こんにちは。事務局スタッフの岩岡です。
9月19日~24日の6日間、ASPBAE(アジア南太平洋基礎・成人教育協議会)主催の基礎リーダーシップ研修(Basic Leadership Development Course;BLDC)に参加してきました。
研修のテーマは「教育の公平性を高めるためのTALE(変革のための成人学習・教育)」。
研修開催地はベトナムのハノイで、15ヶ国から33名の参加者(講師含む)が集まりました。インド、バングラデシュ、ネパール、パキスタン、スリランカ、モンゴル、インドネシア、ラオス、フィリピン、ベトナム、ニュージーランド、ソロモン諸島、キルギス、アフガニスタンなど、様々な教育活動や地域での実践に取り組む参加者たち。年齢も、20代の大学生から60代まで様々な世代が集まりました。
同じグループになった参加者と |
★1日目:アイスブレイクとファシリテーターの声かけ
研修初日は、自己紹介や様々なアイスブレイクを通じて、徐々にお互いを知っていきました。
特に印象に残っているのは、研修への期待と恐れをシェアしたことです。
期待は「さまざまの国の話から様々な視点を得て学びにつなげる」「ネットワークをつくる」など、恐れは「ここで学んだことを、自分の国の文脈でどうこの経験を活かせるか」「言葉の壁」といったことが多く出されました。
今回、日本からの参加者は私ひとりで、久々の海外ということもあり、私は英語でのコミュニケーションにとても不安を感じていました。でも他の参加者も同じように「言葉の壁」を感じていることを知って、「私だけじゃないんだ」と安心しました。
みんなの不安を感じ取った講師の声掛けも素晴らしく、「コミュニケーションのうち言語が占める割合は25%。残りの75%はボディ・ランゲージ(Body Language)で、これはユニバーサル(Universal Language)なんだよ」とフォロー。
また、「英語は "私たちの言語" じゃなくて、植民地主義的なもの。だから、自分らしくはなせばいい。みんな素敵だから大丈夫!(English is not our language, it’s colonial language. So speak in your own way! You all have a beautiful accent)」という言葉にとても励まされました。
私たちが話している英語は「私たちの言葉」ではない。この事実だけで、アジアからの参加者みんなが仲間に思えた、何とも不思議な感覚でした。
みんなを励ます講師のAnita(彼女の英語はとても丁寧な話し方で、みんなが聴き取りやすいように意識して話しているのが伝わってきました!) |
参加者の中には、ベトナム人の聴覚障がいの方が3人と、フィリピン人の視覚障がいの方が1人がいました。
特に、聴覚障がいの方たちはベトナム手話を使っていて、手も体も顔の表情も目も使って全身でコミュニケーションをしていて、とっても表現が豊か!コミュニケーションは全身の自己表現であり、どういう言葉を発するかも大事だけど、伝えよう・繋がろうとする気持ちをもっと大事にしよう、そう感じました。
同じラーニンググループBのメンバーと(数字の4のようなサインは、ベトナム手話でBを意味します) |
★2日目:貿易ゲームのような「Fish Trading Game」
2日目は、生涯学習とシティズンシップ教育の講義についてで、Fish Trading Game(正式名称は分からず…)をやりました。
貿易ゲームのようなもので、グループに分かれて10年間魚をどれだけ獲れるかを競うゲーム。だけど、各年の最大漁獲量は決まっていて、且つ自分たちが得た魚数に対して次年のとれる魚量が決まるというルール。どこかのグループがたくさん獲ってしまうと、他のグループが損をしたり全く獲れなくなったりする、そして次の年は全グループにその影響が及ぶ、といったことが予想されました。
貿易ゲームだと大抵グループ間での交渉や競争などが生まれますが、さすがはBLDC参加者。「持続可能な社会を創らないと!」という声がどこからともなく挙がり、資源を枯渇させないように、魚の総数に見合うよう各グループの獲得数を毎年全員で決めることになりました。
グループをこえて全体で話し合い(インドの参加者がアクティブでした!) |
でも、ゲームが進むうちになぜか翌年の最大漁獲量がどんどん減るという現象が起き、講師がズルをしているのでは?という疑惑や、気候変動で魚が減っているのでは?という懸念の声も。
私のいたグループでは毎回全体で決められた魚量を獲得していたのですが、他のグループがちょっと多めに魚をもらっていたことが最後に発覚し、会場からは非難の声も挙がりました。
振り返りでは、今回のようにグループ間(市民社会)でルールを作って合意をしたとしても、抜け駆けするケースもある。だから政府や国がルールを作って管理をすることも大切だね、という意見がありました。
今回のゲームではルールは事前に知らされていたけど、来年の魚がどれくらい残るかなんて現実世界では分からない。毎年気候変動で漁獲量も大きく左右される。また、10年というスパンだったけれど、20年・30年経つとゲームの担い手も変わる。だから広い視野で地球や持続可能性を考えるための教育システム、そのための市民社会、国や政府が管理するシステムが必要だ、ということを感じました。
Film Festivalの様子。DEARのワークショップなどで活かせそうな動画もありました。 |
★2日目午後はフィルム・フェスティバル!
★ハノイ散策も!
研修期間中は毎晩ハノイを散策し、地図無しでも歩けるようになりました。
コメント
コメントを投稿