沖縄で「気候変動」ワークショップー学習プログラムづくりにも挑戦!

こんにちは。事務局長の中村です。
1月11日、12日にJICA沖縄で開催された「2019年度国際理解・開発教育指導者養成講座(中上級編)アクティブラーニングでもっと身近にSDGs」(事業運営:沖縄NGOセンター(ONC))の講師を務めました。

テーマは気候変動。現在、聖心女子大学グローバル共生研究所と共同で作成している新教材も一部利用し、DEARで作成中の教材を実践してフィードバックをもらうことも目的でした。2日目は、参加者が気候変動をテーマに学習プログラムを作成しました。

●1日目:自己紹介とルールづくり

1日目は、自己紹介と、2日間みんなが安心してたくさんの意見を出し合えるためのルールを考えました。「たくさん間違えよう」「違う役割や立場からも考えてみよう」などの意見が出ました。

●気候変動と聞いて思い浮かぶこと

その後、「気候変動と聞いて思い浮かぶこと」をたくさん、付箋紙に書いて共有してもらいました。「台風の数は減ったが、巨大な台風が来るようになった」「オーストラリアの森林火災」「海面上昇」など、影響や問題がたくさん出ました。さらに、「グレタさんのスピーチ」や「本当のところはどうなのか」などの言葉もありました。

●気候変動クイズ

次に、気候変動クイズを行いました。グループで一緒に考えてもらいました。
  • 産業革命以降、地球の平均気温は何度上がったか?
  • 気候変動の原因は何か?
  • 世界のもっとも豊かな10%の人が、地球上の何パーセントのCO2を排出しているか?
等の質問を考え、解説をしていきました。

●エピソードを読んでスキット(寸劇)!

その後、より具体的に、影響を受けている人のことを知ってもらうために、エピソードを読み、ワークシートを埋めてもらいました。事前にONCの玉城さんとも相談して、沖縄の漁師さんのエピソードも加えました。

グループごとにエピソードを読み、かれらが直面している問題を把握し、自分だったらどうするか、どんな言葉をかけるか、を考えました。さらに、よりその当事者に近づくために、スキット(寸劇)を考えてもらうことにしました。

ONCの永田さん、佐々木さんたちが事前に布や帽子などのグッズを用意してくれたので、それを使って、参加者はそれぞれ3分程度でスキットを考え、披露してくれました。例えば、「インドネシアのエミールさん」のチームは、海水の浸水範囲が広がり、床高を上げる様子を想像しながら再現しました。

スキットのために準備された様々な道具

白化してぐったりとするサンゴ。「沖縄の漁師さん」のチームは、白化するサンゴを主役に見立て演じていました。


キリバスの長老や、住民の声を想像して演じました。

エサを探すシロクマの親子。
食べ物がなくてさまようシロクマの親子の演技は見ている人の涙を誘いました。

実際にスキットをしてみてどうだったかを聞くと、登場人物や動物の気持ちが入ってきて、つらさがよく分かった。自分自身も子どもがいるので、移住と言ってもそんなに簡単でないことが良くわかった、などのコメントがありました。

●1日目のふりかえり

昼食をはさんで、気候変動の状況を知るための動画をいくつか見ました。そして、最初に出した、「気候変動と聞いて思いつくもの」を出した模造紙に、プログラムを通してあらたに気づいたこと、分かったこと」を足していきました。

「気候変動と聞いて思いつくもの」がぐっと具体的になりました

そうすると、最初に漠然と「災害」や「影響」として出していたものが、具体的になり、動物や人間の気持ち、抱えている問題の深刻さ、緊急性などが追加されました。また、影響だけでなく、原因や、対策についても新しく追加されました。

その模造紙を他のグループとも共有し、コメントを足していきました。
最後は、明日、プログラム作りを行うので、考えたいテーマを掲げ、グループになって、準備するものなどを分担しました。あっという間の一日でしたが、明日のセッションも楽しみです。

●2日目は学習プログラムづくり!

