富貴中学校でラーニングリーダー研修 1日目[メディアリテラシー]

夏休みも終わりに近づいた8月末の2日間、愛知県の武豊町立富貴中学校で、ラーニングリーダー研修をやりました。富貴中学校からは昨年に続き、2回目の講師派遣のご依頼でした。

「ラーニングリーダー」というのは、学習活動や話し合いの場でファシリテーターになれる生徒のことです。参加者は自分で応募してきた1~3年生の約20名の生徒たちでした。

名古屋から真っ赤な名鉄電車に乗って武豊へ!

1日目[2時間]

1日目は、生徒に加え先生たちも10名程参加しての合同研修。まずは、参加型学習(アクティブ・ラーニング)を体験し、自分の意見を伝え、異なる意見を聞く練習をします。

学校からは「長期的には、上級学校や社会において自らの考えを発信したり、周りと協調できる人物、そして、主体的に学び・行動できる人物を育成したい」というご希望もあったので、ちょっとチャレンジングにメディア・リテラシーを題材にしてみました。

事実と意見

まずは、ある新聞記事を黙読します。
2回目は、記事中の「事実」だと思う部分に実線、「(記者の)意見」だと思う部分に波線を引きながら読みます。すると、「あれ、これって意見かも…?」「見出しもなんか意見っぽい」という声がちらほら。
3回目は、グループで共有しながら、さらに記事を読み込んでみます。一見、「事実」だと思われる新聞記事にも、とてもたくさん記者の「意見」が書かれていることに気がつきます。

事実と意見に注目しながら記事を読むと…

この日は、前日の一面に載った世論調査を基にした記事を使ったので「元のデータを見たい!」という声も。記事の元になった世論調査結果を配ると、「この調査結果から、どうしたら、この記事が書けるの!?」とざわざわする教室。

この新聞社に限らず、メディアによって編集された記事やニュースには、必ずなんらかのフィルターがかかっています。「この記事、本当かな?」「元の調査はどうなっているだろう?」「ほかのメディアはどうやって報道しているのかな?」「ほかの人はどう考えているだろう」と考えながら情報を読み解くことが大切です。

そして、立場を変えて発信者の側に立ってみることも、情報を読み解く力をつけるのに役立ちます。

ニュースレポーター

ということで、今度は某放送局が実施した世論調査の結果を元に、グループで協力しながら1分間のニュース番組をつくりました。

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カジノを含むIR=統合型リゾート施設の整備法案についての世論調査結果
賛成16%、反対34%、どちらともいえない40%、無回答10%
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実はちょっと仕掛けがあり、それぞれのグループに、密かに「法案成立を推進したい」「中立の報道を心がける」「法案に反対」の立場でニュースをつくるよう指示をしています。

各グループの発表するニュースを見て初めて「おや?」と感じ、同じデータを使っても、全く違うメッセージを伝えるニュースづくりが可能であることに気付くものです。

街頭インタビューを入れる演出する生徒たち

生徒のグループ、先生のグループそれぞれに、街頭インタビューを入れたり、図表を作成したり、有識者を登場させたりと、あれこれ工夫を凝らした1分間の番組ができあがり、発表はとても盛り上がりました。

新聞記事だけでなく、テレビ・ニュースも様々な演出がされ、わたしたちに届けられていることにも気が付くことができます。

先生たちも本気ですごいニュース番組をつくってきました。さすが!

1年生から3年生まで混ざったグループで、はじめは少し緊張感もありました。でも、2時間一緒に作業をして、最後はテレビ・ニュースも協力してつくったことで、かなり話し合いができるようになっていました。さて、2日目はどうなったでしょう。
(報告:八木)

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