ではなく、決別を生み出している」と出され、両者に同感しました。

私からは、「教室での電子黒板やメディアの利用の是非」について発問したのですが、電子黒板とは何かを説明するところから始まり、韓国、シンガポールからの理解は得たものの会のメイン議題は携帯電話の活用に焦点が当てられました。

インドで村の女性たちへの成人教育を行っている方の活動がとても面白く、村の女性たちに3ヶ月間トレーニングを行い、彼女たちの現状を伝えるドキュメンタリイー映画を作っているそうです。彼女たち自身が「何が問題なのか」を考える機会になり、客観的に見ることが可能になり、それを地元のテレビ局で放映し、現状を訴えることができるのです。また、映像の撮り方やパソコンでの編集作業、台本づくりなどの作業が識字やITなどのトレーニングに繋がっています。

さて、セミナー1日目はこのような会でした。たくさんの人と出会い、頭がパンクしそうです!そろそろコーランが流れる時間かな…?
では、またレポートを続けます。
(報告:星)

2014年11月12日水曜日

ESDのためのユネスコ世界会議 レポート(2)白いストラップと青いストラップ

今回、会場に入れない経験をしたことで、ほんの少しだけ、差別される側の経験をすることができました。警備員の方は、ストラップの色しか見ていません。もちろん、ルールなので仕方ないのですが、ちょっと深読みをすると、作られた枠組みを疑うこともなく、その人の本質をみることもなく、分けられてしまうこと、は私たちの生活にもたくさんあって、自分が差別される側にならないと、気づかずに、差別する側に立っているのでは、と改めて思いました。

今回の会議は、4年前にやはり名古屋で開催された「COP10生物多様性会議」と比較し、情報の不足や不透明さ、市民社会のネットワーク不足が指摘されていました。これは、主催団体の問題もあるかもしれませんが、市民側の「ESDの10年」のすすめかたや意識にも問題があったのではと思います。

そもそも、ESDは、楽しく、みんなでつながって行えばよいものではなく、本質的な変化を社会に起こすものであり、そこでは、さまざまな摩擦や対立が避けられないはずです。

会場内に展示されたロケット
たとえば、日本で行われる「ESDの会議」で、原発の話は全く出ていません。2002年のヨハネスブルグサミットでは、日本政府がクリーンエネルギーとして、原発を紹介していましたが、今年は三菱重工がロケットを展示していました。「持続可能性」をどのようにとらえるのか、批判的に考えていくことが、必要だと思います。

11日(火)の夜は、海外ゲストとDEAR 関係者の交流会を行いました。ASPBAEのロビーさん、フィンランドのNGOネットワークKehysのリリーさん、南北センターのミゲールさん、ドイツのグローバル教育のネットワークを運営しているロバートさんと、DEARの理事・スタッフ総勢11名でした。

左よりリリーさん、ロビーさん、ミゲールさん

ヨーロッパや東南アジアのネットワーキングや対話の方法はそのまま日本で使えるわけではないですが、敵と味方をつくるのではなく、双方の共通するものを達成するために、協力するための対話をとにかく、重ねることの必要性を、みんなと熱く語り合いました。
(報告:中村)

2014年11月11日火曜日

ESDのためのユネスコ世界会議 レポート(1)

ESDのためのユネスコ世界会議」が11月10日(月)から名古屋国際会議場で開催されています。DEAR事務局からは、中村、西、星、理事の湯本、三宅が初日から名古屋入りしています。

国際会議場の本会議場には、招待状がある人しか入れず、公式サイドイベントに応募したけれども採用されなかったので、DEARは、本会議場の隣で行われる併催イベント会場のブース展示と、12日のセミナーを担当しています。

ユネスコのタン事務局長補(左)と中村
これだけたくさんのDEAR関係者が名古屋入りしているのには、意味があり、「ESDの10年」以降のESDに関する政策策定や実施に、より多くの市民がかかわり、地域で実施しやすい仕組みを作っていくことを提案していきたいと思っているからです。先日、さっぽろ自由学校「遊」、あおぞら財団とDEARの3者で出した、ESD政策への市民参加に関する提言書」には、多くの方が共感してくださり、賛同してくださっています。英語版もつくっているので、海外の団体からも賛同、支援の声が挙がっています。

