UNESCO2019フォーラム in ハノイ 報告1

こんにちは。DEAR事務局長の中村です。

7月2日、3日、ベトナムハノイで開催されたUNESCO 2019 Forum on Education for Sustainable Development and Global Citizenship (ESDとGCEDのためのユネスコ2019フォーラム)の報告をします。

7月9日からニューヨークで開催される国連ハイレベル・ポリティカル・フォーラム(HLPF)では、初めて、SDG4(教育)が中間レビューの対象となっています。その機会も意識して、SDG4.7の状況と課題を明らかにして、これからの進むべき方向を明らかにしていくことをねらいとしていました。

野菜を売る人

テーマは「平和で持続可能な社会のための学びと教育:幼児教育から初等、中等教育」とし、UNESCOの主催で、ベトナムの教育省、ユネスコ、ベトナムユネスコ委員会、ユネスコ日本基金を通した日本の文科省とAPCEIUの後援の開催でした。

100か国以上から実践者、政策立案者、専門家など約350人が集う大規模な会議。会場はホテルでしたが、名札は紙で作られ、ペットボトルも使われていない、プラスティックを使わない環境に配慮されていました。

参加者に配られた資料や名札

開会式での、ベトナムの教育長からは「わたしたちは、持続可能な開発を教育に盛り込むことだけでなく、教育をすべてのSDGの達成のツールにすることを目標にしている、しかし、日々の取り組みで忙殺されてしまっている」という言葉がありました。

ユネスコは、ESDとグローバルシティズンシップ教育(GCED)の中で、以下の3つを重視しています。
  1. 知識の習得(cognitive)
  2. 社会性と情緒的学習(social emotional learning)
  3. 態度の学習(behavioural learning)
1日目は、それらの要素が、各国の政策文書(学習指導要領やGAP実施計画など)にどのように反映されているかを、5つの地域からそれぞれ2か国ずつ、合計10か国で調査し、分析した資料(“ESD and GCED Up Close”)をもとに進められました。


3つの要素を、幼児教育、初等教育、中等教育前期、中等教育後期の4段階の政策文書で分析した結果、全体では、学年が上がるごとに知識の習得が重視され、社会性と情緒的学習は軽視されていることが明らかになりました。

しかし、国ごとにその傾向は異なり、ヨーロッパは知識の習得が重視され、アフリカやラテンアメリカは社会性と情緒的学習が重視され、日本は、態度の学習が重視されているという結果が出ていました。

日本の場合は、学校生活の中で、自然災害や問題をどのように扱うのかを重視しているので、政策と実践がつながっているものが多いのでは、という説明が広島大学教育開発国際協力研究センター所長の吉田和浩先生から、ありました。

しかし、あくまでも文書の調査なので、日本も含めて各国で実際にどのように行われているのか、をどう調べていくのか、が重要だということでした。


開会式、会議の様子

その後の議論でも、そもそも、3つの要素を分ける意味があるのか社会性と情緒的学習をどのように測るのかについて話し合いが行われました。いくつかの実践も踏まえ、あえて要素を出して考えることも議論を始めるためには必要なのかと、思いました。

日本でも勉強していたことのあるベトナム人の先生と話したときに「ベトナムの田舎に行けば、持続可能な暮らしは行われている。地域によって学び方は当然異なり、教科書やカリキュラムはもっと柔軟な方が良い」という言葉に、本当にそうだと思いました。明日も、色々な国の人と情報共有したいです。

各テーブルで熱心な議論が行われました

おまけ:ハノイの町は、大量のバイクと人が行きかい、活気がありました。会議の前後でハノイの町も堪能しました。




(報告:中村)

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