「プラスチックごみ」前編 フリースペースえん・ワークショップ(2020年度・第2回)

 こんにちは!DEARボランティアのさーやん(西脇)です。

12月14日(月)に、神奈川県川崎市にある「フリースペースえん」で、今年度で2回目のワークショップを行いました。

第1回に引き続き、現地には調整役でDEARスタッフの中村さん、オンラインチームにはDEARスタッフの岩岡さんと複数名のボランティアが集結。そして今回はなんと、『プラスチックごみ - 開発教育アクティビティ集4』の執筆者でもあるDEARスタッフの伊藤さん・八木さん、デザインを担当された勝野さんも加わって下さるという、とても貴重な回になりました!

「えん」では、新しくできたばかりの2階の多目的ホールに続々と集まってくる子どもたち。オンラインチームは、各家庭の画面の前であやしく息をひそめて待機です。しかも、少々ドキドキしながら!(たぶん、ちょっとおかしな光景)

画面をオフにしているのですが、かくれんぼをしているかのような心境(笑)。なぜって、それは、みんなそれぞれ後半戦のロールプレイで演じる役柄の恰好をしてスタンバイしていたので、こっそり隠れていなければいけなかったのです。

このような恰好を準備しながら各自息をひそめてスタンバイ(笑)

さぁ、いよいよ! ワークショップのスタートです。

「今から、えんの中にあるプラスチックでできているものを探して持ってきて~!」

画面の向こうの子どもたちが動き出します。そして、帰ってきた~!
子どもたちが持ってきてくれたものは…

洗面器、洗剤の容器、アイロン、消毒ジェル、めがね、シルクハット、お菓子の袋、ルービックキューブ、ペン、などなど。

そして、お次は「プラごみクイズ」へ。画面共有にて、オンラインチームが動き始めます。

Q1 「プラスティックが使われているものは、どれ?」

ペットボトル、消しゴム、スマホ、ラーメンカップ、マスク、ドリンクの容器、かさ、弁当の容器、洋服、ウェットティッシュ。実はこれ、全部がプラスチック製品(もしくは、その可能性があるもの)です。わたしたちの暮らしの中には、たくさんのプラスチック製品がありました。


Q2 「生産量は?」

世界で作られるプラスチックの量は、この70年間(1950年~)でどのくらい増えたかというと、それはなんと、約200倍!1950年の世界人口が約25億人だったのに対し、2019年は約77億人。人口の増加は3倍になっていますが、人口の増加以上にプラスチックが増えていることがわかります。

Q3 「使い捨てにされる理由は?」

プラスチックは、「安く」て、いろいろなものに「加工しやすく」、「軽く」て、「丈夫」。これはプラスチックの長所でもありますが、実は同時にプラスチックの短所でもありました。

  • 「安い」 → たくさん作って使われる
  • 「加工しやすい」 → いろいろな使い道に
  • 「軽い」 → 川や海に流れやすい
  • 「丈夫」 → 自然にもどりにくい

Q4 「廃棄量は?」

1人あたりの使い捨てプラスチックを捨てる量が多いのは、世界第1位がアメリカ、第2位は日本です。『写真で学ぼう!地球の食卓』(2010年、DEAR)から引用した写真で世界各国の1週間分の食料を見てみると、日本やアメリカではたくさんのプラスチック製品に包まれた食材が多いことがわかりました。

肉も、野菜も、麺も、調味料、お菓子も、かなりの種類のものがプラスチックに包まれているという現実。

Q5 「ペットボトルが自然分解されるのは?」

なんと、400年以上もかかります。そして、レジ袋でさえ20年かかるのです!

わたしたちの生活の中にあふれているプラスチック。
使い過ぎや使い捨てがなんとなく地球によくないのではないかと思ってはいたけれど、こういうことだったのか!しかも日本は、1人あたりのプラスチック廃棄量が世界第2位だなんて、知らなかった!ガーーーン!!

そして、ワークショップは後半戦へ。

ふと気がつくと、画面の記されていたスタッフの名前たちは、いつの間にか動物の名前などに変わっていて、「海の生き物会議」がスタート!

やっと出番が…!生き物のかぶりものは教材付録でダウンロードできます。

クジラさんがみんなを会議に集めます。その理由は、海鳥さんの子どもが亡くなってしまったこと。

🐧海鳥「うちの子、1番元気な子だったのにある時から食欲がなくなって、おなかは膨らんでいるのに元気がなくなっていったんです。そして、そのまま・・・(涙)」

🐢ウミガメ「クラゲさんのよくない毒にでも刺されたんじゃないの?この頃、わたしの仲間たちもおなかの調子がよくないと悩んでいるものが多いし、食べ過ぎてしまうからかねぇ」

🦑クラゲ「毒だなんてどんでもない!どうも、わたしたちクラゲにそっくりな変なものがたくさんいるらしい。みんな、それを食べると具合が悪くなるそうだ」

🐍チンアナゴ「そうそう、それは人間が捨てるものの一部。海のごみのほとんどは、陸から来ているんだ。人間はぼくたちと仲のよいふりをして、実は自分たちのことしか考えてないんだよ」

👧高校生「そんなぁ、わたし海大好きだし、大切にしなきゃって思ってるよ。ごみだって、ちゃんと分別してるし、リサイクルだってやってるもん!川や海に捨てないなんて、そんなの常識!」

