こんにちは。DEARボランティアのナンシー(谷田)です。
2021年11月15日(月)に、川崎市にある「フリースペースえん」で、2回目(全5回)のワークショップを行いました。
今回のテーマは、みんなの生活に無くてはならないもの、「ファッション・服(ふく)」についてでした。服は、毎日着て、洗濯もするし、今日、何着ようか、考えるのは楽しいものですが、その裏には実はいろいろな問題もひそんでいます。
今回のテーマは「ファッション・服」 |
服はどうやって作られていて、どういう問題があるのか、みんなで学んで、一緒に考えていきました。
今回も「えん」には司会進行チームが出向き、オンラインチームと現地とを繋ぎながらのハイブリット式のワークショップを行いました。
オンライン:服博士のフクンシー、助手のふくお&ふくこ |
現地:えのさん&ほっしー |
👕1.どのTシャツを選ぶ?
最初にほっしーから、「3つのTシャツのうち、どれか一枚を買いたいのだけれど、どれがいいかな?」という相談がありました。その3枚のTシャツとは以下のもの。
- A 赤色のTシャツ[新品]
- B グレーのTシャツ[中古リサイクルショップの古着]
- C 白のTシャツ[新品]
子どもたちは、Tシャツを選ぶために、色々な質問をほっしーに投げかけました。
下記は、実際にみんなで調べてわかったものを青字で示しています。
その後、どのTシャツがいいかを選びました。赤字が推薦人数です。
- A 赤色のTシャツ[新品]399円・綿100%・中国製 2人
- B グレーのTシャツ[中古リサイクルショップの古着]1,000円・綿100%・日本製 6人
- C 白のTシャツ[新品]4,290円・綿100%(オーガニックコットン)・中国製 3人
今回のえんの中では「B グレーのTシャツ 中古リサイクルショップの古着 1,000円 綿100% 日本製」というものが人気の高いことがわかりました。
👚2.調べてみよう わたしの服
1で登場したTシャツ以外にも、実際にみんなが着ている服にも注目してみました。
そして、自分の服のタグから、服が完成した原産国を調べ、自分の服がどこで製造されているかを知ることをしました。世界地図上には中国、バングラディッシュ、ベトナム、インド、タイといった東南アジアの国々の名前が貼られました。
衣服の輸入割合(輸入浸透率)はなんと98%!!! |
つまり、日本で販売されるほとんどの服が外国で製造されていることがわかったのです。30年前の輸入割合が約50%だったことを考えると、当時は流通する服の半分は日本国内で製造されていたことも意味しています。
今回、<1>どのTシャツを選ぶ?で、推薦人数の多かったBのグレーのTシャツ(古着)日本製は、もしかしたら、30年前のものかもしれないね~という話も出てきました。
さて、私たちの着ている服が外国製(東南アジア)のものが多いということがわかったところで、服はどのようにして私たちの手元に届いているのか?というワークを行いました。
👗3.服の一生 どこからどこへ
服が製造され、わたしたち消費者の手元に届くまで、そして手放したあとまでの流れを10枚のカードを並び替えながら理解することにしました。
また、カードは「服を着なくなる」で終わるが、みんなに「着なくなった後はどうしている?」ということを聞いてみると、「切ってぞうきんにする」「メルカリに出す」「リサイクル」「服屋さんの回収ボックスに入れてリサイクルする」「あげる」「リメク」…等々、色々な声が挙がってきました。
すると、フクンシーから「服のリサイクルって本当にいいことに繋がっているかな?」ということを投げかけられ、みんなに考えてほしい写真や映像があるということを知らされました。
そこで、ファストファッションにおける知られざるストーリーをみんなで考えていくことになりました。
👕4.ファッションの裏側を考える
えんのみんなには「ザ・トゥルー・コスト」という映画のあるシーン(場面)を切り取った写真を何枚か見て考えてもらうというものを行いました。
ちなみに、この「ザ・トゥルーコスト」という映画は、「服に対して本当にコストを支払っているのはだれか?」という問題を提起するファッション業界の闇に焦点を当てたこれまでにないドキュメンタリー映画です。
①大量生産の場面 縫製工場で働く女性(映画より)
ダッカの縫製工場で働く低賃金の女性の話が登場する。その中で、労働条件の改善を雇用主に訴えて暴力を受けたという話も。世界の6人に一人がファッション業界にかかわっている…
えんの声
「たくさんの人が働いている」「みんな女性」