10日に行われた本会議の開会式で、「ESDあいち・名古屋宣言の第一次草案」が配られました。私たちは残念ながら、本会議に入れないのでASPBAEの事務局長のロビーさんに見せてもらい、三宅さんと3人で、草稿へのコメントを考え、提出しました。そのうちの1点は、政策への市民参加についてです。

具体的には、午前中の本会議の場でケニアの大臣が、ESDの理念に基づき、「すべての人にとってのESDの10年 /DESD for Allでなければならない」といった意見を受けて、ESDの政策策定への市民の参加を強調すること、を提案しました。今後第二次案がどのように出るのか、また、報告します。

しかしながら、世界会議の様相は、市民の積極的な参加とは、ほど遠く、本会議の会場とそれ以外の会場は、ロープで仕切られ、名札のストラップの色で、区別されています。政府代表団や海外のゲスト、国内でも公式サイドイベントの主催者などは、色がついているストラップをしており、一般の私たちのような参加者は、白いストラップです。

ユネスコのファイナルレポートなどは本会議の会場内でしか配布されておらず、私たちは、色のついたストラップの人に持ってきてもらうように頼むしかないのです。
写真は、ユネスコのファイナルレポートをいただけませんか?と
声をあげている、スタッフの西です。
夜のあいち・名古屋主催のレセプションには、かろうじて参加できたので、そこで、ユネスコ関係者や海外のゲストにも会うことができました。
(報告:中村)

2014年10月31日金曜日

「持続可能な開発のための教育(ESD)政策への市民参加に関する提言」への賛同募集



※第1次募集は終了しました。たくさんの賛同・お問合せをありがとうございます。提言文および賛同団体一覧はこちらに掲載しています。(11月7日)

平素よりDEARの活動にご支援・ご協力をいただきまして、誠にありがとうございます。

このたび、(特活)開発教育協会、(公財)公害地域再生センター(あおぞら財団)、(特活)さっぽろ自由学校「遊」は、ESDに関連する政策への市民参加に関する提言をまとめました。

今年で「持続可能な開発のための教育の10年」(ESDの10年)が終了するのを受け、「ESDユネスコ世界会議」(11月10日~12日)が開催されます。同会議でユネスコはグローバル・アクション・プログラム(以下、GAP)を提示し、「ESDの10年」以降のESDの方向性が示されます。また国内においても「ESDユネスコ世界会議フォローアップ会合」(11月13日)をはじめ、今後、ESDの推進方策が議論される見込みです。

「ESDの10年」の間、ESDに関連する政策について広く市民社会が政府と対話する機会は、非常に限られていました。今後は、ESDの実践主体である市民社会が、その政策プロセスへ参加する機会が確保されることが必要であると考えます。

つきましては、本提言への賛同団体を、以下の通り募集いたします。さまざまな分野で教育活動に関わる市民団体のみなさまと一緒に、ESDに関する政策プロセスを作っていきたいと思っております。分野を問わず多くの団体にご賛同頂けますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。

なお、本提言書は11月13日(木)開催の「ESDユネスコ世界会議フォローアップ会合」に提出いたします。

【賛同方法】
ご賛同いただける団体は、以下の必要事項をお書きの上、開発教育協会政策提言担当<advocacy@dear.or.jp>宛にメールをお送りください。

・件名:賛同(ESD政策への市民参加に関する提言)
・本文:
(1)本部を置く都道府県名:
(2)法人格(あれば)・団体名:
(3)連絡担当者名(よみがな):
(4)連絡担当者メールアドレス:
(5)英語の団体名:
(6)コメント(あれば):

【第一次賛同締切】
2014年11月7日(金)午後5:00(以降、引き続き第二次賛同を募集します)

【問い合わせ先】
特定非営利活動法人 開発教育協会 (担当:中村・西)
Tel:03-5844-3630
Fax:03-3818-5940
e-mail:advocacy@dear.or.jp
URL:http://www.dear.or.jp

(以下、提言本文)

