こんにちは。スタッフの八木です。
7月1日・8日(金)の2日間(各日2コマ)、東京の千代田区立九段中等教育学校で「服・ファッション」をテーマに授業を実施しました。総合学習の時間を使い、3年生の4クラスで、3年ぶりの対面の授業でした。
学校からのご依頼は「SDGsとも関連づけて国際社会の現状や問題について総合的に理解を深める」というものでした。ユースの関心の高い「ファッション」を切り口にしたらよいのではと考えて、以下の2回をご提案し、実施しました。
<1日目:調べてみよう!わたしの服&服クイズ>
- 日本で流通している服のほとんどが、外国でつくられ、輸入されていることを知る。
- 服にはさまざま素材が使われていることを知る。
- 服・ファッションと大量生産・大量消費、気候変動などの問題とのつながりを知る。
<2日目:サプライチェーン&環境・社会・人権と服>
- 服がどのような工程を経て自分の手元に届くのか、全体の流れを知る。
- それぞれの工程でどのような環境・人権・社会的な問題が発生しているのかを知る。
2回とも『服・ファッション 開発教育アクティビティ集5』(DEAR, 2022)を活用しながら「参加型」で実施しました。
調べてみよう!わたしの服 |
生徒からは以下のような意見が出ました。
<1日目:調べてみよう!わたしの服&服クイズ>
- 素材などの名前やどこで作られているかは知っているつもりだった。でも、その素材はどんなものなのかなど深堀りしていくと知らないことが多かった。
- 服がCO2など環境問題とつながっていて驚いた(多数)。
- 日本にある服のほとんどが輸入だということに驚いた(多数)。
- 石油から作られた繊維があるとは知らなかった。他の種類の素材についても知りたい。
- 素材が作られる国、服が作られる国、販売される国が同じではないことに気が付いた。
- どうしたらいいのか。問題は分かったけど解決策が知りたい。
- 薄利多売ではなく、需要と供給、環境とのバランスをとってほしい。
- 重要な問題なのに、知られてなかったり、社会で共有されていないと思った。
- こういう話は大人にもするべきではないか。
2日目のふりかえり |
<2日目:サプライチェーン&環境・社会・人権と服>
- 毎日着ている服が環境にも人権にも社会にも負の影響があることに驚いた。(多数)
- 服を消費することしか考えていなかったが、見えていないことがあった。
- ニュースなどで「サプライチェーン」という言葉を聞いたことはあったが、その意味を知らなかったということが分かった。
- 驚くことが多かった。もっと値段を高くすれば服を大事にするのだろうか?
- どうすればファストファッションや社会のしくみを変えていけるのか。いろいろ調べていきたい。(多数)
- 経済性が最優先で、安全性や社会問題への対応は後回し。このままで本当にいいのか?
- できるかどうかはともかく、「どのような理想の社会にしたいのか」を考えることが大事だと思った。
2日目の最後に観たBBCの動画「ファストファッションが環境に与える影響を解説」もインパクトがあったようです。
<もっと知りたいこと>
- なぜ、流行はこんなに早く変わるの?
- 人権、ジェンダー系のことをもっと知りたい。
- 化学のチカラはすごいけど悪い影響もある。天然繊維も農薬の問題があるし…、どの素材が一番エコなんだろう。
- 倒壊した工場や動画を観て、どうしたらもっと透明化された過程になるのか考えた。もっと知りたい。
- どうしてこんなに問題が大きくなるまで気が付かなかったのか。
- なぜ先進国は環境保全を呼びかけながら、途上国の工場に投資するのだろう?
わたしが教材づくりを通じて実感したのは「つくりすぎ(供給過剰)」の業界の問題でした。気候変動も人権問題も、生徒たちの世代の責任ではありません。かれらからの「なぜ」「どうして」という問いかけはもっともな意見です。
消費者個人の選択や行動にゆだねるのではなく、どう仕組み自体を変えていけるのか。生徒の言葉にあるように「できるかどうかはともかく、どのような理想の社会にしたいのかを考えること」を諦めてはいけないなと思います。九段中学校の皆さん、ありがとうございます!(報告:八木)
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