みなさんこんにちは、DEARスタッフの小口です。
去る3月1日、DEAR評議員の近藤さんと私で川崎市立橘高校でメディアリテラシーに関するワークショップを実施してきました。参加してくれたのは、卒業式を間近に控えた高校3年生約40名です。
まずはアイスブレイクとして「部屋の四隅」を実施しました。
1つ目のお題は「私の主な情報源は新聞/テレビ/SNS(Twitterなど)/その他」というお題です。
分かれてみると、想像以上にSNSを情報源としている生徒が多い結果に。また、その他ではyoutube等と答えている子もいました。
2つ目のお題は「メディアは真実のみ報道するべきだと思う/まあそう思う/あまりそう思わない/思わない」。これは、「まあそう思う」、「あまりそう思わない」という選択肢を選んでいた生徒が多かったと思います。
この問いを投げかける中で、生徒からは
続いて、一つ目のワーク「紙面比較」をしました。
2月10日(土)の朝刊6紙(朝日新聞・産経新聞・東京新聞・毎日新聞・日本経済新聞・読売新聞)の「日韓首脳会談」に関する記事を1グループ2紙ずつ配り、まずは「事実」と「意見」に記事の内容を分類しました。
最初は「事実」が多い、と思っていた生徒たち。しかしワークを進めていくうちに、「『強調した』や『値する』という文言が語尾についているのは事実ではなく編集者の意見なのでは?」と、意外にも紙面には「意見」が多いことに気付き始めます。
また、紙面に写真が掲載されている新聞とされていない新聞があったり、見出しに「解決」とある新聞もあれば「平行線」とある新聞もあったりと、新聞によって「事実の切り取られ方」が大きく違うことや編集者の意図が違うことに気付きました。
その後二つ目のワーク「紙面作り」をしました。
2月10日(土)のニュース11個の中から、1面に持ってきたいトピックを選び、各グループで「新聞の一面づくり」を体験しました。まずはどんな人たちを対象にするのか、ということから始まり、見出しや写真の内容等も検討し、クラス全体で発表をしました。
各グループ全く違う一面になっていたのも印象的でしたが、「シリア問題」・「パレスチナ問題」といった国際的なトピックを取り上げているグループが多かったのも印象的でした。
その後、実際の主要新聞が何を一面に取り上げていたのかの一覧を見せると、そういった国際的な問題を取り上げている新聞が少なかったり、取り上げていたとしても一面では取り上げられていなかったりすることを知り、驚いていた生徒も多かったようです。
一面に持ってくるトピックは、「ニュースバリュー」が高いと編集者に判断されたトピックです。緊急度が高い、身近、ユニーク、重要、などの観点から、一番「価値がある」と判断されたものが一面に並びます。
しかし、何をもって「身近」と判断されているのか、「重要」と判断されているかなどは、私達ひとりひとりがしっかりと考え、そして自分の身近にある「情報源」と自分との判断軸が違う場合は、他からも併せて情報源を取るようにするなど行動していくことも大切なことだと思います。
最後に、Twitterのデマ拡散に関する記事とファクトチェックに関する記事を用いながら、情報との向き合い方や選び方についての話をしました。
参考記事:毎日新聞 台湾地震募金デマ投稿炎上に関する記事
参考記事:朝日新聞 2017年の衆議院選挙における政治家の発言のファクトチェックに関する記事
SNSが発達し、情報の受け手としてだけではなく、発信者としてのリテラシーも問われる時代になっています。どちらの観点からも、事実と誠実に向き合おうとする姿勢や考え続けることをやめずに判断していく姿勢が大切になってくるのだと思います。
ワークショップの後、先生が「クリティカル・シンキング」について話をしてくださいました。大切なのは、お互いの意見を否定し合うことではなくて、より良い結果や本当の真実を見極めるために、建設的な考えや議論を進めていくことなのだ、という先生のお話が、生徒たちにも心に残ったようです。
生徒たちの感想をご紹介します。
産経新聞「偽ニュースは魅力的?ツイッターの誤情報、20倍速く拡散 MITが450万件の投稿分析」
色々な情報が氾濫する時代。そして事実でないことがあたかも事実のように伝えられていく時代。偽の情報が「権力のある人」によって発信されることもあります。
SNSの発達により、不特定方向への情報の発信者・伝達者・受信者、どれにもなり得る時代だからこそ、「メディアリテラシー」は非常に重要なテーマであると改めて感じました。(報告:小口)
▼追記:同様の内容で実施した教員研修のレポートはこちら
http://dearstaff.blogspot.jp/2010/02/in2.html
▼参考教材:グローバル・エクスプレス(DEAR)
http://www.dear.or.jp/ge/index.html
去る3月1日、DEAR評議員の近藤さんと私で川崎市立橘高校でメディアリテラシーに関するワークショップを実施してきました。参加してくれたのは、卒業式を間近に控えた高校3年生約40名です。
評議員の近藤さん |
まずはアイスブレイクとして「部屋の四隅」を実施しました。
1つ目のお題は「私の主な情報源は新聞/テレビ/SNS(Twitterなど)/その他」というお題です。
分かれてみると、想像以上にSNSを情報源としている生徒が多い結果に。また、その他ではyoutube等と答えている子もいました。