持続可能な開発のための教育(ESD)政策への市民参加に関する提言
2014年10月31日

「持続可能な開発のための教育の10年」(以下「ESDの10年」)が2014年に終了し、今後、国内における2015年以降のESDの推進方策が議論されます。

持続可能な開発とESDは、日本も含む世界の全ての市民にかかわる重要課題です。ユネスコによるグローバル・アクション・プログラム(GAP)に「適切で一貫性のある政策は、参加型のプロセスに基づき、省庁間及び部門間で調整し、市民社会、民間セクター、学術界および地域コミュニティと連携して作成されるべき」とあるように、市民が重要課題であるESDの政策決定プロセスに参加することが必要不可欠とされています。今後ESDに関わるあらゆる政策決定は、市民参加のもと、できる限り透明で民主的なプロセスで行われる必要があります。

日本におけるESDは、全国各地の人権、環境、福祉、平和、開発等の教育分野に関わる市民社会組織により、「ESDの10年」が始まるよりも以前から取り組まれてきました。「ESDの10年」の期間中も、市民社会組織による長年の実践と研究の蓄積が牽引力となり、各地域でESDが具体的成果を伴い実施されてきました。しかしながら、政府と市民社会との対話や協議がごく一部に限定されていたことなどにより、市民社会の持つ知見や経験が政策に適切に活かされてこなかったのが現実です。

「ESDの10年」の間、ESDの政策と実践が適切にリンクしていなかったという事実は、世界的に見ても残された課題としてユネスコにより挙げられています。その意味でも、2015年以降は市民社会と政府との有機的な連携が強く求められます。

以上の観点から、わたしたちはESDに取り組む市民社会として、ESDに関連する政策プロセスへの市民参加について、以下の提言を行います。

(1)市民社会と政府による透明で民主的な政策協議会の設置

政府と市民社会の双方がよりよいESDのあり方を共に考え連携を強化するとともに、政策のアカウンタビリティを高めることを目的とした政策協議会の設置が必要です。同協議会は継続的かつ建設的な政策対話の場とし、運営に政府も市民社会も共同で責任を持ち、そのプロセスは民主的かつ公開を前提とし、特定の選ばれた人々ではなく社会的マイノリティも含むすべての市民が対話と協議に参加できることが不可欠です。

(2)地域コミュニティにおける市民参加の促進

「地域」はESDと持続可能な開発の実践主体であるべきです。地域のESDが各地域の状況に見合った多様なあり方で実施でき、そこに市民一人一人が参加できるような仕組みを各地域で実現することが必要です。また、政府にも地域のそうした取り組みを積極的に奨励および支援することが求められます。たとえば、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)を契機に日本でも広がった「ローカルアジェンダ21」のような仕組みを、ESDに関して実現することが重要です。
以上

発起人団体:
特定非営利活動法人 開発教育協会
公益財団法人 公害地域再生センター(あおぞら財団)
特定非営利活動法人 さっぽろ自由学校「遊」

賛同団体:
(集約中)

2014年10月24日金曜日

フードロスのしくみを学ぶワークショップ in 岡山②

「フードロスのしくみを子どもたちと学ぶワークショップ講師養成講座」の後半は、DEARの教材『写真で学ぼう!地球の食卓』から、4枚の写真をつかってのワークショップ。日本の食卓の特徴をつかみ、フードロスが出るしくみと減らすためにどんなことができるのかを考えます。
4か国・4家族の写真を見比べてみると‥
3つのグループに分かれ、それぞれのグループに1枚ずつ異なる写真を配り、食卓の特徴・主食・どうやって調達している・気が付いたことなどを話し合いました。写真は、エイメさん(エクアドル)、メランダさん(ドイツ)、チェリクさん(ドイツ)の3家族のものを使いました。


