フリースペースえん・第1回「民主主義ってなんだろう?どうぶつ選挙から考える」

こんにちは。DEARボランティアのくぼいです。
10月14日に川崎市のフリースペース「えん」で行ったワークショップの様子をご紹介します。

2021年度にDEARが「えん」で行う全5回のワークショップの第一回目は「民主主義ってなんだろう?どうぶつ選挙から考える」というテーマで行いました。

ワークショップを始めるよ~!続々と集まってきた子どもたち

このワークショップをする上でヒントとなったのが『どうぶつせんきょ』という絵本です。

森の王さまライオンが水をひとりじめしてプールを作ったことをきっかけに、はじめての選挙を行うことになったどうぶつ村。どうぶつが立候補をしたり、選挙の規則を学んだり、討論会や投票をする様子から、選挙や民主主義について考えるきっかけとなる絵本です。

『どうぶつせんきょ』(ほるぷ社、2021年)

今回はフリースペース「えん」の子どもたちにとって、より身近なテーマに設定を変えてワークショップを進めました。

「えん」には司会進行チームが出向き、オンラインチームと現地とを繋ぎながらのワークショップ。場面は「えん」から始まります。

シーン1:ライオン「このスペースは俺が使う!」

どうぶつ村では代々ライオンさん🦁が村を統治して慕われてきましたが、今リーダーをしているライオンさんは何だか態度が大きいようです。

ライオンさんは取り巻きのサル🐵と一緒にやってきて、こんなことを言い出します。

「ここのところどうぶつ村に住む動物が増えてきてスペースが足りない!俺が村を守っているのだから、このスペースは俺が使う、他の動物は外に出ていろ!」

シーン2:どうぶつ村の住民たちは…

ライオンが去ってどうぶつ村の住民がスクリーンに現れます。

早口なうさぎのぴょんこさん🐇は、ライオンが怖くてステイホーム中。動物村は居心地が良いので人口が増えるのは当然。だけど確かに部屋が狭くなっていると言っています。

おっとりとした口調の豚のとんたろうさん🐷は、ライオンさんの態度が前とは変わっってしまったことや、部屋を独占したいと言っているのが気になっている様子。

ツキノワグマのクマンシ―さん🐻は冬眠に備えてごはんを食べるのに忙しい様子。冬眠していて1年の半分しかスペースを使わないけれど、ライオンさんの自己中心的な考え方には納得がいかないようです。

シーン3:選挙という方法がある!

ライオンさんが戻ってきて言いました「この部屋にはもう人がたくさんでスペースがない。自宅にいるみんなはずっと家にいてくれたまえ。部屋の外で遊んでもいいが、雨の日には特別に入室を許可する。その代わり、掃除とご飯づくりをするように!」

動物たちは困り果ててしまいます。

するとそこに隣村のシカ🦌がやってきて「選挙」という方法を教えてくれました。

絵本『どうぶつせんきょ』より引用

早速「選挙」をすることにしたどうぶつ村では、最初に立候補したライオン🦁に続いてうさぎのぴょんこさん🐰、ツキノワグマのクマンシ―さん🐻、豚のとんたろうさん🐷が立候補します。

候補者のポスターも用意して、選挙の始まりです!

討論会:立候補者の主張はいかに!?

立候補したどうぶつ達が集まって討論会が始まりました。

🐰ぴょんこさん
「部屋を広く使えるようにいらないものは捨てます!お外の農園でとれた美味しい野菜も食べる前に収穫すればいいから冷蔵庫はいらなし、楽器は音が大きいから処分。これならすっきりです」

🐻クマンシーさん
「スペースが足りないなら新しいスペースを作ればいい。みんなで食事をする大きな机にはこたつ。床暖房にサウナにジャグジーもつけましょう。貯蔵庫も作って冬眠も安心。ドリームハウスをつくりましょう!」

ライオンさん(左)の演説

🦁ライオンさん
「私がリーダーに相応しい理由はひいひいひいおじいさんの代からリーダーをしてきたから、もはや宿命なのです。スペース問題については、私はリーダーの仕事で部屋を使うのでみんなは外で仲良く遊びましょう、これでお金も手間もかかりません」

🐷とんたろうさん
「スペースが狭いのは嫌いではないし困っている訳ではないけれど、みんなが困っているなら話し合うことが大事だし、一人ひとりにていねいに話を聞きたいな」

候補者の発言が終わり、司会者がみんなから質問を募ると
  • 「みなさん政党には所属しているんですか?」
  • 「冷蔵庫がないと困らない?」
  • 「クマンシーさんの計画の財源はどうするの?」
  • 「冬眠中はどうなっちゃうの?」
などいくつもの質問が飛んできました。

「俺みたいな強い力で強権政治をすれば戦争だって起こらない🦁」とアピールするライオンさんに、「一人で何でも決めるのは民主主義じゃない」「みんなの声を聞かないなんておかしい」という声も上がっていました。

投票の結果はいかに…!?

討論会が終わったところで、まるで本物のような投票用紙が配られ、一人一票を投票していきます。一票一票名前が読み上げられる度にハラハラドキドキ。

開票の結果、一番多くの票を得たのは「みんなで話し合うのが大事」だと言っていたとんたろうさん🐷に決定しました! 


ところがここにきてライオンさんが失格となります。実はライオンさん、立候補した後に取り巻きのサルを利用してみんなにお菓子を配っていた🐵🍬のです!

シカさんからの説明で、候補者は有権者に贈り物をあげたり送ったりしてはいけないとありましたね。

こそこそとお菓子を配るサル(右)

最後にどうぶつ村のリーダーに選ばれたとんたろうさん🐷から挨拶があり、ワークショップはおしまいです。

みんなでワークショップを振り返ると、
  • 「私は甘いものにはつられない」
  • 「強いリーダー一人じゃなくてみんなで話し合わなくちゃ」
  • 「投票で決めるのは民主主義じゃないかも」
  • 「とことん話し合って少数者の意見を排除しないことが大事」
などの声があがっていました。

また、選挙違反をしたライオンさん🦁はこどもたちに捕まって部屋の隅に追いやられ、追及を受けていたのだとか。

川崎市では市長選、そして衆議院選挙を間近に控えてのワークショップ。

「えん」では普段からみんなのことはみんなで話し合って決めるということで、このワークショップが終わったあとも自然に選挙について話し合う輪ができ、身近な問題から改めて民主主義について考える時間にしてもらえたようです。

今回は討論会での子どもたちから質問を受ける場面などがあり、オンラインでのアドリブは緊張の連続でした。同時に、現地に出向いて子どもたちとコミュニケーションをとりながらオンラインと繋がっていたため、その時の状況に合わせて臨機応変にワークショップを進めることができたように思います。

次回以降のワークショップもお楽しみに。
(報告:くぼいなみ)

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