カカオの実からチョコレートをつくってみた! フリースペース「えん」2018年度第5回

みなさん、こんにちは。ボランティアの久保井です。

2019年3月4日(月)に川崎市のフリースペース「えん」で行われたチョコレート作りのワークショップの様子を紹介します。

今回のワークショップを進めてくださったNPO法人APLA(あぷら)の野川未央さんは、日本各地で「ホンモノの手作りチョコレート」ワークショップをしていらっしゃいます。

手前の方が今回の講師の野川未央さん

「えん」ではワークショップへの参加は自由なのですが、今回のワークショップはチョコレートづくりがテーマのせいか大盛況で、たくさんの子どもたちがワークショップの始まるのを待っていました。


チョコレートづくりに興味津々の子どもたち!

チョコレートを作る前に、チョコレートがどんな風に作られているのかを聞きました。チョコレートの材料となるカカオの実の実物大の模型を手にして、子どもたちはその大きさと重さに驚いていました。チョコレートはこのカカオの実の種から作られるのだそうです。

カカオの実の中にある種を乾燥させて砕いたものは「カカオニブ」と呼ばれ、カカオニブをすり潰してペースト状にしたものが「カカオマス」になり、それを搾ると「カカオバター」に、その搾りかすは「ココアパウダー」というように、カカオはかたち変えていきます。カカオニブはみんなが知っているチョコの香りがしますが、食べてみると苦味が口に広がりました。

手前のお椀に入っているのがカカオ豆、奥のお椀に入っているのがカカオニブ。

チョコレートの材料になるカカオについて知ったところで、野川さんが用意してくれたチョコづくりキットを使ってみんなで実際にビターとミルクの二種類のチョコレートを作っていきます。

まずは固形になっているカカオバターとカカオマスを包丁で細かく刻み、ボールに入れて湯煎します。お湯が入らないようにみんなで協力しあって、溶かしながら滑らかになるようによく混ぜていきます。

よく混ざり合ったら、ビターチョコになるものにはキビ砂糖を、ミルクチョコになるものには粉末ミルクと粉砂糖 を加えました。野川さんはみんなの様子を見ながら溶かしたカカオバターに粉砂糖と粉乳を混ぜ合わせてホワイトチョコを作っています。

交代しながら、みんなで協力してカカオマスを刻みました。

これらをテンパリング(温度調整)していきます。

チョコレートに入れた温度計をみながら50度まで温めて、27度に冷ましてから30度にするのですが、これがなかなか難しくて、何度もお湯や水で温度調整をして、ちょうど良い温度になったところで型に流し込みました。型に入りきらなかった分はパッドに入れてナッツやドライフルーツを散りばめ、冷蔵庫に入れて固めます。

テンパリングの様子。みんな真剣な表情で温度を測っていました。

チョコレートが固まるのを待つ間に自分たちでカカオマスを作ってみました

カカオの種の皮を1つひとつ剥いてすり鉢に入れ、砕いてカカオニブにします。これが本当にペースト状になるのかと半信半疑の子どもたちでしたが、湯煎しながら10分以上かけてすり潰していくと本当にペースト状のカカオマスになりました。

今回はすり鉢とすりこ木を使って手作業ですり潰しましたが、通常は専用の機械で24時間以上すり潰して滑らかにするのだそうです。

出来たばかりのカカオマスに砂糖を加えて牛乳で滑らかにしたものをクラッカーにつけて味見すると、甘くて美味しいチョコの味が口に広がります。

カカオニブをすりつぶす様子。なかなかの力作業でした。

作業がひと段落したところで、カカオの主な原産地の西アフリカ(コートジボアールやガーナ)で起きている様々な問題の中のひとつ、児童労働について話を聞きました

多くのカカオ農場では子どもたちが学校に行きたくても行けなかったり、勉強をする機会もないまま、時には親から引き離されて暮らしながら働かされているのだそうです。

簡単に食べることのできる甘くて美味しいチョコレートの裏側では、今こうしている間にもカカオの収穫をしたり重いものを運んだり、ナイフで一日に何百個もの実を割るなどの労働をしている子どもたち沢山がいるのです。

自分たちと同じくらいの年齢の子どもたちがカカオ農場で働いているんだ…

日本ではバレンタインの季節が近づいてくるとチョコレートで愛を届けようというようなメッセージが街にあふれます。でも、そのチョコレートで誰かが悲しい思いをしているかもしれないことを考えると、作る人も食べる人も幸せになれるような、チョコレート自体が愛に溢れたものにしていきたいのだと野川さんは教えてくれました。

この日のワークショップでは、豊かな自然あふれるインドネシア領パプア(パプアニューギニアではありません!)で生産されたカカオを使いました。

もちろん、このカカオの裏で悲しい思いをしている人は誰もいません。

パプアに住む色鮮やかな生き物や人々の生活の様子を写真で見たり、カカオの実が幹に直接生えていると聞いて驚いたり、カカオが収穫されてチョコレートになるまでを写真の並べ変えクイズで見たりしました。

今日使ったカカオが日本にやってくるまでにどんなところで、どんな人々が関わっているのかを実際に見てみると、今日作ったチョコレートがますます身近に感じられます。

チョコレートが作られるまでの工程を写真で学びました。

多くのカカオ農園では、カカオがチョコレートになることを知らなかったり、チョコレートを食べたこともない人々がカカオの収穫をしているという不思議なことが起きていると言います。

そんな中、野川さんたちAPLAでは、現地の人に幸せになってほしいとの思いからパプアでもチョコレートのワークショップをしたり、生産者や環境に配慮して作られた商品の輸入や販売など、カカオ豆の生産者と消費者をつなぐ取り組みをしているのだそうです。

最後に、パプアのカカオ生産者でカカオキタ代表のデッキ―さんからのメッセージが伝えられました。そこには、パプア人が主役のビジネスができるようになったことでパプアの人々の自立が進んだり、自分たちのカカオを使ったカフェを作ることができたと書かれていました。

野川さんは言います。チョコレートの裏側で起きていることを知ってほしい、知った上でそれぞれにできることを考えてほしい

私たちにできることには、どんなことがあるでしょうか。

ワークショップで作ったチョコレートが冷蔵庫から出てきました。
「美味しそう!」「食べていいのー?」子どもたちから声があがり、みんなで分け合いながら美味しくいただきました。

お待ちかねのチョコレート。美味しくいただきました!

やっぱり、イチから作ったチョコレートの味は格別!

これからはチョコレートを食べるときに、カカオ生産者のこと、関わっている人たちのことも思い浮かべてくれると嬉しいな。

レポート by 久保井奈美(DEARボランティア)

---おまけ---

今年度最後の「えん」でのDEARワークショップでした。
今年度は、1回目「世界一周ゲーム」、2回目「音のない世界~手話を一緒に体験しよう!」、3回目「どうする?プラスチックごみ問題」、4回目「Tシャツができるまで」、5回目「カカオからチョコレートをつくろう!」を実施しました。
毎回、子どもたちの発言や参加によって、考えが深まったり、ハッとすることが多く、とても楽しかったです。
また来年度も、みんなと一緒に世界のこと、身近なことを学んでいきます。楽しみにしてくださいね。
by DEAR

コメント