グローバル・エクスプレスin仙台 その1

仙台国際交流協会(SIRA)から呼んでいただいて、2月21日(日)に「グローバル・エクスプレス(GE)」ワークショップを行いました。実はGEで丸一日の講座をやるのは初めて。何をやろうかあれこれ考え、新学期に使いやすいように、午前中は「ワールドカップ」、午後は「憲法報道」をテーマに選ぶことにしました。
※いずれの教材もGEのサイトからダウンロード(無料)できます。

参加者は小学校から高校までの先生と、SIRAのボランティア、NPO/NGO関係者、社会教育関係者、学生など約25名でした。

「ワールドカップ」は、2006年大会の時に作成した教材を元にして、今年の大会の最新データや情報を盛り込んでやってみました。


▼はじめは、開催国と出場国を簡単に知るところから。
「今年の開催国、南アフリカについて知っていることは?」の質問には「金やプラチナが採れる」「アパルトヘイト」「ネルソン・マンデラ」「喜望峰」、そして「マグロ漁船の給油地」。気仙沼のマグロ漁師さんから聞いたことがあるそうです・・さすが仙台!

▼続いて南アの国旗当てクイズ。
アフリカ地区からの出場国(アルジェリア、ガーナ、カメルーン、南ア)の旗から4択です。5グループのうち、3グループが南アの旗を選び、2グループがガーナの旗を選びました。答えあわせをした後、旗の色の意味を簡単に説明。アパルトヘイト撤廃前の1994年まで使われていた南アの国旗を見て、少し歴史を振り返りました。

▼続いて、対戦グループ抽選会翌日の12月6日の朝日新聞・読売新聞を配布して、しばし記事を読みます。出場国が国旗や選手情報とともに一覧で掲載されていて、とても分かりやすい記事です。

その後、世界地図を配布して、対戦グループ毎に担当を決め出場国の場所にシールを貼りました。アフリカや中南米の国々、スロベニア、スロバキアなど普段聞きなれない国の場所を探すのは難しかったとの感想が出ました。ワールドカップはオリンピックと違って、「南」の国々の名前がたくさん出てくるところが面白いです。また、「“イングランド”は英国?」といった声も。

▼次は、「数字でみるワールドカップ出場国」。
32カ国のあるデータがランキングされたワークシートを配り、それぞれ何のデータかを予想してみました。データは、(1)FIFAランキング(2)人口(3)平均寿命(4)エネルギー消費量(5)GDP(6)ワールドカップ出場回数(7)移民の割合、の7つを最新データで用意。

1と6は新聞に掲載されているので、すぐに全員正解。2、3、6は日本の数字がヒントになりほぼ全員正解。ここで、南アの平均寿命が短い理由を少し考えてみました。「HIV」や「貧困」の問題について意見が出ました。

また、4と7がとても難しかったようです。4では、米国のエネルギー消費量の多さと、アフリカの国々の差に驚いていました。

▼7の「移民の割合」の数字から、サッカーの各国代表選手の多くが、海外のクラブチームに所属していることなどを話しました、そして、記事「イタリア代表選考に人種問題の暗い影」(朝日新聞/2010年1月26日)を読んでから、「わたしの気持ち」をやりました。

「移民を多く受け入れている国でもこういうことがあるとは驚いた」
「複雑」「問題を考えるよい機会になる」
「スポーツに人種差別の問題を持ち込むなんて悲しい」などなど。

でもこれって、イタリアだけ、サッカーだけのことでしょうか?
ちょうど冬季オリンピック開催中ということもあり、日本からロシアに帰化した川口選手のこと、引退した元横綱朝青龍のことなども併せて考えた方も多かったようです。

▼そして、午前のクライマックスは「日本代表チームをつくろう!」。
自分が代表チームをつくるなら・・という前提で、「日本に帰化している」「強烈なシュートが打てる」などが書かれた24枚のカードを分けていきます。


どのグループも条件はとても少なく、「サッカーがうまくて、国籍があればいいよ」という感じでした。が、ちょっと意外だったのは「日本を愛している」を条件に入れたグループが多かったこと。「それは、どうやって調べましょうか?」と聞いたら、みなさん考え込んでしまいました。「顔・格好が日本人に似ている」などは条件に必要ない、と全部のグループが回答。では、「全員がラモスやトゥーリオみたいな選手になっても、日本代表として応援してくれますよね?」と聞くと、みんな「うーん・・」と。

もちろんこれは、正解があるものではなく、現在起こっている人種差別や外国人排斥、ナショナリズムについての問題を考えるためのワークです。分ける作業で、自分の中にある価値観や偏見、大切にしていることなど、発見がたくさんあったようです。

最後は、地元のサッカーチーム、ベガルタ仙台で活躍する在日3世の選手が話題にのぼりました。「彼はずっと日本で生まれて育って、地元のファンにも愛されているのに、日本代表にはなれないんだよね・・」と。彼自身がそれを望んでいるかどうかは分かりませんが、もしいつか在日の選手が「日本代表になりたい」となったら、わたしたちはどう考え、行動するでしょう?

午前中はここで終了。
午後の世論調査データを読み解く「憲法報道」の様子はまた次回レポートします。
(八木)

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