こんにちは。DEAR事務局の岩岡です。
10月9日(日)と10日(月・祝)の2日間、JICA沖縄にて平和教育指導者養成講座を開催しました。
今年は5月に本土復帰50年を迎え、10月には5年に一度の世界のウチナーンチュ大会が開催され、様々な節目を迎えている沖縄。
DEARでは、2021年2月にd-lab2020(第38回全研)を沖縄を舞台に開催し、その前後に学びの会を実施して、沖縄県で開発教育に取り組む学校教員や学芸員の皆さん、NGO関係者、企業などと一緒に教材を作成したり、ワークショップを実践してきました。
2020年よりコロナ禍や台風の影響で、沖縄での講座開催が何度も阻まれてきましたが、今年ようやく中村と岩岡の2名で沖縄へ行くことが叶いました。
やっと!3年ぶりの沖縄だー! |
講座は、平和教育の人材育成を目的とし、教育現場を持つ教育関係者が集い、ネットワーク構築と教材・カリキュラム開発を目的として開催されました。
2日間通して、学校教員や学芸員、ソーシャルワーカー、学生など20名程の参加がありました。d-lab2020を一緒に作り上げたメンバーの参加もあり、懐かしい顔ぶれ(対面では初めましての方も!)に嬉しくなりました。
アクティブラーニングを使った学びを、ということで、1日目は「パーム油のはなし」、2日目は「難民」をテーマにワークショップを行い、その体験を平和教育の教材作成につなげていきました。
<1日目>
1.自己紹介、みんなが安心して参加するためのルールづくり
2.パーム油のワークショップ
3.対立に関するワークショップ
・気持ちのビンゴ
・怒りの分析
・パーム油の関係者会議の対立分析
4.ふりかえり
<2日目>
1.昨日の振り返り
2.難民のワークショップ
3.平和教育の教材とは?教材作成のプロセス
4.今後の授業プランや実践計画を立ててみる
5.ふりかえり
1日目のプログラム
1日目では、初めに参加のルールづくりを行ったのですが、大切にしたいことや不安に思っていることを共有し、共通理解を作ることでその後安心して参加できた、という声がたくさんありました。
パーム油の関係者会議(ロールプレイ)では、マレーシアのプランテーション開発の問題を、沖縄の課題に結び付けて話し合われる様子もありました。
パーム油のワークショップ |
昼食後、「対立に関するワークショップ」では、「気持ちビンゴ」や「怒りの分析」を通して対立の背景にある自分の気持ちやニーズに気づき共有しました。
そして、その後、再び「パーム油の関係者会議」に戻り、それぞれの登場人物の気持ちとニーズを探り、農園開発を賛成・反対する本当の理由を考えました。
すると、「みんな自分の主張をしているだけで、賛成とか反対とかきれいに分けられるものではない」「会議の場ではみんな不安だったと思う。ニーズを開示しあえばお互いの恐れを払しょくできて、もっと話し合いが上手くいったのではないか」といった気づきが出されました。
対立構造の中で、相手の立場を考えることも大事ですが、自分の中の満たされていない気持ちやニーズを自覚することが、対立解決の糸口になる。そんなことに気づけた時間でした。
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2日目のプログラム
2日目の難民ワークショップでは、クイズとエピソードを通して、日本に逃れてきた難民の方々の暮らしを学びました。
沖縄で受け入れているウクライナ避難民のことや、外国人との共生について、また、自分の祖父母が沖縄戦の時命からがらやんばるの森に逃げた話を思い出した、など、身近なことにも引きつけたり、様々な方向に話が広がりつつ、そもそも難民について知らないことが多いということに気づいた参加者もいました。
難民のワークショップ |
その後、平和の捉え方や、教材づくりのプロセスなどを紹介しました。
そして最後に、それぞれの現場で実施したいカリキュラムや教材を一人ひとり考えました。
参加者がやってみたいことを書いて共有しました |
- 中高生を対象に、沖縄の置かれている現状を知り、その構造をロールプレイを通じて理解する。
- 子どもや中高生、大学生を対象に、身近な対立を非暴力で解決する力をつける。
- 中学生を対象に、「平和」という考え方の視野を広げる授業(全11時間!)をやりたい。
- 中学生を対象に、世界史や地理と沖縄・琉球の歴史を結び付けて考える授業をやりたい。
- 日常にある差別や私たちの中にあるアンコンシャスバイアスに気づく実践を作りたい。
2日間ご一緒した参加者のみなさんと |
沖縄で平和学習というと、5.15(沖縄復帰の日)や6.23(慰霊の日)など、戦争と平和について考えるような授業することが多いということを耳にしましたが、今回の講座を経て、普段の暮らしの中で自分からよい人間関係を築けるか(家族の間で、クラスの中で、地域やコミュニティで)を考えることも平和につながる大事な学習だなと感じました。
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