こんにちは、ボランティアの久保井です。
11月29日(金)に神奈川県川崎市にある「フリースペースえん」で今年3回目のワークショップを行いました。「えん」でのワークショップでは、子どもたちは参加する・しないを自分で自由に選びます。前のほうで参加する子もいれば向こうではゲームをしていたり、こちらではおしゃべりや勉強をしていたりと、参加する・しないの方法もそれぞれです。
今回は講師のソンドンさんが、ご自身の育った環境や体験から「違うことがおもしろい」というテーマでお話してくださいました。
まずは「えん」にいるみんなの同じところや違うところを考えます。「同じところ」で真っ先に「自由!」と出たのが「えん」ならではだと感じました。
それからソンドンさんが世界各地で撮ってきた写真の国当てクイズをしていきました。インド、トルコ、スウェーデンなど、次々と国名を当てていく子どもたち。国旗だけで国名を当てる子もいてソンドンさんもまわりの大人たちもびっくりです。
街中で火花が飛び散る写真では、「香港のデモ?」なんて言う声も。正解は中国・上海のお正月の風景でした。
最後に見た写真は、コンクリートの建物と1本の石のブロックで仕切られた地面、その向こうとこちらに何人かの兵士が立っています。
11月29日(金)に神奈川県川崎市にある「フリースペースえん」で今年3回目のワークショップを行いました。「えん」でのワークショップでは、子どもたちは参加する・しないを自分で自由に選びます。前のほうで参加する子もいれば向こうではゲームをしていたり、こちらではおしゃべりや勉強をしていたりと、参加する・しないの方法もそれぞれです。
今回は講師のソンドンさんが、ご自身の育った環境や体験から「違うことがおもしろい」というテーマでお話してくださいました。
まずは「えん」にいるみんなの同じところや違うところを考えます。「同じところ」で真っ先に「自由!」と出たのが「えん」ならではだと感じました。
ソンドンさんが世界各地で獲ってきた写真に釘付け! |
それからソンドンさんが世界各地で撮ってきた写真の国当てクイズをしていきました。インド、トルコ、スウェーデンなど、次々と国名を当てていく子どもたち。国旗だけで国名を当てる子もいてソンドンさんもまわりの大人たちもびっくりです。
街中で火花が飛び散る写真では、「香港のデモ?」なんて言う声も。正解は中国・上海のお正月の風景でした。
最後に見た写真は、コンクリートの建物と1本の石のブロックで仕切られた地面、その向こうとこちらに何人かの兵士が立っています。
コンクリートの建物と1本の石のブロックで仕切られた場所。どこかな? |
子どもたちからは「西ドイツ?」「北朝鮮?」という声があがります。正解は韓国(大韓民国)と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の国境です。
「さっき『違うことがおもしろい』って言ったけど、僕の名前は『ソンドン』です。みんなの名前と違わない?」
「僕は在日コリアンで、100%朝鮮人です。」
そこでクイズを交えながら、ソンドンさんのルーツでもある朝鮮半島の歴史をたどっていきました。
朝鮮が日本に占領されていた頃、朝鮮に住んでいた人が日本の名前に変えさせられたり戦地に行かされたり、炭鉱やトンネルで働くために日本に連れてこられたり、ソンドンさんのおじいちゃんやおばあちゃんの世代はそんな体験をしたのだそうです。
「みんなが急に名前や住む場所や仕事を変えろって言われたらどう思う?」という問いに「無理!」
「何なんだよあいつら!って思う」
「めんどくさい!」
「やだー」
という声が出ました。
「そうだよね。でも、僕が今日本に住んでいるのも、そんな体験をしたおじいちゃんやおばあちゃんが朝鮮に帰らずに日本住み続けたからなんだよ」とソンドンさん。
「在日コリアンが持っている国籍は朝鮮籍・韓国籍・日本国籍の3つのうちどれでしょう?」の問いでは、
「日本国籍のパスポートだと普通に色んな国に行けるからいいんじゃない?」
「でも昔日本からひどい目に合わされてきた人もいるよ」
「日本に住んでるから日本じゃない?」
などと沢山の声が挙がりました。
身を乗り出してソンドンさんのお話を聞く子どもたち |
ちなみに、ソンドンさんの家族は朝鮮籍のままですが、ソンドンさんは、22歳のときに海外に行きやすい韓国籍に変えました。
以前は朝鮮籍というだけで差別を受けることが多かったので日本国籍に変えた人が大勢いましたが、今の若い世代では暮らしやすいという理由から日本国籍を持っている人が多いそうです。
次にソンドンさんも通っていた朝鮮学校について聞きました。まずは日本の学校と同じところと違うところを考えていきます。
「昼休みがある!」「給食は?」「理科とか社会は同じかも」などとたくさんの声があがります。
朝鮮学校でも日本の指導要領に沿って授業が進められているという「同じ」こと。「違い」では国語として朝鮮語の勉強をする他に、日本語と英語の3か国語を勉強すると聞いて驚きの声があがりました。
朝鮮学校に通う子どもの多くが、学校で学ぶ北朝鮮と家に帰ってテレビなどで見る北朝鮮とのギャップに混乱したり、中学・高校生になると、ずっと日本で生まれ育ったのに日本人じゃないということに悩みながら、自分なりの答えを出していくといいます。
ソンドンさん自身も何でこんなことになっているんだろうと思ったり、皆と違うことや日本人じゃないのが悪いことなんじゃないかと思うこともありましたが、学校を卒業して色んな国に行ったりしているうちに違うことが面白いと思えるようになったのだそうです。
そんなソンドンさんの「人生グラフ」を見てみると…
小学6年生の時に初めて北朝鮮に行ったソンドンさん。日本での暮らしとのあまりの違いに驚き、考え方ががらっと変わり、違うことが何だか楽しくなりました。
16歳になると大学受験のため予備校に通い始めましたが、残念ながら受験に失敗しいてしまいます。
すかさず誰かからの「何やってんの~」の声。
これにはみんな大笑いです。
28~29歳の頃にはバングラデシュのメトロを作る仕事をしていたソンドンさんですが、2016年に現地で起きたテロで同じプロジェクトに関わっていた日本人が亡くなったことや、自分のルーツの北朝鮮と韓国が戦争中だということに、何で人間どうしで殺しあうのかと悩み始めます。
また、仕事ではまわりや前例と違うことを許されないことなどに違和感を感じ、のちに会社を辞めました。
最後にソンドンさんが高校3年生のときに行った北朝鮮で、軍隊にいる女の子と一緒に撮った写真を見ながらこんなことを話してくれました。
「北朝鮮はニュースで見ると怖い国だなぁというイメージがあるかもしれないけれど、みんなと同じように笑うし、楽しいことが好きだし、ずっと友達と仲良くしていたしいし、遊んでいたいし、北朝鮮にもそういう子がいます。一番わかってほしいのはみんなと同じようなところもあるっていうこと」
ソンドンさんは違うことを面白いと思えるようになるには教育や学校が変わらないといけないと考え、現在は考えることが楽しくなるアプリ「Think Think」を作る会社にいるのだそうです。
最後にソンドンさんから一言。
「ぜひ、違うことを面白がってください!」
(報告:DEARボランティア・久保井奈美)
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