🍣うまい寿司屋「将来、お客さんに安全な魚を提供できなくなるのではないかと心配しています。海の中にプラスチックのごみや、とても小さな破片がたくさんあるらしいのです。それを食べた魚やカメ、海鳥たちが具合が悪くなるのは、そのせいでしょう。そのうち人間も、その物質を知らず知らずのうちに体に取り込んでしまうことになるのではないかと。わたしたち人間は、ここらで自分たちの生活を見直した方がいいのではないでしょうか…」

👨タブンキエール業者「いやいや、皆さん、安心してください!わが社の新開発の商品『タブンキエール』は自然に分解される成分を使ったプラスチックなんですよ~!今までのように、じゃんじゃん使ってください。じゃんじゃん儲けさせてもらいますよ~、わっはっは」

🐧🐢🦑🐍🐳海の生き物たち「う~~ん」

🐍チンアナゴ「人間って、ほんとに都合のいいことばっかり。『タブンキエール』だって、もともと海になかったものでできてるんでしょ。クラゲさんと間違えてみんなが食べちゃったから、やっぱり危ないよ。海にあるたくさんのごみは、どうするのさ。これからもずっと残るんだよね」

🐳クジラ 「ここはひとつ、皆さんで話し合いましょう。イワシさんたちも、ぜひ参加してください!みなさんのお腹の中にも、何か入っているかもしれませんし…」

ということで、子どもたちはイワシになって🐟🐟🐟🐟話し合います。

  • 塩素で溶かせばいいんじゃない?溶かしても、溶かしたものが害になるよ。
  • この会社はインチキだ。
  • 大きなビニールなら食べないけど、小さいものは食べちゃうよね。水と一緒に飲みこんじゃう。

そこに突然!!
どこからか、あやしげな巨大くらげ、いや、ビニール星人のような生き物が登場!(中には、川崎市子ども夢パーク所長・西野博之さん)

謎のビニール星人が登場!画面の向こうでは海鳥の母さんが泣いています…

👻「みなさんに迷惑をかけているみたいですが、わたしだって海を汚したくて汚しているわけじゃないんです。昔は土の中で静かに暮らしていただけなのに。どうすりゃ、いいんですかねぇ…

悪いのは人間だ!! と、子ども(イワシ)🐟🐟たち。

  • 「えん」ではリサイクルしてるのにね。
  • ポイ捨てする人が悪いんだ。
  • 本当にリサイクルしてるのかな。
  • どうやって再生するのかな。
  • エコバッグにしたよ。ストローも断ってる。
  • でも、100均のは安いからなぁ…。
  • 服もプラスチックなの?どうして柔らかいの?
  • 服のタグを見てみると、コットン100%の人は少しだけ。ほとんどの人の服が、ポリエステルなどの石油から作られているらしい。
  • マイボトル持って来てる人もいるけど、ペットボトルも多いよね。

と、次々と身近な問題や疑問が出始めてきました。

プラスチックチックが、生活の中にたくさんあふれている。でも、それを減らすためには一体どうしたらいいんだろう。

どんなことができそうかな?リサイクルはどうなってるの?

困っている海の生き物たちを目の前にして、子どもたちが真剣かつ具体的に考えようとしてくれていることが伝わってきます。でも、どうしたらいいんだろう、その気持ちが電波にのってヒシヒシと感じられました。

次回のテーマも「プラスチックごみ問題」なので、引き続き考えていこう!ということで今回は終了となりました。

知ることから始まるアクション。

オンラインチームの一人であるわたしは、画面の向こうからでしか感じ取れなかったけれど、子どもたちの心の中で何かが動き始めたのではないかと感じた瞬間がたくさんありました。次回も楽しみでなりません。

今回もオンラインでの取り組みをするにあたって、会場である「えん」のスタッフの方々には多大なるご協力をいただきました。

子どもたちとオンラインチームが少しでも双方向なやりとりをしやすくなるよう、大画面スクリーンの設置やビデオカメラでの撮影、ソーシャルディスタンスをとって座っている子どもたちの声をその場でひろって大きな声でリピートして下さったり、画面の近くまで物を持ってきて下さったりなど、随所で工夫を凝らして支えて下さったからこそ、オンラインでかなり手探りな取り組みながらも、リアルタイムでのやりとりが可能になったのだと思っています。

オンラインチームもまた、現地での様子を画面で確認しながら進行する一方で、メッセンジャーグループを並行で確認。

進行と同時にメンバー同士でやりとりをしながら、自分の担当する役を演じ切りました!ドキドキ・わくわくの心の声をメンバー同士で共有、励まし合いながら連携をとっていたのですが、チンアナゴやクジラの人形を持ち続ける腕が痛い(笑)ことや、ネットが不安定で一瞬落ちてしまってスリリングだったこと、子どもたちの反応がよく、考察が深くて具体的なことを喜んだり、女子高生がめっちゃ似合ってたことや、西野さんのレジブクロン姿がクラゲにそっくりだと話題だったり。

それぞれの持ち味を生かしたチームプレイは実に見事!!とってもとっても楽しい体験でした。各家庭からの参加だったはずなのに、なんだか一緒にいたような気分だから不思議です!オンラインワークショップの新たな可能性を感じています。

ワークショップ@えんー楽しみながら伝え合い、学び合う。そして、自分の中の何かが変わることで世界を変える第一歩へ。大切にしていきたい取り組みです。
(報告:DEARボランティア・西脇さやか)


※ワークショップで使ったクイズ、「海の生き物会議」のシナリオとかぶり物は、教材『プラスチックごみ』に収録されています。小物が充実していると、わくわく楽しい学びの時間が生まれます。ぜひ、ご活用ください。

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