こんにちは。スタッフの八木です。
2017年12月から18年1月にかけて、東京・北区の滝野川文化センターで5回連続講座「本当の“ゆたかさ”“しあわせ”ってなんだろう?~「世界」から学ぶ価値観の多様性~」が開催され、企画とファシリテーションを担当しました。
文化センターのスタッフの皆さんと一緒に講座の中身を検討し、以下の内容で実施することになりました。
▼第1回目 世界がもし100人の村だったら?
講座のキーワードのひとつ「多様性」を感じるために、ワークショップ「世界がもし100人の村だったら」を実施しました。参加型のプログラムは初めてという方も多かったので、まずは「グローバル・ビンゴ」(『開発教育基本アクティビティ集1-世界とのつながり』に掲載)でアイスブレーキングと自己紹介をしました。
▼第2回 レヌカの学び
ネパールからやってきて日本に暮らすレヌカさんの体験を元につくられたカード教材「レヌカの学び」を実施しました。
わたしたちは、「ネパールだから○○だ」「日本だったら○○だろう」と、「国」に対して持っている先入観で「個人(レヌカさん)」を理解しようとしまったり、判断してしまったりすることがあります。同じ日本人・ネパール人でも一人ひとりは異なるのですが‥。
第4回目の講師をつとめるハサンさんも、お連れ合いのサルマさんと一緒に参加してくだいました。そして、終了後にはハサンさんの経験や考えを聞きながら、「レヌカの学び」を応用した「ハサンの学び」の案を練りました。
<参加者の感想>
▼第3回 「地球の食卓」から学ぶ 目に見える文化・見えない文化
教材「地球の食卓」の中から「7.多様なイスラム教徒の生活」をつかってワークショップをやりました。このワークは何度かやったことがあるのですが、参加者が「イスラム」に対して持っているイメージが揺らぎ、「そうだったの!?」と、驚きの声があがります。同じ「イスラム教徒」でも、一人ひとりは異なり、多様なんだということが、写真から具体的に読み取ることができます。
<参加者の感想>
▼第4回 北区に暮らす「ハサンの学び」
北区に暮らすハサンさん作の「ハサンの学び」を使ったワークショップを行い、手作りのバングラ料理をみんなで一緒に食べるという、スペシャルな回でした。
「ハサンの学び」には、例えばこんなカードが入っていました。
・「魚をよく食べるよ」「野菜をよく食べるよ」
・「子どもはみんな縄跳びをして遊ぶよ」
・「1日に1回くらいお祈りします」
・「家族の意見がなによりも大切です」
グループで話し合いながら、「日本 or バングラにいるときのハサンさんがやっていること、考えていること」を分けていきます。分け終わったら、ハサンさんによる解説を聞きながら、答え合わせをしていきました。
ちょっと解説すると‥、ハサンさんはバングラにいる時の方が魚をたくさん食べるそうです。「川魚や生の魚をたくさん食べる」という話に、参加者から「刺身のことですか?」と質問が。ハサンさんにとって「生の魚」というのは、一度も冷凍されていない新鮮な魚のこと(もちろん、料理して食べます)。日本では冷凍魚や解凍された魚が売られていることが多いので(輸入物も多いですよね)、ハサンさんは違いを感じているそうです。
一方で、ハサンさんは日本に来てから野菜(特に生野菜)をすごく食べるようになったそう。レストランなどで食事をすると、必ず初めにサラダが提供され、それを食べるうちに生野菜を食べるようになったそうです。
また、イスラム教徒のハサンさんは、日本にいる時は毎日のお祈りをまとめて1回で済ませていることの多いそうです。でも、バングラに帰ると1日きちんと5回お祈りしているそう。「お祈りをしていないと、家族や周りの人から注意されるので‥」と笑ってお話してくれました。
縄跳びはハサンさんにとっては「女の子の遊び」だそうで、日本では男女一緒に遊んでいる様子が珍しかったとのこと。そして、バングラでは家族の意見をなによりも重んじる、というお話に、参加者からは「日本では“世間”が大切にされる」「上司や偉い人の意見が重んじられる」という意見が出ました。
お話を聞いた後は、みんなでバングラデシュ・ランチを楽しみました。おいしかった!
