「プラスチックごみ」後編 フリースペースえん・ワークショップ(2020年度・第3回)

こんにちは。DEARボランティアの久保井です。

1月20日(水)に「フリースペースえん」(神奈川県川崎市)で行った今年度3回目のワークショップの様子をお伝えします。

今回は緊急事態宣言下ということでDEARのスタッフ、ボランティアは全員オンライン(ZOOM)での参加となり、えんスタッフの皆さんと連携しながらのワークショップとなりました。

♻今回のテーマは「リサイクル」

前回は「海の生き物会議」を通してプラスチックごみによる環境問題について考えましたが、今回のテーマは「リサイクル」

前回の振り返りをしつつ、私たちが分別したごみがその後どうなっているのか日本のプラスチックごみのリサイクルがどのように行われているのかを、劇とビデオで紹介していきます。


👤総理大臣の熱弁「日本はリサイクル先進国です!」

まず現れたのは日本の総理大臣

国民のエコについての意識調査ということで、えんのみんなに「エコ」と聞いて思い浮かぶことを聞き始めます。

子どもたちからは
「エコバッグを使ってる」
「ごみを分別して捨てている」
「リサイクルに出す」などの声があがりました。

それを聞いた総理大臣は日本がリサイクル先進国だということや、「リサイクル」のためにもプラスチックごみ(以下、プラゴミ)の分別がいかに大切かを熱弁し始めます。

ところが、分別した後のプラスチックごみがどこへ行くのかという疑問が出てきて自治体の集積センタ―のセンター長に聞いてみることになりました。

👷センター長「プラごみはとっても手間がかかるんです」

センター長が言うには、家庭から集められたプラごみは、汚れがないかどうかを人の手で仕分けてチェックしてリサイクルにまわされ、それを機械で固めて買い取り業者に引き渡すのだそうです。家庭から集められたプラごみは分別されてはいるけれど、プラごみの量の増加に伴い人手が必要となり、人手が増えると人件費がかさんでいくと訴えます。

ここで実際に集積センターの様子を映像で見てみました。

~センター長の言っていたように、家庭から出された大量のごみ袋を一つ一つ手で開けて、汚れていないかどうか、リサイクル可能なものかどうかを確かめながら手作業で仕分けています。分けられたプラごみは圧縮した後梱包されて「ベール」と呼ばれるようになります。プラごみのリサイクルにはとても手間がかかるとういうことがよくわかります。~
(出典:『プラスチックごみ 日本のリサイクル幻想』PARC http://www.parc-jp.org/video/sakuhin/plastic.html

👤総理大臣 日本のリサイクルを再び自画自賛!

この様子を見た総理大臣は、センターの仕事の大変さには目もくれず、日本のリサイクルがいかに素晴らしいかを自画自賛するのですが、今度はセンターで仕分けたプラごみ(ベール)がどこへ行くのかという疑問の声があがります。

その疑問に対して総理大臣は、きちんと仕分けされたプラごみは「資源」であり、海外に輸出してリサイクルされているのだと説明し、輸出先の「中国の関係者」を呼んできます。

🚢中国の関係者「プラごみ輸入はもうやめます」

中国では世界の先進国からプラごみを輸入し、その量は世界のプラスチックごみの約60%にもなるのだそうです。しかしプラごみの増加やリサイクルのための処理などで環境汚染がひどくなる等の理由で、海外からのプラごみの輸入をやめると言うのです。

「そもそも自分の国で出たごみを海外に送るのがおかしくないですか?」と、中国の関係者。

🔥総理大臣「そ、それなら燃やす!」

急に輸入禁止と言われて慌てた総理は、自治体のセンター長に中国以外の引き取り先を探すよう求めますが、簡単に見つかるわけがないと断られ、プラごみを燃やして出る熱を活用する「サーマル・リカバリー(熱回収)を始めたらいい」と言い出しました。

🌎環境ジャーナリスト「燃やすことはリサイクルとはいえません」

ところが「環境ジャーナリスト」からは、燃やすことはリサイクルとは言えず、二酸化炭素CO2の排出にもつながると指摘されてしまいます。

これがどういうことなのかを一緒に映像で見てみました。

~日本のプラごみ集積場では2018年の中国の輸入禁止以降プラゴミの量が増加、その後輸出していた東南アジアでも2019年に輸入規制がかかり、日本国内に行き場のないプラゴミが溢れ出しつつあると言います。環境省は緊急措置として市町村にゴミの焼却を求めたものの、結果リサイクルという建前が破綻しているのが現状なのです。~
(出典:『プラスチックごみ 日本のリサイクル幻想』PARC http://www.parc-jp.org/video/sakuhin/plastic.html

👥イラストを見ながら話し合い

最後に、このような現在のプラゴミ事情を可視化したハイムーン先生のイラスト見ながら、今起きていることや、私たちにできることなどを話しあったりアイデアを出しあったりしました。

出典:ハイムーン工房「ゴミック名作集3-6 元栓を閉める」https://highmoonkobo.net/?p=230


「とにかく、なるべくプラスチック製品を買わない」ようにしたいけど、「例えば、スーパーでお肉を買うには必ずプラスチックトレイがセットなんです。いらないと思っていても買ってしまいます…」と参加してくれていた保護者(主婦)の方の声。

「自動販売機などでペットボトルを買わなくていいように、マイボトルに直接飲み物を注いでくれる自動販売機があったらいいのに!」という、とってもナイスアイディアも子どもたちから出ました。
(認定NPO法人フリースペースたまりばFacebookページより)

ハイムーン先生のイラストにあるように、蛇口からプラスチックが次々に流れ出て溢れ出している状態の今。とても難しいですが考え続けていきたい問題です。

前年度まではたまりばに行き、その場の空気を感じて子どもたちと直接やりとりをしながらワークショップを進めることができましたが今年度はそれが難しい状況です。制約がある中でもワークショップが一方的なものにならないよう、オンラインであることを活かし、それぞれが背景や服装、ワークショップ中に出てくる言葉を文字やイラストで見てわかるようにしたり、わかりやすい言葉を使うなどの工夫をしています。今年度のえんでのワークショップはあと2回ですが、興味を持って参加してもらえるよう模索が続きます。

(報告:久保井奈美)

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