開発教育ファシリテーション講座修了生のツナです。
10月17日(日)に「開発教育ファシリテーション講座 2021」 第5回が開催されました。
「開発問題の扱い方~開発教育の視点から学習を掘り下げ、振り返る」がテーマの今回は、パーム油の教材をもとに、おもに4つのワークに取り組みました。
もくじ
- ワーク1「ロールプレイと開発問題」
- ワーク2「意見を出して終わりにしないために」
- ワーク3「開発問題に関するディスカッション」
- ワーク4「私は開発教育を通して何をしたいのか」
ワーク1「ロールプレイと開発問題」
油ヤシ農園開発についての関係者会議を例に、「開発教育の実践でロールプレイをする目的は何か?」についてグループに分かれて、考えを述べ合いました。
『パーム油のはなし 地球にやさしいってなんだろう?』 |
皆さんからは、次のような意見が出てきました。
- 自分の意見と反する役割になった時、考えが広がって良い。
- 役割を皆が演じることで、開発問題の全体の構造が見える。
- 初めて会った人たちがすることで、アイスブレイクにもつながる。
- 大学生くらいになると、シナリオを描けるようにもなる。
開発問題には、さまざまな社会集団(企業、行政、市民グループ、消費者など)が、多様な立場から関わりを持っています。そのため、開発教育でロールプレイを用いることで、それぞれの立場の人たちの気持ちや、その課題についての理解を一層深めることができることなどを学ぶことができました。
ワーク2「意見を出して終わりにしないために」
続いて、ワーク2では、「共感的理解を意識して、ロールプレイの登場人物それぞれの主張の背景を考える・分析する」ことにグループで取り組みました。
このワークは「開発問題は常に合意形成の問題であり、色々な立場があって良い、難しいといことで終わってしまって良いのか?」という第4回に提起された問題に通じる内容です。
皆さんからは、次のような考えが述べられました。
- どういう立場が分かっていないとロールプレイは難しいので、ファシリテーターはシナリオの背景まで十分に知っておく必要を感じる。
- 背景を探るに連れて、登場人物がどういうことを考えているから、賛成・反対かがわかってきた。
ワーク3「開発問題に関するディスカッション」
ワーク3では、「合意形成を意識して、熱帯林や先住民族の生活環境を損なわない、みんなにとってより良い開発のあり方とは、どのようなものか?」についてグループで話し合いました。
皆さんからは、次のようなアイデアが出てきました。
- 短期中期長期の生活を考える必要があるのではないか。
- 教育が大事なのではないか…教育を通じて、自分の権利を知る、衛生面の部分を学ぶことにつながり、可能性・選択肢が広がるのではないか。
- 個人個人が持っている価値観が対立の原因になっているのだとすれば、ありたい将来(前提)を皆で考えて決めることが大事で、そうすることによって、皆が同じ方向を向いて進めるのではないか。
開発教育は、私たちひとりひとりが、開発をめぐるさまざまな問題を理解し、望ましい開発のあり方を考え、共に生きることのできる公正な地球社会づくりに参加することをねらいとした教育活動です。
開発教育ファシリテーションとして考えることで、学校現場(学びの場)で当たり前にやってきたことの意味を問い直すことにもつながります。
例えば、生徒の意見をよく聴く、ということが、すでにクラスというひとつの社会づくりに関わることにつながっているという重要な指摘から、ファシリテーションは単なるスキルだけにとどまらないということを改めて学ぶことができました。
ワーク4「私は開発教育を通して何をしたいのか」
最後のワーク4では、「開発教育を通してどのような開発問題に取り組みたいか?その先にどんな未来の社会のあり方をイメージしていますか?取り組みを通してどんな社会を生み出したいと思いますか?」という問いに対して、グループに分かれて話し合いました。
皆さんからは、次のような課題意識や今後のチャレンジが語られました。
- 学校給食から見えてきた食品ロスという問題の解決に取り組みたい。
- 外国人労働者の居場所づくりに取り組みたい。
- ジェンダーの問題に対して、教育を通じてアプローチしたい。
- 皆が意見を述べる場づくりに挑戦したい。
「自分自身の開発問題への関心がどこにあるのか」を知ったり、「自分にとっての開発教育ファシリテーションとは何か」を改めて考たりする機会になったのではないでしょうか。
(報告:松下)
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