それぞれのグループで話し合ったことを発表した後、各グループに3枚の写真に加え、ウキタさん(日本)の食卓の写真も配りました。そして、「日本の食卓の特徴、気が付いたこと」を話し合ってもらいます。他国の食卓と比べてみると、とてもたくさんの意見が出ました。みんな、頷きながら発表を聞いていました。
  • 包装(パッケージ)が多い/みんなパッケージされている→ごみが多そう
  • 魚が多い
  • 調味料がたくさんある
  • 野菜が意外に少ない
  • 季節が分からない→輸入しているから/ビニールハウスで栽培している
  • 食材の種類が多い
  • 加工品が多い
  • 自給してなさそう→みんなスーパーで買える
  • 冷凍食品がある
  • 食材の種類が多く豊か
そのあと、以下の3つの視点から4枚の写真を並べ替え(ランキング)してみました。
  1. ゴミがたくさん出そうな順番
  2. 健康だな、ヘルシーだなと思う順番
  3. フードロスがたくさん出そうな順番
前半で、「もったいない鬼ごっこ」を体験していたので、ゴミやフードロスは、生産・加工・流通・消費のそれぞれのプロセスで出ることを学んだ皆さん。加工食品や冷凍食品を多く消費している日本の食卓からは、たくさんのパッケージごみに加え、フードロスが出そうだということが見えてきます。
日本の食卓の特徴は‥
最後に、グループの中でひとりずつ「フードロスを減らすためにできること」を話し合いました。また、主催の「フードバンク岡山」の三田さんから、フードロスを減らすひとつの方法としてのフードバンクの役割について、ご紹介いただきました。フードバンクには、生産者や加工業者さん、生協など流通業者さん、個人の家庭からも、まだ食べられる食品が寄付され、「食」を必要としている人に届けられています。
(八木)

2014年10月22日水曜日

フードロスのしくみを学ぶワークショップ in 岡山①

10月17日(金)、岡山で「フードロスのしくみを子どもたちと学ぶワークショップ講師養成講座」を実施しました。主催はNPO法人フードバンク岡山、ファシリテーターをDEARスタッフの八木が担当しました。

「フードロス」とは、「まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物」のこと。世界では、生産された食べ物のうち約3分の1が捨てられているともいわれています。この「フードロス」の問題について、子どもたちとともに考えるワークショップを実施する講師を養成する、というのが講座の目的でした。

学童保育指導員や公民館職員の方、食品会社の方、会社員、お百姓さん、児童養護施設のスタッフや国際協力団体の方など、多様な約20名の参加者で2時間半のワークショップを実施しました。

形の違う2種類のニンジンさん。その後の運命が変わってきます‥
前半は、「もったいない鬼ごっこ」という、ハンガー・フリー・ワールドさんが作成したての教材をつかって、ワークショップを体験。参加者は、ニンジンや大豆、アジ、鶏などの食材になり、「生産」→「加工」→「流通」→「消費」→「おいしく食べられる」まで、捨てられないように逃げる!というもの。

捨てられて「フードロス鬼」になってしまった食材・食品の皆さん
それぞれのプロセスで「形が悪いから」「箱がつぶれたから」「消費期限が近いjから」など、さまざまな理由でフードロスが出ることがよく分かります。小学生から大人まで、楽しく参加することができます。

3人一組でふり返りをしているところ。みんな、食材になりきったままです。
終了後は、3人一組になって、「1.体験してみてどうだったか」「2.子どもたちを対象とした時に工夫したいこと」の2点を話し合ってもらい、全体に発表しました。さすが、普段から子どもに関わっているみなさん!参考になる意見や視点がたくさん出てきました。
  • 鬼ごっこが楽しくて夢中になってしまうので、1回ごとに食材・食品カードの内容を全員で見まわして確認する時間をじっくりとりたい。
  • 鬼ごっこをやるグループと、それを外から見て観察するグループに分かれてもよいかも。何が起こったのか、食材になった人がどう行動したのかを、後で共有するといい。
  • 捨てられた食べものたちに「何になりたかったのか」を語ってもらうとよいのでは。ニンジンの気持ちや、豆腐の気持ちになってみる
  • パッケージにプリントミスがあると捨てられてしまう‥というのは、消費者の側の意識の問題もあると思った。選ぶ基準を考え直すきっかけになるかも。
  • 人の手で1枚1枚パッケージしていれば、プリントミスは起こらないし、気が付くはず。製造が工場でライン化されているからこそ、フードロスが出てしまう。そういうことにも気付くきっかけになる。
  • 「形のよいニンジンも、悪いニンジンも、どちらもおいしく食べられる」のだけれど、子どもたちは畑でニンジンを見たことがないから、どんなものか分からない。生産の現場や体験とリンクしたり、実際に食べ比べをしてみたら、もっと学びが広がりそう。
  • 子どもたちは食卓にのぼった食べ物、加工されたものしか知らない。生産や加工のしくみを知ること、体験の裏付けがあると、さらに深まる
  • 子どもが好きな、チョコレートやパン、おせんべいなどの「おやつ」で応用すると、もっと楽しく、関心を持って参加するかもしれない。
  • 日本の食料自給率が約40%であることを考えれば、食材・食品とともに、大量のエネルギーを輸入して捨てていることになる。鶏肉だったら、国産と輸入と比べて考えてみてもよいのでは。

