第2期DEARカレッジ・SDGs学習のつくりかた(テーマ編)第7回「SDGs学習のつくりかた」

こんにちは、初回と第2回に引き続き、最終回のブログを担当させていただきます、大学院生のボランティアスタッフ、氏井紅葉(うじい・もみじ)です!

今回は、オンラインで6月から開催されている「第2期DEARカレッジ SDGs学習のつくりかた(テーマ編)」(全7回)第7回「SDGs学習のつくりかた」のレポートです!

もう最終回ですね・・・早い・・・!😳

いろんなテーマからSDGsについて考えてきましたが、最終回はとうとう「SDGs学習のつくり方」です!近藤牧子さん(DEAR副代表理事/早稲田大学・非)を講師に、SDGs学習づくりを考えました。

講座の共通テキスト『SDGs学習のつくり方』

プログラム

  1. 2030アジェンダを読んで
  2. SDGsとの関連・学習ポイントについて
  3. 多様な意見と議論をつくる学習
  4. SDGs学習としてやりたいこと
  5. おわりにーわたしの感想
  6. 参加者アンケート

1.2030アジェンダを読んで

今回は宿題がありました〜!!!
さすが皆さん、ちゃんとやってきていました(笑)

宿題は

<2030アジェンダを読んで「一番大事な言葉・部分」「一番響いた」「自分が考えたい」「マイテーマ」にしたいキーワードを考えてくる>です

最初のグループディスカッションで、以上について話しました。
以下はコメントの抜粋です。

  • これまでと違い参画している人の範囲が広いので、どうやってインテグレーションしていくべきか、そういう意味で「パートナーシップ」が気になった。
  • 導入部分が一番大切だと感じた。「誰一人、取り残さないなど」、全体的な方向性が出ているのでここを選んだ。
  • 「自然と人間との調和」が響いた。今後取り組みたい分野。

注目ポイントは様々ですね!!

2.SDGsとの関連・学習のポイント

第1回から第6回までを振り返りました。
内容と学習のポイントについて詳しくは各回のブログを以下から参照してください。

以上の講義を振り返って、皆さんにとって最も大きな「気づき・発見・実践に活かしていきたいこと」を聞きました!

以下がコメントの抜粋です。

  • 井出先生(第5回)が印象に残っている。先生の貧困の実体験が印象的だった。自分自身が見えていない話が多かったので印象に残った。
  • 生徒がいろんな面で自己決定できるようにしていきたい。
  • 実際に教えられる内容と今の自分たちの状況が違うのに、一つの方向性で言われるのは辛いし、いろんな価値観が降りてこない。

3.多様な意見と議論をつくる学習

「未来の変革」に挑戦する教育とは・・・
異なる意見が学習の発展の可能性を生みます。
予定調和、同調圧力、「押し付け教育」になってしまうと発展は生まれません。
多様な意見や多様な考えをまずは引き出す学習環境づくりが大切です。

「キレイゴトワークショップ」「意見を引き出している風学習」など
上滑りではないSDGs学習のために、持続可能な開発に向けた学習の目的とは異なる意見を用いて、私たちは議論をする場を尽くしているでしょうか??

まずは
  • 多様な意見(本音)を出せる環境にあるか
  • 出たときにどうするか
  • そもそも意見や考え方の多様性を理解しているのか
についてしっかりと考え、向き合い、実践していく必要があります。
そこで、考えを深めるために意見の分析と対応のグループワークをしました!

議論をどうする?

去年に引き続き難しいけど、楽しくて私のお気に入りワークです♪

それぞれグループには「テーマ」が割り振られていて、そのテーマの解決に対し、消極的あるいは反対的意見があると思います。

それらが「いいか、悪いか」「正しいか、正しくないか」ではなく、どのような考え方に基づいて発せられているのか、どうしてそう発言されるのかを「分析」し、「学習を深める対応」のアイディアを出すワークです。

→「対応」例としては、みんなで深める問いや、アサーティブな反論的提案などを具体的に考えてみました。

以下はグループでのディスカッションの「ほんの一部」の抜粋です。
みなさんにはいっぱい考えていただきました!

「多文化共生」
“ここは日本なんだから日本のマナーやルールに従うべきだ”

😏言葉の背景分析
  • (暗黙の)ルールに従えるのが日本人の美徳と考えている。
  •  例)人の話が聞ける 並んでいる列を乱さない、郷に行っては郷に従え、出る杭はうたれる
  • 隣人トラブル、ゴミの出し方など自分の生活につながることで発言している。
  • 異質なもの、違うものに対しての「排除」や受け入れられない感覚をある。
🙋学習を深める対応
  • 真の思いに触れる。
  • 具体的な場面を聞いてみる、何かの影響を受けているのか?を聞いてみる。
  • イメージではなく、事実、ファクトを提示する。
「ジェンダー」
“性に関心をもつと大変だから、扱わない方がいい”

😏言葉の背景分析
  • 性教育を受けていないので、自分が対応できないと思っている。
  • 日本の場合は、性自体がタブー視されている。性に関することは、いやらしいことで、それを話す人は、性的に乱れているという偏見がある。
  • 個人的なプライバシーに関わってくることもあるため話したくない。
  • 正解がないため返答に困る。
🙋学習を深める対応
  • 「性に関心をもつと大変」の「関心」や「大変」とは何かを問う。
  • 安心できる場所作り(コンフィデンシャリティ、どこまで話すかの境界線)。
  • 自分が知りたかったこと、知りたくなかったことのシェア。
  • そもそもの「性」とはなにか。
「平和」
“核や軍備は、他国が配備している以上こちらも備えて自衛しなければならない”

😏言葉の背景分析
  • 抑止力になる(と思っているから)。
  • 攻撃されたら嫌だから⇨自衛策があれば攻撃されないから(他国の軍備)。
  • 国際的なステータス。自分の国は自分で守れないのはかっこ悪い。
🙋学習を深める対応
  • 軍事力だけが解決策ではない。
  • 数に対して数で対抗するのか?やりかえすのか?
などなどなど、紹介しきれないですが、本当にたくさんの分析と対応のアイディアが生まれました!!

