小学校PTAで!教材「COVID-19とわたしたち」実践レポート

こんにちは。DEARボランティアの小口(こぐち)です。

現在、コロンビア大学大学院で国際教育開発学を専攻しています。7月からDEARでボランティアを始め、夏季休暇の間、オンラインワークショップでのお手伝いなどをしています。

今回は、「DEARの教材を使って保護者向けの茶話会を行うので、ワークショップとファシリテーションの講義をして欲しい」という千葉大学教育学部附属小学校のPTA役員の皆さまからのご依頼により、「新型コロナウイルス感染症とわたしたち」の教材を用いたワークショップを行いました。

PTA役員の皆さまを中心とした、保護者の方や教員の方々など十数名が参加しました

まずは、DEARのワークショップでよく行う「アイスブレーク」と「参加のルールの紹介」を行いました。参加者全員が安心して会話に参加できる雰囲気づくりを大事にするDEARでは、これらのアクティビティにより、一般的な「講義」とは違うフラットな関係性を創り上げます。

最初のアクティビティ「わたしの気持ち」では、新型コロナウイルスの拡大感染についての参加者自身の感情を確認し、それを小グループで共有しました。

このことにより、それぞれの立場や視点から生まれる他者との気持ちや状況の違いに気づくことができました。例えば、保護者の方々は、家族が家にいる時間が増えたことから食事や子どもの勉強の面倒をみることなどの仕事が増え、「疲れた」と感じることが多くなったのに対し、アメリカにいる私は国内で広がる「反マスク運動」に対して「苛立ち」を感じていました。

使用教材:『新型コロナウイルス感染症とわたしたち』(DEAR、2020)
使用教材:『新型コロナウイルス感染症とわたしたち』(DEAR、2020)

次のアクティビティの「様々な意見を読んで考える」では、新型コロナウイルスについての環境、開発、人権、ジェンダー等の様々な視点からの意見を読み、印象に残ったものを共有しました。最初のアクティビティと同様、こちらからも興味深い意見や感じ方が見受けられました。

例えば、大人の目を気にしなくてはならない学校関係者の方にとって、何事にも慎重にならなくてはいけない現状は息苦しさを生んでいたのに対し、女性の保護者の方は家庭内暴力の増加を不安視されていました。ちなみに、グレタ・トゥンベリさんに大きく影響されている世代の私にとっては、新型コロナウイルスから見える自然保護の重要性を特に懸念しています。

今回のワークショップを通して多くの参加者に共通して言える大きな気づきは「新型コロナウイルスを生き抜く上で、みんな感じることや考えることはそれぞれ違う」ということです。また、このように他人の考え方や問題について考えてみることは、開発教育のミッションである向こう岸の問題を「タニンゴト」にせず「ジブンゴト」にする、ということに大きく関わってきます。

よって、職業、年齢、性別、立場等で問題視することや負担に思うことは違うということに気づいたことにより、視野が広がり、さらに多くの人の気持ちに寄り添うことができた今回のワークショップ。仲間意識を再確認し、地球市民性の構築に繋がる重要なワークショップであると思いました。

参加者の皆さんの感想(一部)

  • 言葉にすることで改めて自分の考えに気づくことができた。
  • 他の方の貴重な意見を聞くことができ、また自分の気持ちを相手に伝える大切さやそうすることで自分の感情の整理ができ、とても有意義な時間となった。
  • 人と話すことにより、今後の過ごし方のヒントが得られ、一番大きな感情である不安を少し取り除くことができた。
  • 子を持つ親として、人との繋がりは色々な方法や手段があることと、今まで当たり前だった生活様式だけにとらわれずに、柔軟に対応可能な「生きる力」を身につけてもらいたいこと、これらについて、丁寧に伝えていきたいと思った。
ご参加くださった皆さん、ありがとうございました!
(報告:小口佳那子)

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