こんにちは!
今年から新しくブログを担当させていただきます、大学院生のボランティアスタッフの伊藤聖矢(いとうせいや)です。
今回は、オンラインで開催されている「第3期DEARカレッジ SDGs学習のつくりかた」の第1回の様子をお伝えします。
プログラムは下記の通りです。
第1回「総論(公正・共生)」
- 参加者自己紹介&アイスブレイク
- グループディスカッション1
- レクチャー「総論(公正・共生)」
- グループディスカッション2
- インフォメーション
このなかでも、グループディスカッションやレクチャーの内容をご紹介します。
(1)グループディスカッション1
SDGsの体感的な達成状況について Zoom の投票機能を使用して、参加者の方に投票を行ってもらいました。
結果は
A. 思ってたより良い:13%、B. 思ってた通り:33%、C. 思ってたより悪い:54%
その後のディスカッションでは、以下のようなコメントが参加者からありました。
- 気候変動、ジェンダー、ウクライナ戦争、貧困問題、少子化など、解決すべき課題に対して、現状では逆に問題がどんどん出てきている状況だ。
- 元々SDGs自体が世界全体のことを考えて作られた訳ではないと思っていたので、自分としては「思っていた通り」。
- 市内の全ての学校はSDGsを学んでいるし、交流相手の台湾の学校も同じ。今この問題意識を子ども達に持ってもらっているという意味で、希望的観測ではあるが「思っていたより良い」。
その後、『持続可能な開発目標(SDGs)報告2022』をもとに、DEAR事務局長の中村絵乃さんより、SDGsの達成状況についての報告がありました。弱い立場に置かれた人々が取り残されていることや、「誰一人取り残さない」というSDGsの最も大切な部分が達成されていないことなど、SDGsの理念と現実の達成状況との矛盾についても解説されました。
(2)2030アジェンダを読んでみる&レクチャー「総論(公正・共生)」
DEAR副代表理事/早稲田大学非常勤講師の、近藤牧子さんが担当しました。
2030アジェンダを読んでみて印象に残ったことなどについてグループで話し、以下のようなコメントが参加者からありました。
- 「我々の世界を変革する」というキーワードに全てが込められているのではないか。
- 行動に意味がある。
- 「男性が教育を受けるとその人の未来が変わる。女性が教育を受けると子どもの未来が変わる。」という話を思い出した。
- 女性への言及が多いことは、ジェンダー不平等が全世界の共通課題であるということの現れ。
- 「最も貧しく、最も脆弱な、最も遅れている」が誰なのかという話になった。
- 世界的に見ると、自分達の無能感を感じて結局何もできない。
- できていないことを変えていくのが変革。
- 政府としてはできていることを強調するが、できていないことを見極める力が足りない。
続いて、Sustainable Development/SDGsと開発教育(公正と共生)についてのレクチャーについてです。
持続可能な開発とは何か、開発教育で重視している「公正」と「共生(=包摂)」、形式的平等と実質的平等の違い、平等や公正さを考え、合意し、実現していくプロセスのなかに開発教育が位置付けられること、SDGs学習の目的などを解説されました。
(3)グループディスカッション2
グループに分かれ、以下のテーマについて話し合いました。
①現実にある、あったらいい「この状態は公正だ」
②現実にある、あったらいい「共生の状態」とは?
ディスカッションでは、以下のようなコメントがありました。
- 勤務する学校でルールメイキングを行う取り組みが3年かけてようやくはじまった。先生たちは本当に賛成してくれるのか、先生から信頼してもらうことと、教員の間で合意形成することに3年かかった。
- わたしたち含めて、何かを変えた政治的経験がない世代が増える中で、誰かを信頼できないと動けなくなっている。子どもたちの一歩は未来に向けた大きな一歩だと思う。
- 愛知県の私学では助成金(奨学金)の運動をとても頑張っている。世の中には行きたい学校があっても行けない子どもがいて、そうした子どもの選択肢を広げるために在学生の父母や先生たちが取り組んでいる。まだ達成できていないからこそ運動を頑張っている。
- 目先のことや身の回りのことを変えることも大事だが、より包括的な範囲で公正さを達成するのはまたベクトルが違ってくる。
- 不公正の例はたくさん出たと思う。明らかにおかしいことがなぜ脈々と続くのか、構造的な視点で考えることに鍵がある。SDGsの学習にはそれが必要。
- 変革には新しいことを行う必要があるのに、「前例がないのでできません」という理由で何もしないことが多い。
- 選択的夫婦別姓が認められる、同性婚が認められる、識字障害のある子が試験で配慮を受けられる。
最後に私の感想です。
大学院でESD(持続可能な開発のための教育)を研究するなかで、このカレッジのテーマについても考える機会があります。「誰も取り残されない世界」の実現のために、開発教育を含むESDという教育実践が果たせる役割とは何か、ESDや開発教育をどのように実践するのか、その仕掛けづくりはどのようにすべきかなどを今後も考えていきたいと思います。
それと関連しますが、日本が「目標4 :すべての人々に包括的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」が日本では「達成」とされていることに、違和感を覚えました…!
今後のDEARカレッジでは、個別のトピックを扱っていきますので、ぜひ楽しみにしていてください!(報告:伊藤)
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