▼第5回 「わたし」「あなた」「みんな」にとっての“ゆたかさ”“しあわせ”とは?
最終回はこれまでのキーワードをふり返り、教材『豊かさと開発』の中から「ゆたかな社会にとって大切なこと」をやりました。
25枚のカードの中から、まずは自分にとって大切なカードを9枚選びます。育った環境、関心のあることなどにより、一人ひとりの選ぶものは異なります。
それを共有した後に今度は「日本に暮らす外国出身の人にとって大切なこと」を想像して選んでみました。すると、自分で考えた時にはなかったカード(社会保障/差別がない/地域に集まれる場所がある/頼れる人がいる)などが多くあげられ、「自分たちには当たり前にある基本的な権利や安心がないのかもしれない」という声もあがりました。
価値観やニーズが異なる多様な人たちが暮らすこの社会で、「みんな」にとっての豊かさ・幸せを実現するにはどうしたらよいでしょう‥?
最後に、全員がひと言ずつ、5回の感想を発表して終了しました。
<参加者の感想>
2017年12月から18年1月にかけて、東京・北区の滝野川文化センターで5回連続講座「本当の“ゆたかさ”“しあわせ”ってなんだろう?~「世界」から学ぶ価値観の多様性~」が開催され、企画とファシリテーションを担当しました。
文化センターのスタッフの皆さんと一緒に講座の中身を検討し、以下の内容で実施することになりました。
- 第1回 世界がもし100人の村だったら?~世界の多様性と格差、現状を体験するワークショップ
- 第2回 レヌカの学び~「わたし」の中にある“異文化”と“多様性”に気づく
- 第3回 「地球の食卓」から学ぶ 目に見える文化・見えない文化~自分の中の「偏見」や「先入観」と向きあう
- 第4回 北区に暮らす「ハサンの学び」~バングラデシュと日本の文化にあらためて出会う(ランチ付)
- 第5回 「わたし」「あなた」「みんな」にとっての“ゆたかさ”“しあわせ”とは?~未来のために必要・大切なことを見つめ直す
▼第1回目 世界がもし100人の村だったら?
講座のキーワードのひとつ「多様性」を感じるために、ワークショップ「世界がもし100人の村だったら」を実施しました。参加型のプログラムは初めてという方も多かったので、まずは「グローバル・ビンゴ」(『開発教育基本アクティビティ集1-世界とのつながり』に掲載)でアイスブレーキングと自己紹介をしました。
30~80代の方が約20名参加しました |
ネパールからやってきて日本に暮らすレヌカさんの体験を元につくられたカード教材「レヌカの学び」を実施しました。
これは日本にいる時のレヌカ?ネパールにいる時のレヌカ? |
わたしたちは、「ネパールだから○○だ」「日本だったら○○だろう」と、「国」に対して持っている先入観で「個人(レヌカさん)」を理解しようとしまったり、判断してしまったりすることがあります。同じ日本人・ネパール人でも一人ひとりは異なるのですが‥。
第4回目の講師をつとめるハサンさんも、お連れ合いのサルマさんと一緒に参加してくだいました。そして、終了後にはハサンさんの経験や考えを聞きながら、「レヌカの学び」を応用した「ハサンの学び」の案を練りました。
<参加者の感想>
- 個人の考えはまちまちである。また、変わることもある。
- 日本文化の良さ、逆に改善したいことが浮かんできました。様々な考え方があって今日も参考になりました。楽しかったです。
- 思いこみがたくさんあると感じました。「気づき」につながりました。
- 国で判断するのではなく、その個人を理解するという考えがわかりました。
ハサンさんから聞き取りをして「ハサンの学び」案を練りました |
▼第3回 「地球の食卓」から学ぶ 目に見える文化・見えない文化
教材「地球の食卓」の中から「7.多様なイスラム教徒の生活」をつかってワークショップをやりました。このワークは何度かやったことがあるのですが、参加者が「イスラム」に対して持っているイメージが揺らぎ、「そうだったの!?」と、驚きの声があがります。同じ「イスラム教徒」でも、一人ひとりは異なり、多様なんだということが、写真から具体的に読み取ることができます。
<参加者の感想>
- 日本を再観す。次回がたのしみ。
- 思いこみ、先入観。普段考えないことでした。