4.SDGs学習としてやりたいこと

最後に、「SDGs学習としてやってみたいこと」についてシェアしてもらいました。
以下が参加者の何人かの「これからの挑戦」です。
  • 多様な意見を引き出す教育をしたいなって思っている。
  • その場の雰囲気でいい子ちゃん意見を言って、最後の振り返りで自己責任って意見を書かれたりする。
  • 環境に関する仕事をしているけれども格差とつながると思い、両方できたらいいなと思う。
  • カレッジでは毎回質問で「当たり前」を問われた。自分の授業でも知識を教えるところからではなく、問いから授業を始めたい。
  • 学校で人権を担当することになったので、SDGsの学習を知識として学んだというよりは人の尊厳を考えさせられたので、課題を知識として与えるのではなく、一人一人が人間の尊厳をみんなが考えるような授業を作りたいと思った。
  • 安心して話せる場の大切さがある。押し付けでなく、分かちあえるように行動していこうと思った。
参加者の皆さんと(一部)

5.おわりに-わたしの感想

昨年に引きつづき全ての回に参加させていただきました!

全部とっても印象的でしたが、特に私は、小学校入学から高校卒業まで、アメリカの公立の学校に通っていたので、その観点から2つすごく印象的だった回があります。

1つは「平和」の回です。
私が世界史を学んだ教室では、「原爆投下」は正義だという意見がマジョリティでした。
私はその中でも、もちろんどう考えても許される行為ではないと考えていました。
しかし、その後の冷戦などの歴史を全てアメリカの観点から学んだ私は、核のない世界を思い描きながらも、多分心のどこかで、「抑止力になる」と思っていたと思います。しかし、今回カレッジに参加したことで、自信を持って、核を廃絶するべきだと言えるようになりました。

2つ目は「多文化共生」の回です。
私は、小学校と中学校で同じ人にいじめられていました。いじめの原因はわからないまま、中学2年生になったとき、教室で「パールハーバーをやった日本人だから嫌いだ」と言われました。この話をしても、周りにはあまり辛さをわかってもらえません。大体の場合は、「そんなこともあるんだね」と流されます。なので、進んで話すことはあまりないです。

他にも暴力・言葉のいじめを受けていましたが、この差別的な言葉は、私の人生の中で一番傷ついた言葉です。今でも思い出せば涙が出て、手も震えます。たった一行の言葉になんでここまで傷つくのかはわかりません。

でも、その時「紅葉には何も責任はない」と助けてくれた、特に会話をしたこともない同級生のことは一生忘れないですし、すごく感謝しています。けれど、今回、そんな風に助けてくれる同級生がいなかった方の話を聞いて、より一層、ヘイトのない社会を創るにはどうすればいいのか考えていきたいと思いました。また、孫さんが「吠えられるときに吠える」と言っていたように、口にも出して行きたいと思いました!

今年もたくさんの学びや気づきをありがとうございました!

6.参加者アンケート

終了後に回答いただいた参加者のアンケートから、全体を通した皆さんの声をいくつかご紹介いたします。

「より深い学びによる新たな視点が得られたこと。また、自身が実践に移していく上でのヒントとなることがいろんな方から得られたこと。共感でき、講座に参加するたびに自身のモチベーションがあがったこと」

「講師の皆さんもそれぞれ濃い内容を短時間で詰め込んでいただき、満足度の高い講座でした。こういった講座に参加していなかったら関わりがなさそうな内容(私の場合だと総論や多文化共生など)にも触れることが出来て、更に関心が拡がり良い機会となりました」

「SDGsの各課題の知識だけではなく、全体を通して共通する気づきや学びがありました。例えば、自分自身がマジョリティでもマイノリティでも、教育や既存の価値の中にいることでもはや疑問さえ抱けなくなることへの体験的気付き。また、いかに一つ一つの項目を認識している「つもり」であったのかについての気づき。あるいは自分が加害の側にいる事実や、緊急性の真の自覚、当たり前に使っていた言葉の持つパワーや影響などへの気づきです。毎回それ自体に驚かされ、戸惑いさえ感じ続けた「問い」には、自分自身の立っているところを問う力があり、学習としても大変効果的で、自分も教育現場で使いたい手法として学ばせて頂きました」

「SDGs学習そのものの持つ価値について、尊厳・人権という観点から非常に重要な切り口であることを感じ、今後の教科以外の教育の場での可能性を感じ、希望を頂きました」

「いずれも興味深いテーマでしたし、さらに各分野のフロントランナーが講師をされるということで申し込みました。講義への満足感もありますが、共通するモヤモヤを抱えながら現場で格闘している受講生の存在を感じられたことは、大きな財産になったように思います。それぞれの背景も、現場の種類も状況も環境もみな違う人々でしたが、なにか「このままではいけない」「変わりたい」そんな思いを暗黙に共有できているような気がして、有意義な時間を過ごすことができました」
(報告:氏井)

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