こんにちは。ボランティアスタッフのナンシーです。
11月17日(金)に、神奈川県川崎市にある「フリースペースえん」で、今年最初のワークショップを行いました。
DEARのNewスタッフ総出での第1回目は、桃太郎の昔話がベースになっています。ナンシーとキヨスク(Newスタッフ)はオンラインから参加しましたが、現場の様子を画面越しで見ながら、時々、爆笑してしまうシーンも・・・((´∀`))
さあ、どんなワークショップになったのか、その様子を写真を交えて紹介します。
今回のテーマは「考えよう!鬼の気持ち、桃太郎の気持ち」です。
鬼や桃太郎の背景を探りながら、あらためて、鬼や桃太郎の気持ちを考えていきました。
1 どっちがいい?どっちが悪い?
アンパンマンとバイキンマン、みなさんならどちらを選びますか?
えんの子ども達👨👧👦は…すぐに「どっちもいい」「どっちも悪い」と回答しました。
理由は「アンパンマンは暴力で解決しようとしているから悪い」「ばいきんまんはあきらめないのがすごい」等々、たくさんの意見が出てきて、どちらがいい、どちらが悪い、といった結論には至りませんでした。
こちらの予想を上回り!?、その他のアニメ(「ウルトラマン」や「鬼滅の刃」等)から同じお題を出しても、“悪いもの”をやっつけている“ヒーロー”が「いい」という回答は出てきませんでした。これはえんで過ごしている子どもたちだからなのかなと思いました。
2 「桃太郎」🍑の昔話を思い出してみよう
ここでオリジナルの「桃太郎」の話が場面ごとに描かれている絵を配り、話の順序を考えてもらいました。このオリジナルの「桃太郎」の話はNHKの「桃太郎」裁判 | 昔話法廷 | NHK for Schoolを参考にしています。
そのため、みんながよく知っている昔話の「桃太郎」とはちょっと違う絵も登場。
みなさんだったら、絵を並び替えて、どんなお話を作りますか?
えんの子どもたちも頭をつきあわせて考えていました👇
👨👧👦「桃太郎がいじめられているのがわからない…」「この絵はどういう意味?」等々。
3 鬼側の意見~鬼ファミリー👹(おにやん&おっしー&レオニ)登場~
👹「私は悪者ではない。私の話を聴いてほしい。鬼が住む鬼ヶ島では作物が育たず、食べる物に困っていたのだ。そこで、鬼たちは人間が住む島で、一緒に土地を使わせてもらえないかという相談をしに行ったのだ。でも、人間たちは鬼という理由だけで相談は聞かず、一切土地を使わせようとしなかったのだ。そんな中、どんどん鬼たちは食べられなくなってしまい、我が子も死んでしまいそうになり、仕方なく、人間の食べ物を取ることになったのだ。生きるために必死だったのだ。
そうしたら、ある日、突然、桃太郎が「悪者をやっつけに来た!」と鬼ヶ島にやってきて、多くの鬼たちに攻撃したのだ。それでたくさんの鬼が怪我をした。悪いことをしてしまったのはわかっているけど、相談したのに全く聞いてもらえなかったし、人間を襲うつもりはなかったのに「人間を襲う悪いやつ」と決めつけて、鬼たちに暴力を振るうのはひどいと思う。食べ物が必要で相談しに行っただけなのにこんなことになってすごく悲しい」
鬼の言い分を聞いたところ、子どもたちからは👨👧👦「鬼は悪くない」「桃太郎も鬼も両方悪くない」「鬼が正しい」「そんなことがあったとは知らなった」「桃太郎の話も聴いてみたい」等々、意見が出てきて、桃太郎の話も聞いてみることになりました。
4 桃太郎側の意見~桃太郎🍑(もんちゃん)登場!