今回は、食品会社の方が参加していたので、原料から加工する時にどのくらい野菜が廃棄されているのか、また、賞味期限の短い加工品は廃棄せざると得ない場合もあることなどを、聞くことができました。また、お百姓さんからも、収穫量が多すぎた野菜や、規格外の形やサイズの野菜を処分することがある、といったお話がありました。

消費だけをしていると、お店に並ぶ前にどれだけフードロスが出ているのか、なかなか気が付くことができないものです。鬼ごっこ&参加者の皆さんの発言で、より一層フードロスへの理解を深めることができました。

後半は、『写真で学ぼう!地球の食卓』を使ってワークショップをやりました。続きはまた次回‥。
(八木)

2014年10月2日木曜日

援助する前に考えよう@順天高校

スタッフの星です。先日、スーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校である順天高校で行ったワークショップの様子をレポートします。

教材『援助する前に考えよう』より
旅先のタイでこんな看板を見たら、あなたはいくら寄付しますか?
順天高校の生徒さんたちに聞いてみました。
一人ひとり寄付額を紙に書き、その理由をグループで話して寄付額を合算し、クラス全員で共有しました。寄付額も理由も様々。

  • 子どもたちがかわいそう
  • 日本人だから信用できる
  • $5くらいなら出せる

というような寄付をしたいという意見に対して、

  • 本当に学校のために使われるのか怪しい
  • そういう環境に生まれた運命だから仕方がない

などの寄付するのを躊躇する意見もありました。


生徒たちから沢山の多様な意見が出され、寄付や援助が生み出す現地へのプラス/マイナスの影響や、注意すべき点など、一枚の看板から話はどんどん発展していきます。

彼/彼女たちのうち、これからフィリピンでのスタディーツアーに参加する生徒がいます。教育支援をしているNGOと一緒に、現地の子どもたちへ学習サポートを行う予定だそう。
フィリピンへ赴く前に、自分たちが援助する側としてどんな影響を与える可能性があるのか、どんなことが起こりうるのかを想像してもらうため、私のボランティア体験談を聞いてもらいました。

大学3年生の半年間をブラジル、セアラ州フォルタレーザにある漁村で、仲間と過ごした時のお話です。
ジャンガーダという帆付きいかだを使った伝統的な漁業を継承するため、若者を対象にいかだ造りプログラムを考えました。「繁華街での遊び」に走ってしまいがちな村の青年たちに伝統を伝え、漁に興味を持ってもらうことがねらいでした。
いかだ造りプロジェクトの実施には資金が必要でした。
出発前に私が仲間と行ったのは駅前での募金活動でした。「貧しい環境で暮らす漁村の青年たちのために...」と言って2日間声を枯らすと、なんと12万円も集まったのです!
集まった資金を持って、いざブラジルへ。活動費としていかだの材料費と講師への謝金に充てました。
しかし、現地での活動は上手く運ばず、プログラムに参加する青年はだんだん去り、最後にたった一人の青年がなんとかいかだを完成させたのでした。

果たして、いかだ造りプログラムは誰のためのもので、誰が求めていたものだったのでしょうか?
青年たちの漁業離れの原因、問題点はどこにあったのか。いかだ造りを習えば青年たちは漁業に興味を持ったでしょうか?そもそも、伝統的な漁業を継承したいと村人たちは本当に願っているのでしょうか?