- 一口にイスラム教徒といって多様性がある。最近、イスラム過激派のマスコミ報道が多いですが、画一的な見方をしてはならないと思います。
- 食事と宗教のつながりを感じました。多様性を感じる心を忘れずに今年もたくさんのことを考えたいと思います。
3家族とも、同じ神様を信じています。 |
▼第4回 北区に暮らす「ハサンの学び」
北区に暮らすハサンさん作の「ハサンの学び」を使ったワークショップを行い、手作りのバングラ料理をみんなで一緒に食べるという、スペシャルな回でした。
「ハサンの学び」には、例えばこんなカードが入っていました。
・「魚をよく食べるよ」「野菜をよく食べるよ」
・「子どもはみんな縄跳びをして遊ぶよ」
・「1日に1回くらいお祈りします」
・「家族の意見がなによりも大切です」
カードの裏面にはハサンさんが描いた美しい絵が! |
グループで話し合いながら、「日本 or バングラにいるときのハサンさんがやっていること、考えていること」を分けていきます。分け終わったら、ハサンさんによる解説を聞きながら、答え合わせをしていきました。
一方で、ハサンさんは日本に来てから野菜(特に生野菜)をすごく食べるようになったそう。レストランなどで食事をすると、必ず初めにサラダが提供され、それを食べるうちに生野菜を食べるようになったそうです。
また、イスラム教徒のハサンさんは、日本にいる時は毎日のお祈りをまとめて1回で済ませていることの多いそうです。でも、バングラに帰ると1日きちんと5回お祈りしているそう。「お祈りをしていないと、家族や周りの人から注意されるので‥」と笑ってお話してくれました。
縄跳びはハサンさんにとっては「女の子の遊び」だそうで、日本では男女一緒に遊んでいる様子が珍しかったとのこと。そして、バングラでは家族の意見をなによりも重んじる、というお話に、参加者からは「日本では“世間”が大切にされる」「上司や偉い人の意見が重んじられる」という意見が出ました。
お話を聞いた後は、みんなでバングラデシュ・ランチを楽しみました。おいしかった!
野菜、チキン、ビーフ、豆とカレーは4種類!甘いデザート「ピタ」にシンガラも。 |
▼第5回 「わたし」「あなた」「みんな」にとっての“ゆたかさ”“しあわせ”とは?
最終回はこれまでのキーワードをふり返り、教材『豊かさと開発』の中から「ゆたかな社会にとって大切なこと」をやりました。
25枚のカードの中から、まずは自分にとって大切なカードを9枚選びます。育った環境、関心のあることなどにより、一人ひとりの選ぶものは異なります。
それを共有した後に今度は「日本に暮らす外国出身の人にとって大切なこと」を想像して選んでみました。すると、自分で考えた時にはなかったカード(社会保障/差別がない/地域に集まれる場所がある/頼れる人がいる)などが多くあげられ、「自分たちには当たり前にある基本的な権利や安心がないのかもしれない」という声もあがりました。
価値観やニーズが異なる多様な人たちが暮らすこの社会で、「みんな」にとっての豊かさ・幸せを実現するにはどうしたらよいでしょう‥?
最後に、全員がひと言ずつ、5回の感想を発表して終了しました。
<参加者の感想>
- ワークショップ型の講座は初めてでした。講師の方だけでなく、みなさんとの会話がとても楽しかった。
- ワークショップは初めてで、びっくりし、どきどきしながら参加していました。講座に参加したことで、新聞の読み方が変わりました。考えて読むようになり、読む視点も変わりました。
- 開発援助の仕事に携わっていたことがある。途上国も、日本が歩んできたような道を歩むのだと思っていたが、未来はそうではないかもしれない‥。日本も、農業や高齢化の問題があり、これからどうなっていくのだろうと考えた。
- 「豊かさ」というと、物質的・経済的な豊かさが思い浮かぶが、精神性や寛容性も「豊かさ」なのだと思った。
- 子どもの頃、農村に疎開をしていた。そこでは食物を自給自足し、綿を紡いで服もつくっていたことを思い出した。消費者としてできたものを買うのではなく、そこには、違う豊かさがあったと思う。
参加者のみなさん、そして、滝野川文化センターのスタッフのみなさん、どうもありがとうございました。
(報告:八木)
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