DEARで分科会を開催!釜山デモクラシーフォーラム2019報告(その3)

「2019釜山デモクラシーフォーラム」の2日目、10月15日(火)の午後は、近藤さん、松倉さんと3人で分科会「ESD in Japan」を実施しました。

※1日目の様子はこちら
※2日目の午前の様子はこちら

海外の参加者とともに、韓国の参加者も含めて20名くらいが集ってくれました。時間は50分と限られていたので、時間配分を徹底しました。

わたし(中村)からDEARの説明をした後、早速、ワークショップを始めました。

日本のある場所の写真を見て、気づいたこと、感じたことなどを付箋紙に書いてもらいました。その後、コンパス分析の4つの視点(N:自然・環境、S:社会、E:経済、W:意思決定・政治)を出して、付箋紙を分類してもらいました。

コンパス分析に取り組む参加者。教材『豊かさと開発』に写真と進め方を収録しています。

写真は、①新宿区の住宅地を上から撮った風景 ②新国立競技場の建設現場 ③横浜のみなとみらいの風景の三枚。それぞれ、様々な意見が出ました。

新宿の住宅地については「どういう人が住んでいる?」「韓国の都市部も同じ」「人の声が聞こえそう」「都市計画は?」「緑がない」。

新国立競技場の建設現場の写真については「組合の写真かと思った」「予算がなくて途中で止まっている?」「ごみがたくさん出ている」「誰が関わっている?」「安全性は大丈夫?」など多くの付箋紙が出されました。


その後、答え合わせをして、気づいたことを話してもらいました。写真によって、出る意見に偏りがあるが、「意思決定」の部分は忘れがちであること、ほかの人の意見を聞いて、はっとした、みんなで話すと色々な意見が出る、自分の地域でも同じような状況であることに気づいた、などの意見がありました。

近藤さんによる解説と問題提起

その後、近藤さんから、持続可能な社会のためには開発のあり方を変革するだけでなく、教育も変革しなければならないという提起がされ、日本の教育の問題を以下のように挙げました。
  • 競争から、包摂(共生)と市民性の教育に変えていくこと
  • 人権教育、SOGI(Sexual Oriented Gender Identity)教育が必要なこと
  • 開発観だけでなく教育観の転換が必要なこと 
教材『豊かさと開発』に写真と進め方を収録しています

その後、好事例として松倉さんから上尾東中学校での「グローバル・シティズンシップ科」の実践を話してもらいました。
  • 学校全体ですすめたGCEDの概要
  • 子どもたちの変容・教師の変容
その後、KOICAの開発教育担当(韓国ではODA教育)のSu Yeon Park氏からコメントをもらい、会場から質問がありました。質問は、地方でこのような活動をすすめるには、どうすればよいか、学校以外の場所での展開はどのようにすればよいか、などで、参加者は開発教育やその実践などに興味をもってくれたようです。

韓国では、DEARはとても有名(KOICAの方が言っていました!)だそうで、既に韓国語になっている教材も、みなさんご存知でした。

隣の会場で、韓国のNGOがSDGsのブースを出展しており、教材も作られていました。
このような流れと、韓国の市民社会に根付いている民主主義がつながって、GCEDやSDG4.7が広がり、深まっていくと益々面白くなるのでは、と思いました。

SDGsブース出展者と

今回、SDG4.7とSDG16というテーマで行われたフォーラムでしたが、SDG4.7だけをテーマにした時よりも、より実践的にSDG4.7、つまり教育の役割を考えられたと思います

GCEDやESDを進めるためには、人権や多様性が尊重され、民主主義が守られていないと難しく、その基盤をつくるためにも教育のあり方を問い直さないといけないことを、改めて感じました。アジアの市民社会とのつながりを通して、持続可能な社会をつくる手段としての教育をこれからも考えていきたいと思いました。
(報告:中村)

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