「COVID-19の影響下における成人教育と学習の重要性について」ウェビナー参加レポート

こんにちは。事務局長の中村です。
4月29日(祝)に、アジア南太平洋基礎・成人教育協会(ASPBAE)PRIA (Participatory Research in Asia) が主催する標記ウェビナー(ウェブセミナー)に参加しました。

ASPBAE(アスベ)はアジアや南太平洋の成人教育をすすめるNGOのネットワーク団体で、DEARも会員になっています。

2019年2月にDEARが開催した「SDGsフォーラム」ゲストのロビーさんも参加していました(写真は2019年2月のものです)

ウェビナー開催の背景には、COVID-19の影響下で行われている国境封鎖などの政策や感染予防(人との距離を取る、手を洗う、家にいる)などの新しい方法は、南アジアや東南アジアの特に貧しく人口が密集しているコミュニティでは、非常に困難であること、またデジタル技術による学びの機会は、コミュニティの中での格差を広げ、貧困層や非識字者を排除している。特に女の子や女性の立場を弱くしているという報告があります。

今回のウェビナーの主なねらいは以下の3つでした。
  1. COVID-19の影響下で、農村などの地方の家族やコミュニティにとっての新しい学びのニーズは何なのか?
  2. デジタルやそのほかの学びのアプローチは、もっとも力を奪われている人々や排除されたコミュニティにおいてどのように学びを支援しているのか
  3. 実践者や地域の組織において、COVID-19に対してどのような中長期的な展望があるのか。
ASPBAEの事務局長のマリアさんやインドネシアの市民団体で代表を務めるナニさん、現在ICAE(国際成人教育協議会)の会長であるロビーさんや、南アジアや東南アジアの市民組織メンバーから、現状の報告が次々上がりました。

PRIAのウェブでは各地の取り組みが紹介されています

印象に残ったのは以下の点です。

1.地域(現場)で何が起きているかを知ること

南アジア、東南アジアの地方コミュニティでは、多くの場合は、感染症に関する正しい情報が届いておらず、安全も守られていない。デジタル機器などはないことを考えると、現場にいるコミュニティワーカーが直接訪問するしかない
また、地域では地域の中で脈々と生きている先住民族や伝統的な知恵や情報が生きている。地域の中での学びを進めることは重要。そのなかで、よい地域実践や情報を集めることが重要。

2.デジタルの学び

今、世界に広がっているデジタルのツール(オンライン・ホワイトボード)などは、参加者と共有し、参加者にもっとゆだねてもよい。教師が黒板にチョークで書くのではなく、チョーク自体を参加者に渡すようなイメージで。学びを共有し対話やコミュニケーションを進めていくことが重要。

3.教育者の役割

今、生き延びるという意味で「持続可能性」という言葉が使われているが、もっと市民主体の「持続可能性」を主張する必要がある。また、ナショナリズムが高揚し、国境を封鎖する動きがあるが、高齢者や移民など社会的弱者に対しては手を差し伸べないといけない。また、科学の重要性や、本当に必要な職業は何なのか、などについて教育者がもっと課題提起をしていくべき

2時間近く、複数のスピーカーが熱く語っていました。最後に共有したのは、ポストコロナの社会は、元に戻るのではなく「新しい日常生活のシステム構築」が必要だということ。

様々な現場で日々、活動をしている中で出てくる切実な言葉や、社会の動きを鋭く見る視点から、勇気をもらい、学ぶことが多かったです。引き続き、世界の様々な状況で学びをどのようにすすめられるのか、考えていきたいと思います。
(報告:中村)

コメント