2つ目のお題は「メディアは真実のみ報道するべきだと思う/まあそう思う/あまりそう思わない/思わない」。これは、「まあそう思う」、「あまりそう思わない」という選択肢を選んでいた生徒が多かったと思います。
この問いを投げかける中で、生徒からは
- メディアが真実でないことを報道すると混乱してしまうのでは。
- 真実とは何か。真実=結果ではないのであれば、その結果にたどり着くまでの過程や今後の可能性も真実と言えるのではないか。
- ショッキングな事実を全て伝えるのが良いとは思わないから、すべて真実を伝えるのが必ずしも良いとはいえなのではないか。
- 真実だけではなく、著名人の推測や意見も知りたいからそういったことも報道したほうが良いのではないか。
続いて、一つ目のワーク「紙面比較」をしました。
2月10日(土)の朝刊6紙(朝日新聞・産経新聞・東京新聞・毎日新聞・日本経済新聞・読売新聞)の「日韓首脳会談」に関する記事を1グループ2紙ずつ配り、まずは「事実」と「意見」に記事の内容を分類しました。
最初は「事実」が多い、と思っていた生徒たち。しかしワークを進めていくうちに、「『強調した』や『値する』という文言が語尾についているのは事実ではなく編集者の意見なのでは?」と、意外にも紙面には「意見」が多いことに気付き始めます。
また、紙面に写真が掲載されている新聞とされていない新聞があったり、見出しに「解決」とある新聞もあれば「平行線」とある新聞もあったりと、新聞によって「事実の切り取られ方」が大きく違うことや編集者の意図が違うことに気付きました。
2色のマジックを使いながら「事実」と「意見」に文章を分類 |
その後二つ目のワーク「紙面作り」をしました。
2月10日(土)のニュース11個の中から、1面に持ってきたいトピックを選び、各グループで「新聞の一面づくり」を体験しました。まずはどんな人たちを対象にするのか、ということから始まり、見出しや写真の内容等も検討し、クラス全体で発表をしました。
自分たちで作った一面記事を発表 |
各グループ全く違う一面になっていたのも印象的でしたが、「シリア問題」・「パレスチナ問題」といった国際的なトピックを取り上げているグループが多かったのも印象的でした。
その後、実際の主要新聞が何を一面に取り上げていたのかの一覧を見せると、そういった国際的な問題を取り上げている新聞が少なかったり、取り上げていたとしても一面では取り上げられていなかったりすることを知り、驚いていた生徒も多かったようです。
一面に持ってくるトピックは、「ニュースバリュー」が高いと編集者に判断されたトピックです。緊急度が高い、身近、ユニーク、重要、などの観点から、一番「価値がある」と判断されたものが一面に並びます。
しかし、何をもって「身近」と判断されているのか、「重要」と判断されているかなどは、私達ひとりひとりがしっかりと考え、そして自分の身近にある「情報源」と自分との判断軸が違う場合は、他からも併せて情報源を取るようにするなど行動していくことも大切なことだと思います。
最後に、Twitterのデマ拡散に関する記事とファクトチェックに関する記事を用いながら、情報との向き合い方や選び方についての話をしました。
参考記事:毎日新聞 台湾地震募金デマ投稿炎上に関する記事
参考記事:朝日新聞 2017年の衆議院選挙における政治家の発言のファクトチェックに関する記事
SNSが発達し、情報の受け手としてだけではなく、発信者としてのリテラシーも問われる時代になっています。どちらの観点からも、事実と誠実に向き合おうとする姿勢や考え続けることをやめずに判断していく姿勢が大切になってくるのだと思います。
最後に挨拶をしてくれた生徒さん |
ワークショップの後、先生が「クリティカル・シンキング」について話をしてくださいました。大切なのは、お互いの意見を否定し合うことではなくて、より良い結果や本当の真実を見極めるために、建設的な考えや議論を進めていくことなのだ、という先生のお話が、生徒たちにも心に残ったようです。
生徒たちの感想をご紹介します。
- 新聞をあまりよく読むことはないが、「事実」のまま報道されていることは意外に少なく、「解釈」があるだけなのだと思った。
- 読み手の感情によって「事実」の見え方は変わると思った。メディアは中立性が大切だ、と言われるが、「中立」は難しいと思った。
- 紙面づくりは難しかった。自分が一番大切だと思ったトピックが主要新聞に全く取り上げられておらず、メディアバリューを意識して情報と向き合うことが大切だと感じた。
- スマホがあることで大量の情報が得られる分、正確な情報の見極めが大変だと思った。
産経新聞「偽ニュースは魅力的?ツイッターの誤情報、20倍速く拡散 MITが450万件の投稿分析」
色々な情報が氾濫する時代。そして事実でないことがあたかも事実のように伝えられていく時代。偽の情報が「権力のある人」によって発信されることもあります。
SNSの発達により、不特定方向への情報の発信者・伝達者・受信者、どれにもなり得る時代だからこそ、「メディアリテラシー」は非常に重要なテーマであると改めて感じました。(報告:小口)
▼追記:同様の内容で実施した教員研修のレポートはこちら
http://dearstaff.blogspot.jp/2010/02/in2.html
▼参考教材:グローバル・エクスプレス(DEAR)
http://www.dear.or.jp/ge/index.html
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