1日目の振り返りをし、プログラム作成のヒントを解説しました。特に、問題の背景や構造を理解するためのステップは重要であることを話しました。参加者は午前中一杯考え、様々なプログラムの一部を発表しました。

模造紙を見て1日目のふりかえり

●プログラム1:動物の気持ち

1つ目は、動物の気持ちをテーマにしたプログラム案でした。地球村の会議に、シロクマやオラウータン、像と人間も出席し、各動物から人間の行動を何とかしてほしい、と訴えられ、どうしたらよいのか、考えるアクティビティでした。動物の立場から今の問題や人間の行動を見ると、本当に問題が多いと改めて感じました。

●プログラム2:サンゴ

2つ目は、サンゴをテーマにしたプログラム案でした。沖縄の子どもたちもサンゴのことを実は、あまり知らないということから、最初にサンゴ・クイズをしました。サンゴは動物であること、サンゴの分布などをクイズにしたり、サンゴの気持ちになったりしました。

プログラムの予定には、サンゴの白化現象の動画を見てその原因を知り、できることを考えることもありました。さらに、高校生がサンゴについて学んだ後、サンゴの苗を育てている団体で、県外からの修学旅行生へ説明をするという取り組みが行われていることも共有されました。

●プログラム3:学校のおかしな現実

3つ目は、教員研修のプログラム案でした。学校のおかしな現実をスキットで再現しました(暑い教室の中で下敷きで仰いではいけない、リボンや第一ボタンを留めないといけない、など)。

思わず、「あるある」と笑ってしまう声が。客観的にみると「おかしい」と思えることを、実際にやっているよね、ということから、学校のおかしな現実を見直そう、ということで、着衣、教室の場所、校則、クラスの人数などのカードが配られ、グループで各項目を見直しました。

学校のおかしな現実を再現するグループ

●プログラム4:普段の行動とCO2

4つ目は、普段の行動を考えることがテーマでした。日常生活でCO2を出していると思われる行動をたくさんピンクの付箋紙に書いて人型のポスターに貼りました。

例えば、「コンビニでレジ袋をもらう」「ガスを使って料理」「食べ残しを捨てる」など。すべて貼ったら、1枚の付箋紙が5㎏として体重を計算します。大抵20~30の付箋は出るので、100㎏から150㎏、これを「ダイエット」するために、その行動を一切やめられる場合は青色の付箋紙、代替案で削減できるものは黄色の付箋紙を上から貼っていきます。

例えば、ペットボトルの水を飲む→水筒を持って行く、だと0になるので青色で0㎏。紙パックのお茶にするのは、半減するので黄色の付箋紙でマイナス3㎏。最終的に何キロ減らせたかを確認します。作業も面白いし、ダイエットという発想も面白かったです。

●プログラム5:コンビニとプラスチックごみ

最後は、学校の近くにコンビニがあり、一日3回コンビニでペットボトル飲料やお菓子、お弁当を買い、たくさんのプラスチックゴミを出している高校生たちになんとか、気づいてほしい、という先生の思いで作られたプログラム

最初に財布からレシートを出してもらい、この3日間で買ったもの、出たごみをリストアップしてもらいます。その中で買わなくてもよかったもの、食べ残したものなどもリストにします。さらに、買った基準なども考えます。自分の行動を可視化することはとても重要だと思いました。さらに、2050年からゲストを呼び、食料や生活がどう変わったかを話し、「2020年が分岐点だった」と話すスキットも「ドキッ」とさせられました

それぞれ、参加者の抱えている問題や関心から始められていて、現実的に実践できそうなものばかり。

多くの参加者からは、沖縄の問題を取り上げたい、身近な課題から始めたい、という意見が多く出ました。今回出された学習プログラム案は、各地域でも同じようにアレンジできるのでは、と思いました。

●デイゴの葉っぱをもって感想共有

最後に、建物の周辺に落ちていた、デイゴなど沖縄由来の葉っぱを床に広げました。それを参加者に一枚ずつ手に持ってもらい、においをかいだり、触ったりしてもらいました。

デイゴの葉っぱを持って感想を共有しました

気候変動は私たちの環境に大きく影響を与えている。
地球や地域を守るためにも気候変動の影響を真剣に考えていく学習はとても重要。
この葉っぱはこれから土に返って、50年も100年も地域に根付いていく。私たちが行っている教育活動も、子どもたちの栄養となって10年後、20年後、さらには50年後の社会を創っていくもの、だから、とても大切であることを話し、一言ずつ感想を言ってもらいました。

感想の一部をご紹介します。
  • 気候変動が待ったなしの状況であることが分かった。
  • 子どもたちと一緒に考えたい。
  • 気候変動が、自分の生活について変化していることなど自分事としてとらえやすくなった気がしました。
  • 言葉を発することができない動物の気持ちになりきるスキットが新鮮でした。
  • グループで一緒に学習プログラムを作る過程がおもしろかった。
2日間、参加してくださったみなさんありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。
(報告:中村)

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