こんにちは、ロンドンに研修中の伊藤です。
研修では多くの開発教育センターにお邪魔させていただいていますが、今回は、アイルランド北部にある、グローバル教育センター(Centre for global education)に訪問した際の様子をお知らせします。
まずは、北アイルランドという地域についてです。北アイルランドは180万人ほどの人口で、イギリスの一地域とされ、人々が話すアクセントも、アイルランドやスコットランドなまりの人もいて、南北からの流入が混在していることがわかります。
首府ベルファストは観光地となっており、一見するとつい20~30年前まで紛争があったようには思えません。でも、居住区に行くと、カトリック系とプロテスタント系が今でもはっきり平和の壁(peaceline wall)によって隔てられています。
夜になると塀の一部にあるゲートは、今でも安全性を考慮して閉められるそうです。学校も、カトリック系、プロテスタント、総合、特別支援に分かれているそうです。北アイルランド政府の支援で、各校の交流プログラムなどはあるそうです。
市街地はニュートラルなエリアとしてそれぞれのコミュニティが交わることがあるそうですが、居住区でニュートラルなところは少ないそうで、コミュニティの住み分けがいまだに存在している状況です。
グローバル教育センターのスティーブンさんとオーラさんはとても親切で快活な方で、北アイルランドに特有の団体の活動などを説明していただきました。
北アイルランドには独自の学習指導要領があり、北アイルランドの問題の歴史を経て、平和、衝突、人権などに関する内容が含まれており、開発教育を学校で取り入れやすい学習指導要領であるとのことでした。
また、イギリス全土で実施されていたグローバルラーニングプログラム(GLP)の実施の際には、学校の教員が平日に研修を受けられるよう、代替要員のための資金を出したり、学校のカリキュラムとGLPの位置づけが分かるように図示したり、担当教員が学校全体でやっていることを理解してもらいやすいように、ポスターを作成して学校に貼れるようにしたことなどの工夫をし、北アイルランドの50%の学校でGLPを実施することが達成できたそうです。プログラムのインパクトなどもまとめられており、以下のサイトからアクセスできます。
https://www.globallearningni.com/
また、他のユニークな点としては、北アイルランドでは、皮肉にも植民地の歴史から、アイルランドとイギリスの両方の政府から助成金を受け取ることができるそうで、それを上手く使って活動をされています。例えば、グローバル教育センターが発刊している機関誌『Policy and Practice: A Development Education Review』はアイルランドの助成金でまかなわれています。
北アイルランドにおける懸念は、イギリスがEUを脱退することで、アイルランド内の国境が明確になり(北アイルランドはイギリスとさている)、コミュニティの対立が再燃することです。
今のベルファストはずいぶん平和になっていますが、平和の壁にも象徴されるように分断は今もそこにあり、根本的な解決がされていないことに問題の根深さを感じました。二度と惨劇を繰り返さないためにも、教育が果たす役割について改めて考えさせられた北アイルランド訪問でした。(報告:伊藤)
研修では多くの開発教育センターにお邪魔させていただいていますが、今回は、アイルランド北部にある、グローバル教育センター(Centre for global education)に訪問した際の様子をお知らせします。
まずは、北アイルランドという地域についてです。北アイルランドは180万人ほどの人口で、イギリスの一地域とされ、人々が話すアクセントも、アイルランドやスコットランドなまりの人もいて、南北からの流入が混在していることがわかります。
首府ベルファストは観光地となっており、一見するとつい20~30年前まで紛争があったようには思えません。でも、居住区に行くと、カトリック系とプロテスタント系が今でもはっきり平和の壁(peaceline wall)によって隔てられています。
コミュニティを隔てる平和の壁 |
夜になると塀の一部にあるゲートは、今でも安全性を考慮して閉められるそうです。学校も、カトリック系、プロテスタント、総合、特別支援に分かれているそうです。北アイルランド政府の支援で、各校の交流プログラムなどはあるそうです。
市街地はニュートラルなエリアとしてそれぞれのコミュニティが交わることがあるそうですが、居住区でニュートラルなところは少ないそうで、コミュニティの住み分けがいまだに存在している状況です。
夜になると閉められるゲート |
グローバル教育センターのスティーブンさんとオーラさんはとても親切で快活な方で、北アイルランドに特有の団体の活動などを説明していただきました。
オーラさん(左)とスティーブンさん(右) |
北アイルランドには独自の学習指導要領があり、北アイルランドの問題の歴史を経て、平和、衝突、人権などに関する内容が含まれており、開発教育を学校で取り入れやすい学習指導要領であるとのことでした。
また、イギリス全土で実施されていたグローバルラーニングプログラム(GLP)の実施の際には、学校の教員が平日に研修を受けられるよう、代替要員のための資金を出したり、学校のカリキュラムとGLPの位置づけが分かるように図示したり、担当教員が学校全体でやっていることを理解してもらいやすいように、ポスターを作成して学校に貼れるようにしたことなどの工夫をし、北アイルランドの50%の学校でGLPを実施することが達成できたそうです。プログラムのインパクトなどもまとめられており、以下のサイトからアクセスできます。
https://www.globallearningni.com/
また、他のユニークな点としては、北アイルランドでは、皮肉にも植民地の歴史から、アイルランドとイギリスの両方の政府から助成金を受け取ることができるそうで、それを上手く使って活動をされています。例えば、グローバル教育センターが発刊している機関誌『Policy and Practice: A Development Education Review』はアイルランドの助成金でまかなわれています。
壁のすぐ下にある家には鉄格子がかけられていて爆弾が飛んでくるのを防いでいます |
北アイルランドにおける懸念は、イギリスがEUを脱退することで、アイルランド内の国境が明確になり(北アイルランドはイギリスとさている)、コミュニティの対立が再燃することです。
今のベルファストはずいぶん平和になっていますが、平和の壁にも象徴されるように分断は今もそこにあり、根本的な解決がされていないことに問題の根深さを感じました。二度と惨劇を繰り返さないためにも、教育が果たす役割について改めて考えさせられた北アイルランド訪問でした。(報告:伊藤)
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