「服を作っている」「ミシンがある」
「疲れている」「悲しそう」「同じ作業をして大変」
フクンシーから
バングラディッシュの縫製工場では1日3ドル以下で働く女性がたくさんいること、また、貧しさから抜けられず、労働条件の改善を雇用主に訴えても聞き入れてもらえず、ラナプラザ崩壊事故が起きてしまったことも知らされる。
➁大量生産の場面 農薬を撒く男性(映画より)
インドの綿花農園で農薬をまく場面。農薬でガンや障害を持つ子供たちが増えているという話が登場する。環境活動家のバンダナシヴァさんによると、遺伝子遺伝子組み換えの種子を作っている会社が、農薬を作っているので、ずっと勝ち続け、そこで働く人は負け続けているという…
えんの声
「農薬をまいている」「オーガニックではなさそう」
「マスクをしていない」「体に悪そう」「つまらなそう」
フクンシーから
綿花栽培は、インド以外にもアメリカや中国でも多く栽培されていて、上記のような人体による被害は他の地域でも起きていることを知らされる。
低価格化(服がどんどん安くなる)の背景には、大量生産によるコスト削減、人件費の安い地域での製造、安価な化学繊維の利用などがあるのです…!
③大量消費の場面 YouTubeで服を紹介する女性(映画より)
消費することで満足感を得られるような心理的なCMが流れ、3人の女性たちが自分の購入した服についてYouTubeで紹介している。
えんの声
「YouTubeっぽい」「服を紹介している」「楽しそう」
「服を作っている人たちのことは知らなさそう」
「服を作っている人たちとの対比がすごい」
④大量廃棄の場面 廃棄された服の山(映画より)
ファストファッションが途上国に与えている影響を知る。チャリティとして寄付される服の10%しかリサイクルショップでは売られず、ほかの国に輸出し、最終的には途上国に捨てられている。ここでは、ハイチの衣料産業を脅かしているという話が登場。
えんの声
「ごみの山」「全部服!?」「すごい」
「どうしてこうなっちゃうのだろう」
「買って着なくなったら、リサイクルに出せばいい!」では済まされないような現状にも気づきをもらえる話でした。フクンシーから、着なくなった後の服について、日本の現状も教えてもらいました。
*サステナブルファッション(環境省) https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/ |
環境省によると、可燃ごみ・不燃ごみとして手放される割合が最も高くなっており、リユース・リサイクルを通じて再活用される割合の合計は約34%。約66%が焼却・埋め立て処分されています*。
また、石油由来の化学繊維の服は、燃やせば大量の二酸化炭素(CO2)を排出し、埋め立てても数百年間にわたって自然分解されることはありません。
わたしたちは、生活になくてはならない「服」。その服とどう向き合い、関わっていけばよいのでしょうか…
👚5.今日のふりかえり(思ったこと、感じたこと、考えたこと等々)
- 服を買うことを当たり前に思っていたけれど、服を作る工程で環境に悪いことなど、裏側をしることができた。
- 今持っている服を長く使えるようにしたい。
- 食べ物のことは、考えていたけど、服についてはそこまで考えてなかった。
- 高くても、オーガニックコットンの服を買う。
- つくっている人たちが悲しい目にあってほしくない。
- 生産現場や環境に配慮している服が売れるように、国が補助金などをだすべきだ。
👕おわりに…
服と社会問題のつながりを知ることで、「ファッションや身近な服を楽しめなくなる・苦しくなる」のではなく、「新しい服を次々と買わなくても、豊かにファッションを楽しめることを伝えたい」と思っています。
ファッション産業においても、持続可能性への取り組みが進んでいます。市民として、消費者として、ファッション産業へ声を届けるとともに、倫理的で持続可能性に配慮したブランドやメーカーを選ぶことで応援もできます。
「これまで通りではない」「新たな方法」でファッションを楽しむことをぜひ、みんなで考えていきたいと思っています。本日はご参加いただき、ありがとうございます!
今回えんで実施したワークショップは、現在作成している教材『服・ファッション(仮)』を基に実施しました。2022年2月の発行を目標に、制作費の一部をクラウドファンディングにて募っています。ぜひ応援をよろしくお願いします!(報告:ナンシー)
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