🍑「私は 鬼たちがそんなことを考えているなんて知らなかったので、少し驚いているし、複雑な気持ちになっている。でも私が戦いを挑みに行ったのには理由がある。鬼は悪さをしていて、それで困っているのだ。私の大事な友達が悪い鬼から狙われて、物を奪われて、怪我を負ってしまったのだ。そこから、私は鬼のことを許せないと思っていて、かたきを取るぞ!と思い、それで絶対に鬼をこらしめようと心に決めたのだ。そう思うのはおかしいかな?」
と、聞いたところ、子どもたち👨👧👦の中から「だから両方悪くないって、さっきから言っているよ~」という声が挙がりました。
5.鬼👹と桃太郎🍑とえんの子ども達👨👧👦
えんの子どもたちは、鬼と桃太郎のお互いの意見を聞いて、両者の立場や背景がわかってきました。
さらに鬼と桃太郎の話が続くなかで、えんの子どもたちもつぶやきます。
👹「仕返しするなら、私たちではなくて、その友達を襲った鬼にすればいいのに…」
🍑「友だちは傷つけられたけれど、他の仲間も鬼にひどいことをされたのだ。」
👹「こっちもひどいことをされた。桃太郎は英雄気取りで、どうして鬼の私たちは悪者になるのだ。」
そして、鬼と桃太郎は「自分たちの主張は正しい」と、話は平行線に…さあ、どうなるかなと思っていたら、一枚の絵に注目することになりました。
それは、桃太郎を見てひそひそ話をする周りの人々の絵でした。
🍑「みんなは桃から生まれた知り合い、いる?」という桃太郎の話に一同「え!?」となりました。
そして、桃太郎は桃から生まれたことで、みんなからからかわれたり、いじめられたり、SNSで「桃から生まれた変なやつ」と拡散されたという話を打ち明けました。その時に助けてくれたのは、実は、先ほどの話に出た友達で、鬼を許せないと思い、退治しに行ったということでした。
🍑「正直、どの鬼が友達を襲ったのかわからないから、みんなやっつけた方が復讐できると思った。それに自分をからかったやつらも、自分のことをヒーローと称えてくれたから、自分はいいことをしたと誇らしかったのだ」
👨👧👦「鬼を憎む気持ちもわかる」「桃太郎はうれしかったけれど、鬼は大変だったね」
👹「今の話を聴いていると。桃から生まれたというだけで、からかわれたのかぁ。桃太郎にもそんなことがあったのか、それはなぁ…」
👨👧👦「桃太郎も鬼も悪くない。けんかしないで」
👨👧👦「みんなに復讐する必要はない。やめた方がいいよ」「話し合った方がいい」
みんなの意見が飛び交う中、桃太郎のおばあさん👵(おのさん)が登場して、桃太郎の主張を応援しました。そして鬼の主張も聞いて鬼が村人を襲う理由や背景を知ることになりました。
👵「さあ、みんなどうすればいい?」「どうしたらよかった?」というおばあさんの声で、ふりかえりにつながりました。
6.ふりかえり👨👧👦
- (鬼も桃太郎も村人もみんな)お互いを知ることが必要。そのために話し合うことが大切だ。
- 鬼は(金棒も持っていて)怖いようにみえても、それでも話し合う。
- からかった人は倍返ししてもいい(笑いが起きる)
- 話し合いで倍返し
- 言葉で話し合う。
- 追いかけてきたら、とりあえず話す。遠くから話すこともできる。
- 桃から生まれておかしいと思わないで、めずらしいと思うのはどうかな?
- 鬼からごはん欲しいといわれても、一緒に食べようと言う。
- みんなやせ細っている鬼だから、ご飯を一緒に食べる。
- いい人悪い人はいない、どちらかが悪いということでもない。
- 問題が起きたら、話し合いをすればよい。
- 一緒にごはんを食べる。
- 鬼ごっこする。一緒に遊ぶ。
- 気分転換する。旅行に行く。
- 家族になればいいんじゃない?一緒に住むのは?
- 作物も一緒に育てれば?
たった数分の間に、えんのこどもたち👨👧👦から、次々と色々な意見が出てきました。
どの意見も暴力ではなく「話し合う」ことや「一緒に(食べる)(遊ぶ)」…といったようなキーワードがちりばめられていて、それはきっとえんで過ごしているからこそ、感じ取る、それが一番よい解決方法だと子どもたち自身が経験の中でわかっていることかもしれないと思いました。
子どもたちの意見を聞いて、桃太郎と鬼はその後、どうなったかというと…👇こちら!!
🍑「話し合いながらなら、一緒に住めるかも。」
👹「桃太郎は実はやさしい気がする。」
ということになり、お互い、握手をしておわりになりました。
今回、鬼や桃太郎、えんの子どもたちの話を聞いて、「誰が正しくて誰が悪いとは簡単には決められない」ということを考えさせられました。鬼や桃太郎の問題とされる行動の背景には、それぞれの事情があり、お互いの言い分がわかった子どもたち。
たとえそれぞれに言い分があったとしても、相手に暴力をふるうのではなく、「話し合うこと」を最後まで提案していた子どもたちの姿が印象的でした。
自分の正義を押し通すのではなく、相手の事情も知って、考えて、お互いに歩み寄る必要があることを今回のワークショップで私自身、改めて学ぶことができました。ありがとうございました。(報告:ナンシー)
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