村での生活に慣れた頃、村の中に娯楽が少ないことが若者を繁華街へ向かわしていること、いかだで獲ってきた魚を繁華街のレストランオーナーなどに安く買われてしまっていることなど、日本で募金をしていた時には考えてもいなかったことに気づきました。


さて、高校生に今回のお話をする上で「私が村にもたらした影響」について考えました。
生活を始めて1週間ほど経った頃、泥棒に入られてしまいました。募金で集めた大金を村に安易に持ち込んでしまったことや、持っていたカメラや時計または服装から「お金を持っている」というイメージをもたらしてしまったのかもしれません。

それでも、子どもたちに桃太郎の劇を教えたときの彼らの笑顔、女の子たちとクリスマス会で発表した安室奈美恵のダンス。今でも彼らと話す共通の素敵な思い出です。お金は1円もかかりませんでした。大学生だった自分たちにできた等身大の活動であった、と今ふりかえってみて思います。

「もし、また漁村で活動するとしたら何がしたいですか?」という参加者の生徒からの質問に、ハッとしてすぐに答えられない自分がいました。

何が課題で、何をすべきだったのか?他にどんなことができたのか?まだ、分からないままでいます。分からない、それで良いのだと思います。

これからフィリピンへ行く順天高校の生徒たちにも、私の感じていた何かしてあげたい!という自信や、現地の想像と実際のギャップや、お金がもたらす影響、お金が要らない素敵な思い出など、沢山のことを感じて、体験してきてほしいです。そして、問いを持ち続けてもらいたいです。

授業の最後に、順天高校のニック先生が「Should we only help people who ask for help?」と問いかけました。
ワークショップ終了後、一緒に漁村へ行った仲間とブラジルでの半年間について話しました。
「漁村の人たちに対して同情してもらうような募金活動はもうできないよね、彼らはみんな今は友だちだもんね」と。

私自身にとっても、ブラジルでの半年間をふりかえり、「援助とは?」を考えるたいへん良い機会となりました。

生徒からの感想を紹介します。

  • 自分達で一からしたいことを決めて、全員がSGHとして何かをしたい。
  • 行ってみて気づくことや得ることがたくさんあるから、まずフィリピンがどんな状況なのかを見てきて、それから自分たちに何ができるかを考えたい。
  • 自分たちが現地の人々にどう見られているのかをよく意識する。
  • お金ではなく、異文化交流をして笑顔が増えたり、よい思い出になることをしたいなと思った。
  • 自分が生きている環境の中から“相手の立場に立つ”ということの難しさを感じた。
  • 相手の国の文化などに悪影響を及ぼしてしまうとしたら、ボランティアはしない方がいいんじゃないかと思った。
  • 自分が今までやってきたボランティアは役に立っていなかったのか…?
  • 何かするときに、個人でやるのではなく、人と人がつながり協力してやった方が心に残るし、やりおわった時に達成感があるだろう。

参加した生徒の報告が順天高校のHPより見られます。
http://www.junten.ed.jp/news/?p=6325

(報告:星)

2014年9月19日金曜日

フリースペース「たまりば」でワークショップ:第2回「世界の食卓~世界から来る食べ物、食の多様性」

こんにちは。DEARボランティアの山田素子です。8月の全研をきっかけに、9月より事務局ボランティアとして参加させていただいています。

先日、9月8日に川崎市子ども夢パークにある「フリースペースえん(たまりば運営)」にて、「世界の食卓」ワークショップを行いました。全6回のうちの2回目の今回のテーマは「世界の食卓~世界から来る食べ物、食の多様性」です。身近なモノが何でできているのか、どこから来ているのか、を知ることによって、普段当り前に感じている日本での食生活を、皆で改めて見つめ直してみました。

まずは、生産品に関するクイズから始まりました。
「チョコレート、アイスクリーム、コーヒー、Tシャツ。さて、これらの、身近にあるモノは何からできて、どこから来ているでしょう?」

机に伏せて置いてある写真を子ども達に引いてもらって、「ここだ!」と思う所に貼ってもらいます。間違えても大丈夫だよ、という雰囲気の中、スタッフさんや子どもたちのやじ(声援)が飛び、どんどん写真が貼られていきます。Tシャツの写真をひいたら、「それ着てアイスクリーム食べると美味しいよね~!」、白い綿花の写真をひいたら、「あ、アイスクリームの実だ!」とみんなで、突っ込みを入れながら、大盛り上がりです。


答え合わせの後、それぞれの生産品の作られる過程について、DEARスタッフの星さんから説明がありました。


カカオの実ってどんな人がつくっているのかな?
写真に子どもが写っているけど‥
ガーナって世界地図のどこにあるのかな?
アフリカかな?
カカオの実、とってもいいにおいだね~!

子ども達は興味津々に写真を見て、実際の製品やコットンの触り心地、コーヒー・カカオの香りを楽しんでいました。

左から、コーヒー豆、コットン、カカオ
少し疲れてきたところで、アイスクリームとフェアトレードのチョコレートを食べて、休憩です。ワークショップに参加していない子どももチョコレートだけもらいに来たりして、始まった時は少人数だったのが、だんだんと人が増えてきました。

アイスクリームを美味しく食べながら、表示の中にパーム油が書いてあることをチェックしている子どもも。みんな、アイスの中にパーム油が使われていることにびっくりしているようでした。

休憩が終わった後は、今度は、グループに分かれて、世界の食卓を覗いてみます
それぞれ、トルコ、インド、ドイツ、アメリカ、グアテマラとバラバラな地域の国ですが、教材『写真で学ぼう!「地球の食卓」学習プラン10』の5枚の写真に共通する食材は何か、そして、自分のグループの国にしかないと思う食材もあげてもらいました。


こちらは、アメリカグループです。みんな興味津々にチェックをつけていました!さて、何が共通しているかな?

各国に共通する食材として事前に想定していたものは、キャベツ、トマト、ジャガイモなどの野菜だったのですが、「水!」「油!」など、確かに料理と生活に欠かせないなぁ・・・という回答がたくさん出てきました!

最後に、日本の食卓の写真を見てみました。「包装が多くて、ゴミが多い!」「野菜が少ない?でもアメリカの方がもっと少ないよ」等、意見が飛び交います。


最後に実際に、タコチップスをサルサとアボカドと一緒にみんなで食べて、ワークショップは終了しました。アボカドを初めて見た子、食べた子は「苦そう」と言いながらも完食していました。

実はワークショップを行っているすぐ横では、夢パークでとれたバジルを使ってジェノベーゼづくりが行われていました。こちらもタコスにつけると、とっても美味しかったです!ごちそうさまです!笑
帰り際、子ども達に夢パークの中を案内してもらい、ハンモックの遊び方を教えてもらいました。


四隅に四人で座り、揺らし合います。このハンモックの上で鬼ごっこをする遊び方もあるそうです。ハンモックの他にも、ターザンロープや、昇り棒など、手作りの遊具がたくさんです。
どこからか声がする!と思って見上げてみると、木の枝に隠れて、おしゃべりをしている女の子たちを発見しました!

普段の、しっかりとグループ分けされた椅子とテーブルに座ってワークショップを行う形ではなく、子ども達が自由に参加し、好きな時に抜けて行く雰囲気、そして、あっている・間違っていることや、勝敗にこだわらずに、一人ひとりの子どもがそれぞれの方法・距離感でワークショップに参加している様子が、なんだかとても新鮮でした。しかし、子どもたちが様々な関わり方をとっていることは、実は当り前のことなのだなぁと感じます。

また、実は私自身は、初の運営側としての参加でした。何を目的として、どのように伝えるのか。そして、どの点を掘り下げて行けば子どもたちの興味を引き付け、更に学びの深い場をつくることができるのか。今回のワークショップを振り返って、次回に活かしていけるポイントを見つけて行きたいと思います。

子ども達から聞こえてきた感想、えんスタッフからのフィードバック:

  • いつもカルディなどでよく買っている、大好きなチョコレートがフェアトレードの商品ということを初めて知った。
  • アイスクリームの原料がパーム油からできているとは知らなかった。パームの実はイソギンチャクみたいだと思った。
  • 日本の写真はゴミが多そう。あと、ケーキとか食べてたら太りそう。
  • 後半の『世界の食卓』も、たくさんの子が、熱心に違いや共通のものをさがしていた。各グループに、DEAR、えんスタッフがはいって、子どもの声をききとってひろげたり、ゆさぶったりしたのがよかった。

「俺はアイスクリームとチョコレートを食べるために参加する!」と言っていた子も、ワークショップに積極的に参加して、たくさん発言してくれていました。

次回も子ども達に会うのを楽しみに、お邪魔させていただきます。ありがとうございました!
(山田)

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